700 名前:【SS】ある日の休日 沙織視点 1/3[sage] 投稿日:2011/04/30(土) 15:08:27.27 ID:pIqyFTwZP [2/6]
さて、おやつ時ですね。ここでお一つ。


こんにちは皆さん。沙織です。
こんなしゃべり方をしていますが、外見はいつも通りのバジーナです。
うふふ、びっくりしましたか? あら、されてない? それは残念です。
それはさておき。
実は今日はきりりんさんの家で遊ぶことになっていたんです。
勿論いつものメンバーで。わたしに、きりりんさんに、黒猫さんに、京介さん。私の大好きな、親友のみなさん。
ああ、『いた』というのは遊ぶのが中止になったとかではなくて、もう既に遊んでるってことですよ?
そうして今はお昼時。
最初は京介さんの提案で、外食でもしようというお話も出ていたんですけれど、そこできりりんさんが

「ねえ、あんた料理できるんでしょ? 一回あんたの料理食べてみたい」

と黒猫さんに言ったのが原因で、黒猫さんが作ることになってしまいました。
最初は渋っていた黒猫さんも、きりりんさんの「ねえおねが~い」という可愛らしいおねだりに負けてしまったようです。
「し、しかたないわね」と言いつつもまんざらでもなさそうな黒猫さんが印象的でした。
お二人は本当に仲がよくてつい顔が緩んでしまいますわ。
それと、わたしの隣でその様子を伺っていた京介さんがムスっとしていたのが――可愛かったです。

「おやおや京介氏、ヤキモチですかな?」
「なっ、ちげーよ! てか誰が! 誰に! ヤキモチ焼くってんだよ!?」
「はっはっは! 相変わらず京介氏は素直でありませんな」
「人の話を聞けよ……」

「や、ヤキモチってあいつ……キモ」
「あらあら、あなたは何を想像しているのかしら?」
「うっさい」

ふふ、賑やかで楽しいです。



お料理はわたし達もお手伝いをしながらワイワイと賑やかに進行しました。
だって黒猫さんだけに任すのは悪いですもの。まあ、そこで発覚した意外な事実もあったのですけど。

「き、きりりん氏! それをどうするおつもりですか!?」
「え? 隠し味じゃん。何か問題ある?」
「大有りよ! あなた料理をなめているの!?」
「ええ~? そんなことないし。絶対これ入れたらおいしいって!」
「何を根拠にそんなことを言っているのかしら?」
「ん~? ……カン?」
「あ、あなたという女は……!」
「黒猫、沙織、諦めろ。――こいつはそういう奴なんだ」
「……あなたも苦労しているのね」
「あえて何があったかは聞かないでおくでござる」
「お願いだからそんな目で見ないでくれ。なんかすごく惨めになるから……」
「ちょっとあんた達、何三人でコソコソ話してるわけ?」
「な、何でもねーよ! とりあえず桐乃。今回はお前が黒猫の料理食いたいって言ったんだから黒猫の指示通りにしとけって!」
「む……わかったわよ。………これ入れたほうが絶対おいしいと思ったのに。――兄貴の好物だしさ」
「あん? 何か言ったか?」
「な、何でもない!」

意外な弱点発見、ということでしょうか。でも、そんなきりりんさんも可愛いですわ♪

701 名前:【SS】ある日の休日 沙織視点 2/3[sage] 投稿日:2011/04/30(土) 15:09:10.63 ID:pIqyFTwZP [3/6]
楽しかった料理も終わり、全員席について食べることになったのですけど、そこでもひと悶着ありました。

「あら、今とても自然な成り行きで兄さんの隣に座ったわね」
「な、なによ。あたしは家だといつもここで食べてるんだから問題ないでしょ?」
「いえね、よくよく考えてみたのだけれど、4人で食事をする時、あなたいつも兄さんの横に座っていたわね、と思ってね」
「!!?」
「おお、たしかに言われてみれば……」
「そ、そんなことないでしょ! あんたも何か言いなさいよ!!」
「俺!? べ、別に席なんてどこ座ったっていいじゃねえか。何をそんなにムキになってんだよ」
「~~~~っ! フン!」 メキィ!
「!? ってえ!! なにすんだ桐乃! 俺がなにしたってんだ!?」
「うっさいバカ!」

「黒猫氏、もしかしてわざとですかな?」
「なんのことかしら?」
「黒猫氏もお人が悪いですなあ」
「あなたも人のことをいえないでしょう?」

だってこのお二人の掛け合いは本当に微笑ましいですから――――しかたありませんわ!



