140 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/07(土) 22:02:05.26 ID:lQA3pCRE0 [3/3]


わたしは、桐乃の部屋で桐乃と対峙しています。
わたし達の間には、張り詰めた空気と―――



そして、その張り詰めた空気の中央には、桐乃のお兄さんのパンツがあります………



「桐乃!やっぱりおかしいよ、お兄さんのパンツが好きだなんて!」
「だから?あたしが何を好きでも、あやせには関係ないじゃん!」
「関係あるっ!わたし、桐乃の事、本当に尊敬していた。
 どんなことにも一生懸命で決して諦めない、そうだったでしょっ!?」
「あたしは、今だってそうしようと思ってるし、そうしているつもり。」

桐乃は淀みなく、そう答えます。
本気?桐乃は本気でそう思ってるの?………でもっ!

「嘘。それは嘘っ!だって………だって、桐乃が本当に一番大好きなのはお兄さんでしょっ!」
「えっ!?………あ、あたしそんな事!」
「答えてっ!答えてよ桐乃っ!本当の事を言ってよぉ………」

気がつけば、わたしの目からは涙がこぼれ、お気に入りのスカートを次々に濡らしていきます。
わたしは怒ってるんじゃない、ただ悲しいんです。
桐乃が自分の気持ちに嘘をついて、ただの代用品で満足している様が………

「あやせ………わかった。あたしの本当の気持ちを教えるね。」
「う、うん………。」

わたしの気持ちは桐乃に届いたのでしょうか?
わたしは………桐乃には、どんな許されない行為であっても、自分の気持ちを貫いて欲しいのです。

桐乃は、わたしの親友で、憧れで―――
そうだ、また、わたしは、わたしの我がままを桐乃に押し付けているのですね。
でも、桐乃が代用品で満足するなんて、私の中の最後の一線を超えてしまう行為だから………

「あやせ。あたし、兄貴の事が大好き。」
「うん。」
「兄貴が居なくなったら、多分死んじゃうくらい大好き。」

桐乃………お兄さんの事、そんなに………でも、それならもっと!

「それじゃあ、なんでっ!なんでパンツなんかで我慢できるのっ!」
「えっ!?」
「………………………えぇっ!?」

桐乃の反応は、わたしには意外すぎました。
てっきり、お兄さんの代わりに、お兄さんのパンツを愛してるのかとおもったけど………

「あ、あやせ。勘違いしてるみたいだけど、あたしと兄貴、そ、そのっ………」
「まさか、恋人同士とか言わないよね?そんな事あるわけないよね!?」
「こっ、恋人っ………みたいなっ………」

そうなんだ、そうだったんだ………
わたしは、少しだけ、ほんの少しだけの胸の痛みと引き換えに、
わたしの一番の親友は、やっぱりわたしの憧れであってくれたことに安堵しました。

でも、やっぱり疑念は残ります。

「でも、それなら………なんで、お兄さんのパンツを嗅いでるの?」
「だから言ったじゃん。兄貴のパンツも大好きって!」

お兄さんの代用ではなくって、本当に、ただ単純に、お兄さんのパンツが好き?

「お、おかしいよ!もっとおかしいよ!桐乃っ!パンツみたいな汚いものが好きだなんてっ!」
「全然おかしくないって。つか、兄パンってちょうイイ匂いするし〜」
「に、匂い!?………ふ、普通はクサイでしょ?」
「ううん?ほんっとイイ匂いなんだよ!あたしのオススメはここ。
 兄貴のリヴァイアサンの頭が当たってるあたり。」

わ、わたしの桐乃が………頭のネジがはずれた子になってる………
はやく、正常に戻さないとっ!

「せっかくだし、あやせも嗅いでみる?」
「な、ななな、なんでわたしが変態お兄さんのパンツを嗅がないといけないのっ!」
「だって、『匂い』って言葉に反応するあたり、あやせも興味あるんでしょ?」
「興味………無理ですっ!変態お兄さんのパンツなんて絶対無理っ!」
「そ、そっか………」

わたしったら何を考えて………

「それじゃ………あ、あたしのパンツなら嗅いでみる?」
「う、うん!」

あれ?わたし、何を言って………?

「はい、これ。」

桐乃は、わたしの目の前で器用にパンツを脱いで、わたしに渡してきました。
脱いだばかりの桐乃のパンツはほんのり温かく、そして、心なしか湿っているように感じられました。

「こ、これを嗅ぐの?」
「うん。とりあえず、あやせは初心者だから、鼻からちょっと離して吸い込んでみるといいかも。」

初心者!?桐乃は上級者なの!?

そんなどうでも良い事を考えている間にも、わたしの手は無意識にパンツを持ち上げて、そして―――

スンスン………スンスン………

き、桐乃の香りがするっ!
甘くってその中にも清涼感があって、まるでシルクを触っているような繊細な匂い………
これが、桐乃のぱんつの匂いなんだ………クセになっちゃいそう………





「あやせ?あやせ。大丈夫?」

一体どれだけの時間、気を失っていたのでしょう。
気がつくと、わたしの視界には、心配そうな顔をした桐乃がうつっていました。

「うん、大丈夫。」
「やっぱ、初心者なのに、あんなに近づけて嗅いだらまずいって。」
「そ、そんなに近づけてた?」
「顔に押し付けるくらい?」

な、なんてこと………
これじゃ、わたしまで変態の仲間入りじゃないですか………
で、でも、桐乃と同じになれたんだからいいかなっ………?

そう、思った矢先―――

「ぱんつっ!ぱんつっ!桐パンハァハァ」

何処かからか、気持ちの悪い男の声が聞こえてきた。
これは………となりの部屋!?

「あー、兄貴学校から帰ってきたっぽいね。」
「き、桐乃!?お、お兄さん、あ、あんな変態的なことっ!」
「ん?そうでもないよ?」
「な、なんでっ………あの変態お兄さんっ、桐乃の、パ、パンツをっ!」
「うんっ!あたしがあげたの。兄貴、あたしのパンツを嗅ぐのが好きなんだ!」

な、何なんですかっ!変態っ!変態っ!変態っ!!!
わたしの中の………桐乃とお兄さんのイメージを………これ以上壊さないでっ………!

「そ、それにしたって、こんな気持ちの―――」
「さっきのあやせ、もっと凄かったもんね!兄貴もまだまだだよねっ!」
「………………うっ」
「う?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーん」



SS『桐パン』End.



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最終更新:2011年05月07日 22:33