953 名前:【SS】次スレタイなお話[sage] 投稿日:2011/05/02(月) 13:05:37.73 ID:SUT2rjltP [2/3]
『兄貴のリヴァイアサンで40(潮)噴いちゃうゥ… (ビクっ)あああああ!!』
ぶしゅうううぅぅぅ!
『うわっ、すごい……でもこれで病気が治ったんだな。よかった……』
『うん。ありがと兄貴。あたしのためにこんなに頑張ってくれて……』
『気にすんなよ。お前はたとえ血は繋がってなくても、種族が違っても俺の妹だからな』
『うん!兄貴、大好きだよ』
『おう、俺もだぜキリノ。これからもずっと一緒だからな』
『うん!』
<<END>>
ふ、ふ、40ォォォ!神ゲーキター!! ……なんていうとでも思ったかーー!!
なんなんだこのゲームは……予想外と言うか予想の斜め上とでも言うべきか…。
正直、なんてコメントすればいいのかわかんねえ。それぐらいに俺の理解の範疇を超えたゲームだったぜ…。
このゲームは『兄妹愛物語Ver.2 人とクジラの場合〜兄貴と過ごした40日の夏休み〜』という俗言うRPGだ。
店頭で買うような製品化されているようなものではなく、ネットにある(桐乃曰く)フリーゲームというものになるらしい。
動物と話が出来る主人公の男の子がクジラのめs…女の子と兄妹の誓いを交わすところから始まると言う始まりからしてぶっ飛んだものだ。
あらすじとしては、そのクジラの妹が潮が噴けないという病気にかかり、それを治すための「リヴァイアサンの髭」を探すために旅立つといった感じ。
なんで俺がこんなゲームをしているかといえば、まあ、いつも通りの桐乃の兄貴にエロゲコンプ40(指令)げ出たわけで……
しかしまあ、このゲームわりとむずかった。システム自体はそこらのRPGと変わらないがそこに日数制限があるのが曲者だ。
このゲーム内では勝手に時間が進行していき、あまり時間をかけすぎると時間切れとなり強制的にゲームオーバーになる。
制限日数は40日。イベントで過ぎる日数が30日ほどあるためにのんびりレベル上げもできず、さくさく進めていかないと間に合わない。
でもあまりに早く進めるとレベルが足りなくて進めなくなるし、相手の弱点を調べないと戦闘も楽じゃない。
日数制限がついたことで一気にバランスが変わっているゲームだと言っていいだろう。
途中で起きるイベントはまあ、やはりと言うか兄妹がらみのものばかりだ。
しかし、絵が人とクジラで対話されているのを見ると非常にシュールだった……。
まあ、中盤で何故か人間になったクジラの妹とのイベント、イベント名「兄貴に40っと腕組みデート」はなかなかよかったがな!
人間の女の子を見てずっとしたかった、とはにかんだ妹は非常に可愛らしかったが、その意味に気付かない兄貴はもっと女心を40ッ!と言いたかったね。
あんなにわかりやすいアピールでも気付かんとはどれだけ鈍いんだこの兄貴は……とやきもきしたもんだ。
「40っと兄パンくんかくんか」なんておそろしいイベントもあったが……やめよう。思い出すのも恐ろしい。
……桐乃はまさかあんなことしてないよな?な?いや、流石にあいつに限ってそれはないか。うん。
さて、一応クリアはしたわけだし早速桐乃に報告に行くか。あいつ今部屋にいるかね?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「もう少しであたしも卒業か」
カレンダーを眺めながらあたしはそうつぶやいた。
去年から今にかけての二年。本当に色々あった。
始まりはあいつとの衝突から。
あの時メルルのDVDケースを落としてなかったらきっと今のあたしはなかったと思う。
趣味を誰にも明かせないで、悶々と日々を過ごして、もしかしたらお父さんに見つかってコレクションを捨てられていたかもしれない。
だってあたし、一回家にお父さん達いるのに「お兄ちゃんダイスキ…40ォォォー! キタキタキター!!」って叫んじゃったことあったし。
我ながらあれは失態だった。幸い、お母さん達にはよく聞こえてなかったし、あいつもいなかったから大事には至らなかったケド。
それを思うと、あの時あいつに人生相談を持ちかけてよかったと思う。
そういえばあの時だったっけ。あいつのことを「40りちゃんに何すんのよ!!」って蹴飛ばしたのは。
でも仕方ないじゃん。流石にあの選択はないでしょ?普通に考えれば優しくするもんでしょうが!