「「「「いただきます」」」」

4人全員で手を合わせて『いただきます』。
なんだか不思議な感じですね。こうしているとみんなが家族になったようで。
京介さんが長男、わたしが長女、黒猫さんが次女できりりんさんが末っ子でしょうか。
ふふ、そんなことがあったら、それはそれは楽しい毎日なりそうですね。

……それにしても、なぜだかとなりの黒猫さんがどうも落ち着かない様子です。どうされたんでしょうか。

「どうされました?黒猫氏」
「……あれをあなたはどう思うかしら?」
「あれ?」

と指差したのは当然、京介さんときりりんさんのお二人のほうなのですが――

「ちょっとあんた、それとってよ。もう使わないんでしょ?」
「あん? ああ、これか。ほらよ」
「ん」

――特に変わったところはないようなのですけれど。

「何か問題でも?」
「よく見てなさいな」
「?」

と言われても、それほど変わったことは……

「おい桐乃、あれどこやった? さっきから探してても見つかんねえんだけど」
「ん? あれ? もっとよく探したら? たしかそのへんに……あ、そういえばお母さんが切らしたとかって言ってて今日買ってくるっていってたっけ」
「うえ、マジかよ。それじゃしかたねえな」
「そういうこと。……それよりあんた、この際言っとくけど、いつもあれ使いっぱなしで置いとく癖どうにかなんないの? 欲しいときに見つかんなくてイライラするんですケド」
「あー、あれか。気をつけよう気をつけようとは思ってるんだけどいつも忘れるんだよな。わりぃ、今度からもっと注意しとくわ」
「ほんとよ。あんたのだけの物じゃないんだからちゃんともとの場所には戻しといてよね」
「へいへい」

702 名前:【SS】ある日の休日 沙織視点 3/3[sage] 投稿日:2011/04/30(土) 15:10:13.72 ID:pIqyFTwZP [4/6]

…………

「どう?わかったかしら?」
「なるほど。確かに黒猫氏の言いたいことはわかりました。お二人とも、よくもまああれで会話が成立しますなあ」
「本当ね。あんな指示語だけで何が何を指しているかわかるだなんて」
「……むふ、いいことを思いつきましたぞ」
「……何をするつもりか知らないけれど、顔が@ω@になってるわよ?」
「むっふっふ」

だって、こんなにも見せ付けられたら悔しいじゃないですか。
これはもう反撃に出るほかありませんわ。バジーナの名に賭けて!

「京介氏」
「お、どうした沙織」
「すみませんがあれを取ってもらえませんかな?」
「ん? あれってどれだよ?」
「ですから、あれです」
「いや、あれって言われてもわかんねえし。せめてどれのことか指差すか何かしてくれねえとわかんねえよ」
「ほほう」
「な、なんだよ。気持ち悪ぃな」
「……なるほど、そういうこと。――ちょっとあなた、それを取ってくれないかしら? わたしも使いたいのだけれど」
「何よあんたまで。それってどれのこと?」
「あら、わざわざ言わないとわからないの?」
「んなのわかるわけないじゃん。何? ケンカ売ってんの?」
「そうじゃないわ……おかしいわね。あなたならわかると思ったのだけれど」
「はあ? なんでよ?」
「だってさっきあなた……」
「京介氏のあれそれで全部わかっていたようでしたしなあ。無論、京介氏もしかり」
「「……え?」」
「あらあら、気付いてなかったのかしら?無意識でそういうことをしていたということ?」
「なるほどなるほど。それはそれは。それではまるでお二人は……夫婦のようですな!」
「夫――」
「――婦ぅ!!?」

ボフン、という音が聞こえてきそうなほどの勢いで顔を真っ赤にされるきりりんさんと京介さん。
ふふふ、大成功。黒猫さんもすぐにこちらの作戦を察してくれたようですし。完璧ですわ。

「な、ななななな! ば、ばか言ってんじゃないわよ!? な、な、なんでこいつと夫婦なんて! あ、ありえないし!!」
「そ、そうだぞ沙織! 桐乃と夫婦なんてありえねえって! こんなやつが妻だなんてぞっとしねえぞ!!」
「はあ!?あんた頭狂ってんの!? こんないい女に向かってこんなやつとか何よそれ!? あたしの何が不満なのよ!?」
「んなもんありまくるに決まってんだろうが!! もう少しお前がしおらしければ俺だってなあ!!」
「あたしが乱暴ものみたいに言うな!」
「いつも俺のこと蹴るわ叩くわしてんのは誰だよ!?」
「ぐぬぬぬ……はん! まあ、あんたがあたしに釣り合うなんて思わないし?もう少しその地味面何とかしたら考えてあげなくもないケド!」
「ケッ、可愛いだけで付け上がりやがって。その性格何とかしねえと嫁の貰い手なんてねえだろうよ。お前みたいなやつ、俺ぐらい寛大なやつじゃないととてもついていけねえだろうな!」
「何よ!」
「なんだよ!」
「「ぐぬぬぬぬぬ」」
「はあ、夫婦喧嘩は外でおやりなさいな。見てて滑稽よ」
「「誰が夫婦よ(だ)!!!」」

お二人とも、素直じゃありませんわね♪

そんなこんなで、騒がしくもありましたが、今日は楽しい一日でした。またこうして遊びたいですわ。


-おわり-



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最終更新:2011年05月04日 01:18