40 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/24(火) 19:14:00.10 ID:OMW4Ks9I0
SS『水着』※OPの水着ネタ
高校生になってはじめての夏休み。
わたし達は海に泳ぎに行く計画を立てる事になりました。
わたしはそんなに乗り気じゃないのですけれど………
「それにしたってさー、女の子だけって何か怖くない?」
「わたしもそう思う。やっぱり、やめにしない?ね、加奈子?」
「んだよー。んじゃ親連れてってかよぉ?マジつまんねーし」
「そうだよ。せっかくの夏休みだし、親が居るのなんて楽しめないよ」
「さっすがラン~~、ノリいいじゃんよぉ~!」
つまり、ランちゃんと加奈子がノリノリで、
わたしと桐乃が渋っていて、話がなかなか先に進みません。
わたしも勿論遊びには行きたいのですけど、やっぱり、桐乃と同じで怖いです。
だって、桐乃はあんなに綺麗だし、加奈子だって可愛いし、
ランちゃんだって魅力的な体だし………
わたしが男の人だったら絶対に放っておかないと思うんです。
「やっぱ、あたし無理。お父さん達も心配するし、兄貴はもっと心配するから」
「え゛ーーー!ぜってー大丈夫だってー」
「桐乃ーーーカクゴしてよぉ~、私達、もう高校生だよー?」
桐乃はとっても嫌がってるみたいで、可哀想です。
でも、加奈子もランちゃんも楽しみにしていたみたいで、
無理に断るのも悪いなって気がします。
親が付いてこなくて、だけど女の子だけじゃなくって………そうだ!
「桐乃。お兄さんに来てもらうってどうかな?」
「えっ!?あ、兄貴に?」
「桐乃の兄貴ぃ?あー、あの地味なやつかよぉ」
「あっ!桐乃を襲おうとしてた変態お兄さん?アレ、マジ受けたしっ!」
「ちょっ、加奈子ぉ、ランちん、あの時はただの事故だって説明したじゃん~」
あの時『は』?
桐乃の説明に少しだけ不安になりながらも、桐乃の説得を続けてみます。
「お兄さんならもう大学生ですし、わたし達の保護者として来てもらえるなら、
お父さんもお母さんも安心してくれるかなって」
「そっか、そだよね………うん、分かった。それじゃ、行こっか?」
「よっしゃぁぁぁぁぁーーーー!加奈子の時代が来たぜぇぇぇぇぇっ!」
「加奈子ー、はしゃぎすぎー。でも、楽しみだよねー」
とりあえずみんな納得してくれたみたいです。
それに、本当の事を言えば、わたしもとっても楽しみです。
そんな事があった翌日、学校からの帰り道。
わたしは桐乃と旅行のプランを話し合っていました。
「ところでさ、やっぱさ、新しい水着買った方がいいよね?」
「えっ………?」
「そのっ、あ、あいつに見せたいってワケじゃないけど、
新品の方が気分が良いっていうかー」
お兄さんに新品の水着を見せたいのがバレバレです。
でも、桐乃はもうちょっと何か言いたいみたいです。
きっと一緒にデパートまで水着を見に行かないってお話だと思いますけど。
「そ、それでね、新しい水着が合ってるか、京介に見てもらおうと思うんだけど、
………あやせも一緒に見てもらわない?」
………き、桐乃?
あ、あの変態お兄さんの前で、おニューの水着を披露するの………?
「そ、そのっ、べ、別にイヤだったら無理しなくていからっ!」
お兄さんに、水着姿を………そ、想像するだけで寒気がしてきましたっ!
でも、わたしが行かなかったら、桐乃は水着だけでお兄さんの前に立って、
お兄さんは『ふひひ………桐乃の水着はぁはぁ』とか言う事になって、
『み、水着だけじゃなくって、中も見せろよ、はぁはぁ』なんて言い出してっ!!!
「行きますっ!!!」
「きゃっ………び、びっくりした」
「ご、ごめんね、桐乃。でも、絶対行くから」
「う、うん………それじゃあ、次の日曜日ね」
「うん、それじゃね」
わたしは桐乃と別れ、自宅へと急ぎます。
お兄さんがヘンな事をしようとしたときの為に、対策をとっておかないと………
そして、日曜日がやってきました。
前からの打ち合わせ通り、桐乃の部屋で着替えてから、お兄さんの部屋へと向かいます。
わたしはAラインのワンピース。白がベースでスカートだけが青いのがポイントです。
桐乃は黄色のビキニ。桐乃によく似合ってますけど、その、面積が………
「ところで、あやせ」
「何?」
「その、手に持っている紙、何?」
「ごめん、桐乃。ちょっとまだ秘密」
お兄さんの部屋に入るのは、これで何度目でしょうか?
わたしが会うたびにセクハラをしてくる変態お兄さん。
わたし一人で会う時は、あまりにも身の危険を感じるので、手錠で拘束するのですけど、
今日は桐乃も居るので、そういうわけにも行かないです。
でも、わたしと桐乃の………
特に桐乃に危険を及ぼさない為に、特別性の罠を用意したんです。
それが、この紙。
一見普通の紙ですけど、とっても摩擦が少なくて滑りやすい紙です。
これをお兄さんの手前に敷けば、お兄さんが桐乃に近づくような事があっても、
すぐに滑って転んでしまうはずです。
「京介ー、入るよ」
「おう、入ってくれ」
あれ?桐乃、お兄さんの事名前で呼んでる?
学校じゃ、『あいつ』とか『兄貴』って言ってるのに?
「す、すげえな………」
お兄さんのイヤらしい声が、わたしを思索から呼び戻します。
「どう?すごいでしょ?