「……おい」
ビクゥ!!と体が跳ねた。バッと後ろを向いてみれば兄貴がそこに立っていた。
こ、こいついつの間にあたしの背後に!?
「あ、あんたなんで勝手にあたしの部屋に入ってんのよ!?」
「俺はノックしたぞ?反応ないからいねえと思ったけど、中覗いたらお前いるし。
気付かないお前も悪い」
「勝手に入ってきといてなによそれ」
「勝手に入ったのは悪かったよ。それより、何考えてたんだ?」
「え?」
「俺に気付かないぐらいなんだから何か考えごとでもしてたんじゃねえのか?」
「別に。色々あったなーって。あんたが関わってからろくなことがなかったなって思ってただけよ」
「悪かったな……」
「……嘘。だからそんなにすねないでよ。このシスコン」
「すねてなんかいねえよ」
「はいはい」
もう、そんな顔しながら言っても説得力ないのに。こういうところはこいつ子供っぽいよね。
あたしも人のこと言えないかもだケド。
それにしても、色々あったな。
「ねえ、あんたはさ、黒いのとかと初めて会った時のこと、覚えてる?」
「んなの当たり前だろ。あんなの忘れろってのが無理だ」
「それもそっか」
にひひ、自分で笑いが漏れるのがわかった。あたしが覚えていることを兄貴が覚えてるのが嬉しい。
「お前と黒猫の、メルルVSマスケラの40つな戦いは忘れられねえって。おまえ、あの時店中から注目浴びてたの気付いてなかったろ?」
「そ、そんなことないし」
「そうかあ?ま、いいんだけどよ」
そういってどこか優しげな顔で笑う兄貴。
あたしに対する兄貴の態度も、兄貴に対するあたしの態度も、随分柔らかくなったもんだと自分で思う。
前までのあたしならここでもっと突っかかってたんだろうな。これもいろんなことの積み重ねかな。
お父さんに趣味がばれてそれを取り上げられそうになった時、兄貴が体を張って守ってくれた。
たぶん、そのときかな。そんな兄貴のた40るところが好きになり始めたのは。
あやせと絶交しそうになった時、自分が悪者になってでもあたし達の間を取り持ってくれた。
兄貴のことが××かも40ない と思い始めたのはこの時から。
小説を書いて、熱で倒れたこともあったっけ。
実は、風邪ひいたら兄貴に40らしく甘えたい 、なんて思ってたなんて兄貴にはいえないよね。だって恥ずかしいし。
ふらついて、熱で40ヨレ兄部屋ドアに体当たり なんてことも考えてたけどそんな余裕もなかったし。
今更ながらもったいないことしたなあ。ま、あの頃のあたしがそこまで素直になれたかって聞かれたら首を横に振るしかないんだケド。
そういえばその小説を書くためにした取材。
あの時に買ってもらったピアスはまだ大切に保管してある。あたしの中で、一番のお気に入りだ。
でもこいつがあたしのことを丸顔だと思ってるってわかった時は思いっきりビンタしてやったけどね。
いーじゃん。丸顔はステータスなの。この顔は選ばれ40顔なの。それから随分後のこととはいえ、兄貴だってこの顔好きって言ってくれし。 うん。
ああ、ついでにあの日、40すの聖夜は兄貴とのラブホ記念日と言うことに自分の中ではしている。
その後か。あたしが兄貴に黙って留学しちゃったのは。
黙って留学して、自分に制約をかけて、自分勝手に潰れそうになって……そうして最後の手段として出した返事が
「よ、久しぶり」
そんなの誰が予想できるってのよ。メールを送ったのが前日の夜で、その翌日の夕方にメール送った相手が玄関にいるなんて思うわけないじゃん。
バカじゃないの?ドンだけシスコンなのよ。日本からアメリカまで、どれだけ時間かかると思ってるの?
