93 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/27(水) 00:04:01.14 ID:9HcDeFqX0
ss『パンチラ』
「もうすぐアタシの友達くるから部屋からでないで、もしくは外出して」
リビングに降りてきた兄に向かって開口一番に妹様がおっしゃったのはそんなセリフだった。
なるほどねー、
いつもの部屋着より若干気合いはいってるかと思って見てた(他意はないよ?)けどそーゆーことね。
まあ殺すだのなんだのの物騒なセリフが出ないってことはこいつもそれなりに機嫌がいいんだろうよ。
それよりその手にもってる雑誌の表紙が気になる。
「その雑誌新しいやつか?」
「なに?妹の仕事は全チェック?シスコン通り越してストーカーじゃん、きもーっ」
こっちを見もしないで言いやがった。なんなのコイツ
誰がおまえの写真なんか興味あるかよ、
おまえが下品にパンチラしてる横でにこやかに微笑むあやせ(←マジ天使…
…は?
ちょっとまてぇぇぇ。
なにおまえパンチラとかしちゃってんの?
くっそ、桐乃の指が邪魔でよくみえないぃぃ!
あの白いのってやっぱ下着だろ、パンツだろ、ショーツなんだろ!
「ちょっ!なんて目でみてんのよ、そ、そんなにこれが見たいの?」
馬鹿かっつーの、妹のパンチラとか気まずいだけだろうが!
ええいその指をどかせ、すぐどかせ、いまどかせ、隠されると気になるんだよ!
でもよ
--その表紙おまえがパンチラしてるように見えるんだけどよくみせてくんね?--
とか!聞けない!聞いちゃだめ!絶対!
「ぐ、ぐぬぬぬ…そ、そんなもん見たいワケねーだろ!」
くそぅ、なんだかすげぇムカツく。
なんなのコレ。
ファッション誌にパンチラとかいらねぇぇだろJK。
口答えしたことで多少の暴力は覚悟したが
悔しそうな顔で満足したのか妹様はケラケラと笑っていた
珍しいこともあるものである。
場所は変わって俺の部屋。
グーグル先生に自分の妹の名前を打ち込んでいる男子高校生は日本にどの位いるだろうか。
すくなくともここに一人はいるのだから、せめて100人くらいはいて欲しい。
赤城は一回は試してるな、目的の写真が出てくることはまず無いだろうけど。
つらつらとサムネイル画像が並ぶなか、最新号の表紙とおぼしき画像を拡大表示にする。
……なに目反らんしてんだよ俺
やけに喉が乾くなか恐る恐る画像に目をやると……
「パンツじゃねーじゃん!!」
ちょっと隣の部屋がざわっとした気がするが気のせいだろ……
"高坂桐乃" "表紙" で検索をかけた俺は、深い安堵に包まれつつも何故か軽く落胆していた。
単純に言ってしまえば桐乃はこれっぽっちもパンチラなどしておらず
短めのスカートの裏地部分が何となくそう見えただけであった。
よくよく見ればこのポジションにパンツがあったらどんだけ股上高いスカート履いてんだよってことなになる。
しかし二人ともいい笑顔だ、直接目にする機会が皆無なのが残念だけどな
しかし今号の表紙以外にも結構写真がでてくるもんだ。
これはいつぞやの化粧品のやつか…これも結構あぶなくね?あとちょっとで見えちゃうんじゃねーの?
……画像検索のワードで妹の名前の後に
"パンチラ"
とか入れちゃう俺は兄としてというか人としてどうなんだろうね。
いや、兄だからこそ妹がはしたない行動してるかどうか確認する必要がある!スターン(←Enterキー)
表示されるサムネイルの山はなんとなく見えそう
とかそんな感じのなかなかにいい感じのゲフンゲフン…けしからん画像ばかりであった。
なかにはイベントかなにかでの盗撮くさい画像なんかもあったりしたりもしたが
とりたてて露骨そうな、過激なものは無さそうなのが救いだ。
が、しかし、検索を続けるウチにサムネイルのなかに容認出来ないシロモノがあるのに気がついてしまった。
なんというか、肌色率が高すぎる。
「全裸……だと……」
にわかにマウスを握る手が汗ばむのがわかる。
兄の使命だとかそんなチャチなもんじゃない。
煮えくりかえるような怒りの感情が渦巻いていた。
サムネイルだからはっきりとしたことは言えないが、心なしか顔が笑顔に見える。
くそ!くそ!なんかすげー裏切られた感じ?!見なきゃよかった!なんなのコレ…なんでこんな仕事してんだよ……
半ばヤケで画像をクリック、やべっなんか泣けてきた
例のごとく直視できない。ゆっくりと覚悟を決めて画像を確認する
「俺の妹の○○○がこんなグロ○○○なわけがあるものかぁぁぁ!!!!!」
「桐乃の○○○はもっとかわいらしくて綺麗にきまってんだろうが!!!!!」
絶叫だった
立ち上がった上での全力での絶叫だった
画面に映った出来の悪いアイコラ(アイドルじゃないからエロコラ?モデコラ?よくわかんねーけど)
はとにかく酷い出来で、どっからか拾ってきた大股開きのねーちゃんの画像にただ桐乃の顔を貼り付けた
エロ目的つーか嫌がらせ目的かとおもうようなシロモノだった。実際そうなのかもしれない。
肌の色とかも全然違うし髪の毛の境界線とか肌と癒着して不気味なことになってる。
とにかく安心した、冷静に考えてそんなことあるわけ無いんだけどな
落ち着いたあとまた別の怒りが出てきそうだが、今はとりあえずこれでいい。とりあえずは満足だ。
豪快に扉が開く。桐乃が描いた小説風な擬音をつければ "どぱーん" だ。
えーと。
状況を整理してみよう。
●パソコンの画面にはM字開脚の桐乃モドキ
●扉には三者三様の顔した中学生モデルが三人
●なぜか安堵した顔で涙目の俺が一人
あれ?これ詰んでね?
もうパニック状態で詳しく覚えちゃいないんだが
こうなった経緯を支離滅裂に説明したような気がする。
光彩を失った黒髪の美少女(←超怖い)がゆっくりと接近してきた所で俺は気を失った。
多分ハイキックか何かで。
目が覚めると桐乃がそばにいた。
呆れ返るような、ほっとしたようななんとも微妙な表情で大きくため息をつくとそのまま俺の部屋からでていこうとしていた。
まあ、あれだ。支離滅裂でもなんでも事情を説明したのが功を奏したのかね。
だってほら、全然怒ってねーもん、こいつ
まあ体のアチコチが痛いので、まるで無事ってワケでもないし
現役中学生モデル3人から変態認定されちまったようなもんだけどよ
え?元からだろって?うるせーよ
……しかし妹よ
「あ、あのさ」
……そのスカートは短すぎやしないか?
「なんか気にしてるみたいだけど」
……もしかしてわざわざ履き替えたりしたのかね
「兄貴が心配するような仕事、くるわけないし、来ても受けないから」
……おっかねえから口にはださねぇけどよ。
「あーあ、どっかの馬鹿がウザいせいで、おきにのスカートが部屋着専用になっちゃった」
……まあ似合ってるんじゃないか?
「このシスコンw」
部屋から出て行く妹を見送りながら、俺はそんな事を考えていた。
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最終更新:2011年04月28日 09:28