635 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 20:28:26.93 ID:aD/rkvei0 [4/8]
SS『隠し場所』
9月に入って割とすぐ、放課後に俺は赤城を呼び止めていた。
「よぉ、赤城」
「んだよ、高坂」
「ほれ、いつぞやのDVDだ」
「いつぞやの?………って田村さん似のっ!」
おまえ、そこにはやけにこだわるのな?
まあ、いいんだけど。
「ああ、そうだな」
「で、どうしたんだよ?」
「いや、ずっと俺が持ってたろ?このDVD
だから、そろそろおまえにも渡そうと思ってたんだよ」
「そうかよ?意外だな。俺はおまえのことだ、ぜってー手放さないと思ってたんだが?」
んだと?そりゃ、俺も金出したけどよ?大部分おまえが出しただろ?
つか、それ以上になあ………
「なんつーかな………最近、全然抜けねーんだよ」
「そりゃそーだろ?おまえ、一体どんだけ長い間持ってたと思ってんだよ」
そいつを言われるとつれーぜ。
「ま、まあな。それと………こいつだ」
「………なんだ?この、エロ本の山は?」
「俺の過去のコレクションの数々だぜ?」
「眼鏡、巨乳、顔○って文字ばっかり見えるぜ?」
うっせー。どうせ、おめーだって、ロクでもねーものコレクションしてんだろ?
だけど、確かに………な。
「そう、なんだよな………」
「おい、高坂、おまえ本当にどうしたんだよ?」
「なんつーか、こいつらでも、全然抜けねーんだよ………」
「で、そんな地雷本ばっか俺に渡そうってか?」
「いや、そうじゃねー!全部、俺にとって至高の一品だった………だったんだよ………」
本気だった、何故か涙がでそうになってきた………
さらば、俺の青春………みたいな、もう、子供にはもどれねーって感じだ………
「だった………だと?」
「ああ。前は、これじゃねーと抜けねーとか思ってたのによ………
いまじゃ、俺のリヴァイアサンがピクリともしねーんだよ………」
「で、おまえの隠し場所から出てくるハメになったわけか」
「そうだ………だけどよ、捨てるのもなんかもったいねーだろ?」
何度も言うようだが、アレは俺の青春だったんだよ!
巨乳眼鏡に○射!
コレが至高の一品だったんだよ………
「仕方ねーな、俺が代わりに使ってやるよ、安心しろよ!」
「ああ、ありがとう、赤城。さすが俺の心の友だぜ!」
「ふっ…言ったろ?友情は!」
「見返りを!」
「「求めないっ!!!」」
さすが馬鹿だ。
いや、俺もかもしれねーが。
「それにしてもよ、高坂」
「ん?なんだよ」
「おまえ、それじゃ今、何を買ってやがるんだ?」
「ああ、エロ本とか、エロビデオからは卒業………だな」
悲しくなんてないぜ?
多分、どんな人間だって、必ず卒業する日が来るはずだものな。
「なん………だと………?」
「すまんな、赤城。俺は一足先に、別の世界に旅立つようだぜ………」
「こ、高坂ぁーーー!ダメだっ!そっちの世界はダメだぁっ!!!」
「な、何大声出してんだよ?」
「俺の妹は確かに可愛いし、天使だっ!」
「はぁ?」
何言ってんだ?コイツ
「だけどよっ!高坂!瀬菜ちゃんの趣味に汚染されるのだけはっ!」
「ちげーよっ!!!汚染されてんのはてめーの頭だっ!!!」
なんつーおぞましい想像してやがんだ!?こいつはよぉ!?
「ち、違うのか………」
「ちげえよ、世にもおぞましい光景が浮かんじまったじゃねーか………」
「そ、それじゃあ、性欲そのものが無くなっちまったのかよ?」
「いや、むしろ逆だ。これまで以上だ。」
「それじゃあ、どうやってんだよ?てめーの話は矛盾だらけだろーが!」
聞いたな?聞いたよな?聞いちゃったよなー?
それじゃ、俺は答えねーっつーわけにはいかねーよな?
もちろん、俺は答えたくなんてねーぜ?
だけどよ?このままじゃ赤城が誤解したままだろ?
だから、俺は答えなきゃならないってわけだ。
「最近、俺の隠し場所にあるのはな………」
「あるのは………?」
「俺の妹のプライベート写真集だぜっ!!!」
「………高………坂………?」
ん?なんだよ、そのハトが豆鉄砲くらったようなツラはよ?
「ほら、俺の妹ってスタイルいいし、顔も世界最高だろ?」
「………世界最高って言いやがったぜ?コイツ………」
「それに、俺の好みの胸っ!小さくも無く、さりとて大きくもなく、実に絶妙なバランスだぜ!
大きさだけじゃねー、どこかの乳女と違って、弾力も十分。揉んだときすっげー気持ちいいんだぜ!」
「揉んだ?おまえ、自分の妹の胸揉んだだと?」
「それに、メイド服や水着、普段着も色んなバリエーションがあるしよっ!
メルルコスとかマジ死ぬしっ!はい死んだー!俺死んだーーー!!!」
「い、痛ってぇ………」
「ほんとうに、すげーんだぜ!?実際にエロい事してなくても十分すぎるくれー抜けるぜっ!」
「こ、高坂………」
ん?何だよ?
「とりあえず、おまえの気持ちはわかった」
「さすがだな!友よっ!」
「………………………ああ!
だからな、俺は、おまえから受け取った本やDVDを持って家に帰らなきゃなんねー」
「そうだな、ここで立ち話し続けるのもアレだな」
「じゃ、じゃあな!」
「ああ、また明日な!」
良かったぜ、赤城のヤツも喜んでくれたようだ。
それに、何より、俺には桐乃の写真集がある。
まだ一冊しか出来てねーが、これからあの隠し場所に収まりきらねーくらい増えてくれるよな。
そう思うと、これから先のことが本当に楽しみだ。
桐乃………大好きだぜっ!
End.
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最終更新:2011年05月15日 18:11