あたしも勿論凄いけど、あやせの水着も大人っぽくて良いでしょ?」
「ああ、マジすげえ。感動してる」
へ、変態っ!!!ま、まだわたしを見てるから大丈夫だけど………
そ、そうです。今のうちです。
わたしはお兄さんの目の前に件の紙を敷いていきます。
「あ、あやせ?何やってんの?」
「ごめんね、桐乃。もうちょっとだけ秘密だから」
ふと、お兄さんの方を振り向くと、何か妙な体勢をしています。
上半身を傾けて、首を前に出して………?
「あんた、何やってんの?」
「な、なんでも、ないぞ?」
「ふーん?」
も、もしかして、わたしの行動が不自然すぎたのでしょうか?
桐乃を守るための行動が、お兄さんにバレてたら元も子もないのにっ!
「で?」
「で?、って何だよ」
「感想」
「感想って、さっき言ったろ?感動してるって」
「短すぎ、そんなんで大学生やってられんの?つか、企業面接とかで落とされるでしょ?」
「む、無茶苦茶だなっ!」
「はいはい。さっさと感想言ってよね」
「わ、わかった」
と、とりあえず、バレてない?
それにしても、お兄さんがどういう感想を持ったか………気になります。
いえ、勿論、お兄さんがどう思ったかが重要なわけじゃないです!
え、えっちな事考えてないか、チェックする必要があるだけですからっ!
「そ、それじゃ、あやせの方からな」
「うん」
「まず、実に清楚な感じがあって素晴らしい!
近頃のJKと言えばビッチなのは間違いないと思っていたが、
ヘソさえ見せないAラインのワンピースが逆にそそるぜ!
それでいて、そのスカートからちらりと覗く、可愛らしいパンツっ!
幼さを兼ね備えたJKだからこそできる、至高の組み合わせだな!」
「「………変態」」
やっぱり、お兄さんって変態すぎますっ!
あ、あまりにあまりな事を言うから、か、顔が熱くなってきたじゃないですかっ!
と、当然、怒ってるからですからねっ!
「でさぁ、さっきから、あたしの方、全然見てないじゃん?」
「そ、そ、そんなこと、ないぜ!?」
そういえば確かに、先程からお兄さん、全然桐乃を見てないですね?
もしかして、やっと、桐乃をイヤらしい目で見てはいけないと悟ってくれたのでしょうか?
「じゃあ、見てるなら感想」
「か、感想………い、言わなきゃいけないのか?」
あ、あれ?
桐乃に問い詰められたお兄さんは何故か焦ってるみたいです。
一体どうしたんでしょう?
「あの、お兄さん。桐乃もお兄さんに見てもらいたくて、
せっかく水着を着たんですから………」
「そ、そうか」
お兄さんは何かを決意したような必死な面持ちで、桐乃に向かい直りました。
「お、おまえの水着だがな………」
「う、うん」
桐乃はお兄さんの感想をとっても期待しているような面持ちです。
普段の桐乃からは考えられない、緩みきった表情………
一体、お兄さんと桐乃って、どこまでの関係なんでしょう?
「お、おまえのビキニは………目に毒だ!」
「えっ」
「そもそもなっ、お前の体、俺の性癖どストライクなんだよっ!
スレンダーでウエストがキュっと引き締まってるわりに、
おっぱいも尻もすっげぇぷにぷにしてて、興奮すんだよっ!
つーかさっき前かがみになってたのも、あやせたんの胸チラと、
おまえのおっぱいに興奮しちまって、リヴァイアサンが抑えられなくなったんだよっ!
それにっ!そのヒモの部分だっ!おまえの体のラインがハッキリ見えて、マジヤバイ!
そ、そのうえっ!お、おまえの前を隠してる部分っ!小さすぎだろっ!!!!
見えそうで見えねーこのモヤモヤ感っ!どうしてくれん―――」
「死ねっ!!!この変態っ!!!!」
わたしはお兄さんを蹴り上げようと足を踏み出し―――
目の前の光景が回転していくのを見ました。
しまった、自分で仕掛けた罠に引っかかるなんて………
でも、倒れたら、お兄さんに直接見られちゃう!
何かに、何かにつかまらないとっ!
わたしの右手は何か細いものを掴み、そして―――
ドスンッ
しりもちをついてしまったわたしは、
自分の手にあるものが何かを認識するのに数秒要しました。
黄色いヒモに、黄色い布………?
………………………………
あ、ああっ!?
「き、きゃあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!」
部屋に桐乃の悲鳴が響きます。
「ま、待てっ!これは事故っ!」
「お兄さん、い、今、見ましたね、見ましたよねっ!!!」
「だ、だからこれは事故っ!」
「だったら、何で今もわたしの方を見ないで、桐乃をガン見してるんでしょうね………」
「まっ、待てっ!ご、誤解っ!」
「しっ、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
結局、機嫌を完全に損ねてしまった桐乃をなだめるのに、
お兄さんともども平身低頭、なんども謝ることになってしまいました。
も、元はと言えば、お兄さんが変態なのがいけないのにっ!
でも―――
お兄さんを見る桐乃の目が、怒ってるだけじゃなくて、
何かを期待するみたいに、少し潤んでいたような気がするのは、
わたしの錯覚だったのでしょうか………?
いえ、錯覚に決まってますよね!
それはともかく。その後にあった事です。
泊りがけで遊びに行くという加奈子。
それに同調するランちゃん。
そして、何故か2人部屋と3人部屋に分かれることを主張する桐乃。
………海に遊びに行くのが今からとっても不安になってきました。
End.
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最終更新:2011年05月29日 22:54