436 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/24(日) 10:50:20.89 ID:1ZTDl1ZsP [1/6]
>>429
ふむ、こんな感じか

「だから……なんだって……!…てくれるって……し」
「しかしな、お前………!……ではないか」

学校を卒業し、大学生活もまでもう二週間を切ろうという休日の日。
俺が家に帰ってみると、リビングから何か言い争う声が聞こえた。
この声は……桐乃と――親父?

「もう、心配性だなぁお父さんてば」
「当たり前だ。去年何があったか忘れたとは言わせんぞ桐乃」
「だから、今度は大丈夫だって。そのための兄貴でしょ?」
「そうは言うがな」

待て待て、一体何の話をしてるんだ?
なんで俺が出てくる。
とりあえず話しに割り込ませてもらうか。

「ただいま」
「あ、お帰り兄貴」
「おお、京介か。お前も桐乃に言ってやってくれ」
「一体何の話だよ?」
「なんでも、モデルの仕事で専属のスカウトを受けたから海外に行かせてほしいと言って聞かんのだ」
「はあ!? なんだよそれ! 俺何にも聞いてねえぞ!?」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「聞いてねえよ!」

あっけらかんとした風情で桐乃がそんなことをぬかしやがった。
なんだよそれは!? 桐乃はもうどこにもいかねえと思ってたのにまた俺に黙ってどっかいくつもりだったのか?
桐乃がどういうつもりかしらねえが今回は断固反対するぞ。
お前が俺の前からいなくなられたら俺が困る。寂しくて死んじゃうぞこのやろう。

「おい桐乃。悪いことはいわねえ。やめとけって。
 それにお前言ってくれたじゃねえか。もう俺から離れないって。アレは嘘だったのかよ?」
「何!? そんなことは聞いてないぞ京介! 詳しく話を――」
「親父は黙っててくれ」
「な、何を――」
「うん、ちょっと黙っててお父さん」
「……ふん、どうせ俺なんて俺なんて………」

なんか親父がいじけちまったがそんなことは些細なことだ。それよりも――

「んで?どういうことだよ?」
「ん? そのまんまだケド?」
「マジでいってんの? お前」
「当たり前じゃん。何も問題ないでしょ?」

大有りだ! くそ。なんでこんなことになってんだ?
とにかく、こいつに思いとどまらせるようにいわねえと……

「なんでそんなに反対するわけ? 今回は……あ、そういえば言ってなかったんだっけ?」
「何をだよ?」

言っとくが何を言われようと俺は賛成なんてしないからな。

「ん。えっとね、モデルの専属になるってのは言ったよね?」
「さっきの話の流れでな」
「で、海外に行くってのも聞いたよね」
「ああ」

437 名前:【SS】って入れるの忘れてたぜ[sage] 投稿日:2011/04/24(日) 10:51:10.18 ID:1ZTDl1ZsP [2/6]
桐乃は何が言いたいんだ?そんなこと言われなくてもわかってるっての。
ああ、くそ。何かいい引き止める材料はねえかな

「じゃあ、その海外行くのに兄貴がついてくるっていったらどうする?」
「ふんふん、俺がついていくね。確かにそれなら問題ない……ってなんだそりゃ!?」

俺がついていくって、どうしてそんな話になるんだよ!?

「いや~ほら、例の美咲さんがさ、そんなに離れるのが嫌ならお兄さんもついてきていいわよ? っていってくれたんだよね」
「いいわよって……いきなり言われても俺どうにもならねえんだけど。
 そもそも俺それについてったら学校とかどうすればいいんだよ?」
「大丈夫。なんかね、ついて来てくれるならマネージャー見習いとして働かせてくれるって。
 ほら、あんた以前マネの真似事してたでしょ? それ話したらだったらそれっぽいのはできるでしょって」

おいおい、随分いい加減だな。そんなんでいいのか社長さんよ。
でもそれは言い換えればそこまでして桐乃のことが欲しいってことだよな。
それはそれで自慢できることなんだろうが…。

「将来的にはあたしの専属マネってことになるっぽいんだけど……」
「そうは言ってもな……」

魅力的な話ではある。でも話がいきなりすぎるってのがなあ。
桐乃と離れないですむっていうのは嬉しいが、これは結果として将来が決まってしまうに等しい。

「えと、だめ、かな。あたしとしては、このお仕事好きだし、できればやりたいって思ってるの。
 兄貴と離れなきゃいけないって言うんだったらあたしも断ってたけど、大丈夫みたいだし……
 でも、兄貴がどうしても無理だって言うなら、あたしも考え直すケド……」

つまり俺の選択次第ってワケか。
俺としては桐乃のしたいことをやること自体は反対じゃねえんだが、それに俺のことが付随いてくるとなるとな……。
ちら、と桐乃の顔を見てみれば不安そうに俺を上目遣いで見ている。
……ったく、そんな顔してんじゃねえよ。そんな顔されたんじゃ俺はハラくくるしかねえじゃねえか。

「……わかった」
「え?」
「いいよ。わかった。俺がついていけば何も問題ないんだろ?
 だったら迷うこたねえ。桐乃のやりたいことをすればいいさ」
「兄貴……」
「そのかわり、そういうつもりなら俺もう絶対お前からは離れねえぞ? それでもいいのか?」
「……ばか。あたしはあんたがいないと嫌。今回だって、あんたが来てもいいっていうから受けたんだから……」
「桐乃……」
「どんだけしんどくても絶対につれまわすからね。覚悟しときなさいよ?」
「おう。お前についていけるのは俺ぐらいだろうしな。しかたねえ」
「ふん。じゃあ、いいんだよね?」
「おう」
「わかった。お父さんもいい?……ってお父さん?」
「どーせどーせ俺なんて……娘にも息子にもはぶられる親父ですよー……」


こうして、俺は桐乃と一緒に世界へと羽ばたいていくことになったのだった。


「んじゃ、これからもよろしく。マネージャーさん?」
「おう、こちらこそよろしく頼むぜ? モデルさん」



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最終更新:2011年04月26日 20:41