76 名前:【SS】そんなある日の家での出来事[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23:42:10.18 ID:NgMkDOBaP [2/3]


「ただいまー」

ふう、のどかわいたな。麦茶麦茶っと

学校が終わり、家に着くなり俺はリビングの冷蔵庫を目指す。
この時間、特に部活や仕事がなければ桐乃は既に家に帰ってる頃合だ。
どうやら今日はもう帰ってきてるようだ。
だってほら、玄関に靴あるし。

カチャリとリビングの戸を開けて中を覗き込んでみるが桐乃の姿は見当たらない。
なんだ、部屋いってるのかよ。警戒してそんしたぜ。

そのまま体を滑らせるようにリビングへと入った俺は一直線に冷蔵庫を目指す。
…つもりだったんだけどな。
冷蔵庫へ向かう途中、ソファで横になっている桐乃を発見した。
どうも丁度入り口から陰になってるところだったみたいでわからなかった。
俺が入ってきたことに気付かないということは随分と寝入ってるらしい。
スタスタと近付いてみれば、スースーと気持ちよさそうに寝息を立てている。

よく寝てんなーこいつ。こんな所でめったに寝るようなやつじゃねえのに。
そんなに疲れてんのか?

そういえばここ最近忙しそうにしていたような気がしないでもない。
部活が終わるのは門限ギリギリだし、休みの日もモデルの活動で潰れてたみたいだし。
仕方ないといえば仕方ないのかもしれない
それにしても……

き、きわどい…! なんつーカッコで寝てるんだこいつは!

寝た時の格好が不味かったのか、それとも寝相のせいかはわからないが、今桐乃は非常に危ないかっこうをしている。
制服は胸元近くまでまくれ上がって下着が見えそうになってるし、下も同上。
太もものギリギリまでまくれ上がったスカートがすごく……エロイ。

まてまて。相手は妹だぞ? エロイとか、そういう感想はおかしいだろう。

このまま桐乃を見つめていても埒が明かない。とりあえず当初の目的を果たすとしよう。
俺は冷蔵庫まで早足に寄ると、手早く麦茶を取り出して、台所から取ってきたコップになみなみと注ぎ込む。
それを一息にグイっと一気飲みした後それをささっと片付けた。
この間実に1分30秒。これが早いか遅いかは個人の基準に任せるとして。

さて、それではこいつをどうしようかね

再び桐乃の傍へとやってきた俺はそんなことを考えた。

いや、別にな? このまま放置してたっていいだよ。でも、それはなんというかだな…こう――
後ろ髪を引かれるようなって言うか、袖を掴まれているような感覚というか……とにかく離れがたい何かがあるわけだ。
わかってもらえるだろうか。まあ、そんなわけで俺は別の方法を探さなきゃならんわけで。
じゃあどうするかってなあ……起こすか。このままここで寝かしといて風邪引かれても困るしな。
というわけで実行実行。

77 名前:【SS】そんなある日の家での出来事 2/2[sage] 投稿日:2011/04/26(火) 23:43:01.98 ID:NgMkDOBaP [3/3]
ユサユサ

「おい桐乃。こんな所で寝てんじゃねえよ」
「ぅん~……」

くそ、起きやがらねえなこいつ。早く起きろって!

ユサユサ

「風邪引いちまうぞ? 寝るなら部屋で寝ろ」
「ん、んん……はれ? ふぁにき?」

ようやく目が覚めたか。とも思ったがどうも目が半開きだ。
こいつもしかして寝ぼけてるか? なんかぼーっとしてるみたいなんだけど。

「おう、俺だ。起きたか? 桐乃」
「ん? ん~…、 たぶん」

おいおい、多分ておまえ……。
どうやら桐乃は盛大に寝ぼけているようだ。さっきから目の焦点が合ってない。
大丈夫か? と顔を覗き込むようにかけようとしたところでグイッと襟首を引っ張られた。
そのまま、半ば桐乃に覆いかぶさる格好になる俺。

「ちょっ、お前なにすんの!?」
「あにきもいっしょにねよ~?」

はあ!? アホか!そんなことできるわけねえだろ! と叫ぼうとした声は音にならず、
更にグイッと首を引っ張られる形になった俺は桐乃の顔のすぐ横に顔をうずめることになった。
つまるところ完全に覆いかぶさった形になってしまったのである。

「お、おい!?」
「くす~、す~」
「……もう寝てやがる」

さて、これはどうしたものだろうか。
襟首を引っ張っていたはずの腕はいつの間にか俺の後頭部へと回されており、ガッチリとホールドされている。
正直、こんな間近に桐乃の顔を見たことはなかったので心臓がうるさい。
これは多分、恐怖だな。いつ起きてしばかれるかという恐怖に違いない。
だってそうだろう? こんな状態で桐乃が真に目覚めればその後のことなんぞ考えるだに恐ろしい。
とはいえこの状況、俺だけでどうにかできるわけもないわけで。

……しかたねえな。

俺は桐乃を起こさないようにぐるりと体を入れ替える。
あのままじゃ俺が桐乃を押しつぶしてしまってすぐに起こしてしまうから仕方がない処置だ。
そして俺はそのまま諦めるように目を閉じた。
さっきから変わらず心臓はうるさいがどうとでもなるだろ。
ま、こうしてくっついてれば嫌でも暑くなるし風邪はひかんだろうさ。
俺は眠る桐乃の後ろ頭を軽くなでる。
「んん~♪」と少しじゃれるようにぐずる桐乃に苦笑しながら俺は少しづつ意識を落としていった……


結局、二人で一緒に帰ってきたおふくろと親父と、そしてそのときに起きた桐乃の手によって俺はトンでもない雷を落とされたのだった。
散々俺をなじった後に、顔を赤くしてリビングを出て行く桐乃の顔は、どこか満足そうであり、嬉しそうな顔をしていた。……様な気がする


-おわり-



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最終更新:2011年04月28日 09:25