40、久しぶりと言われて放心するあたしの気持ちもわかるでしょ。しかも「寂しくて死ぬかもしれない」なんてさ。
ほんとに……バカなんだから。
そんなことするから、あたしはあんたのこと兄貴としてだけじゃ見れなくなっちゃったんだから。
日本に帰ってきて、 いつかは兄貴の前で40らしくなるからと思ってても、今までの自分が邪魔をして素直になれなくて。
リアと勝負して、やっぱり兄貴の声援では40ば加速出来るんだと思い知らされて、兄貴もあたしが好きなのかなって勘違いして。
あたしの気持ちを40ッ!と告白してみればあの態度。思い出すだけでもイライラする。
その後の騒動はもう正直思い出したくもないんだけどね。もうあんな思いをするのは絶対嫌。
「兄貴はさ」
「あん?
「いつまであたしの傍にいてくれんの?」
「いきなりなんだよ?」
「いいから。答えて」
「まあ、そりゃ……お前が、彼氏、出来るまで?」
「あんたはそれでいいんだ?」
「……よくねえけど」
「だよね〜。あんな啖呵きっといてあんたがあたしに彼氏作るの許すわけないもんね。このシスコン。
あーあ、あんたのせいであたし彼氏の一人も作れないじゃん。どうしてくれんの?」
なんていうけど、内心そう言ってくれるのがたまらなく嬉しかったりしてる自分がおかしい。
自分を兄貴が独占したがってるって思うと、ね。やっぱり嬉しいじゃん。好きな人が自分を求めてくれるって言うのはさ。
「そりゃ、お前……」
「責任、とってくれんの?」
「…………お前が、嫌じゃなければ」
「な〜に〜?小さくて聞こえない〜!」
「〜〜〜っ!とるよ!取ればいいんだろうが!」
「ぷくく。何ムキになってんのよシスコン!」
「お前が煽るからだろうが!」
だって楽しいし。ずっとこうしていたいぐらいに。
「じゃあ責任とってもらおっかな」
「だから責任はとるって……」
「兄貴とF40でドライブ したい」
「…は?」
「だから、兄貴とF40でドライブしたい」
「……お前、バカだろ?」
「え〜、あんたいま責任とるっていったじゃん!」
「そういう意味じゃねえ!てかそんな金があるか!どうしてしたいなら沙織にでも頼みやがれ!」
「ばかじゃん?沙織でも出来ることとできないことがあるでしょ」
「じゃあそんなことを俺に頼むんじゃねえよ!」
まあ、もしかしたら沙織なら、って気はしなくもないけど、そんなこと頼めば
「京介氏ときりりん40ラブでござるの巻」とかいってから変われるだろうから言わないケド。
「じゃあさ」
「あんだよ。今みたいなこと言っても聞けねえぞ。と言うかそんなもん責任でも何でもないだろうが」
「わかってるって。そんなんじゃなくって、もっと簡単なことで責任とってくれればいいよ」
「なんだよ、簡単なことって」
「一生あたしの傍にいること。それで許してあげるわよ」
あたしとしては兄貴の子供と40週間ぐらい一緒にいる覚悟も出来ちゃってるし?
むしろこれを断られたら兄貴のことぶっ飛ばすけど。
「なんだ。随分簡単だな」
「そう?」
「おう」
「じゃあずっと一緒だね」
「だな」
あたしは今までは兄貴に40らしくなれないカワイイ妹だったかも知れないけど、ここまで言ってくれるならもう大丈夫かもね。
へんな意地張らなくてもいいかも。そうなれればいいな。もう絶対に、兄貴のこと離さないからね。
「んじゃ、これからもよろしく」
「まかせとけ」
京介、大好きだよ。
-おわり-
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最終更新:2011年05月04日 01:22