430:名無しさん@お腹いっぱい。: 2011/06/15(水) 01:43:45.66 ID:THt4kK020
>>423
ルートB
ちょっと切ないお話。
かなかなマジ男前。
そんな続きです。

【SS】恋多き乙女・桐乃【ルートB】

「桐乃ってばよぉ、今の三人の中でさぁ、ダレが一番好きなんよ?」

「はぁ!?」

「話を聞ぃてっとよぉ~、桐乃どいつもこいつも好きみてぇじゃん?
 ならよぉ、そん中でダレがどれだけ好きなんよ?
 それともぉ~三人ともアソビなワケぇ?」

やっぱりさ、ユウセンジュンイって大事だって思うわけよ。
自分の中で一番を決めておかないと、結局みんな傷つくことだってあるしさ。
加奈子、そんなの好きじゃねーし。

「え、えっと・・・・・・三人の中から選べって、そんなことできるわけないじゃん・・・・・・」

桐乃のことだからお兄さんが一番かと思ったけどよ、別にそういうわけじゃねーんだな。

「もしかしてぇミツマタってやつぅ?
 加奈子ぉ桐乃の書いた小説読んだけどぉ桐乃はいろんなヤツと恋愛したいわけぇ?」

桐乃の書いた小説は読んだけどよ、あんまり加奈子の好みじゃなかったんだよね。
話の中でリノは結構いろんなヤツにカラダ許してるしさ。
リノが相手のことが大好きなのもわかるし?
そういう恋愛があるのもわかるんだけどよ、
加奈子としては最初から最後まで、一人のことが大好きな話が好きなんだよね。

「あ、あれはただの創作だもん。
 それにモデルだって一人のヤツだしさ」

「あ~!やっぱ一番に好きなヤツいんじゃんよぉ~。
 話からするとぉ、ピアスのヤツ?」

桐乃が小説書いてたのってクリスマスくらいだったよな。
話の中にもピアス買ってくれたヤツがいたし、そいつがモデルじゃね?

「それ、私も気になるな。
 桐乃、その人のことどれくらい好きなの?」

あやせが笑いながら桐乃につめよる。

「え、えっとぉ~」

あやせが怖い顔してっけどよ、そのおかげで怯えた桐乃からホンネが聞けそうじゃん。

「そ、そんなの、言えるわけないジャン・・・・・・
 あたしにとってあいつがどれだけ大切かなんてわかんないし・・・・・・」

「ふ~ん。別に大切なんかじゃないって言わねぇ~んだぁ?」

桐乃の顔が赤く染まる。

・・・・・・あれ?桐乃の今の返事、ちょっと違くね?

 A.『好きか』って質問に『大切』って答えたよな?
⇒B.まぁ、いいか。それよりも告白とかしねぇの?

まぁ、いいか。それよりもぉ~

「じゃあよぉ、告ったりはしねぇの~?」

加奈子ほどじゃないけどさ、桐乃って結構モテるんだよね。
告れば間違いなく落ちると思うんだけどよ。

「そ、そんなことできるワケないじゃん!
 だってあいつ今さ、
 ・・・・・・彼女いるから」

「あ・・・・・・」

桐乃とあやせの表情が沈み込む。

ふ~ん。どいつだかわかんねーけどよ、そいつ彼女いるんだ。

聞いた感じどいつもぱっとしねーヤツみてーだけどさ、桐乃とあやせが入れ込んでるみてーだしよ、
目立たないだけで結構すごいやつだと思うんだよね。

もしかしたら結構もててたのかもしんねーな。



桐乃もあやせもしょげてしまい、誰も喋ろうとしない。
特に、桐乃は今にも泣きそうだった。

なんだよ、シケたツラしやがってよ。
加奈子にそんな顔みせんなっつーの。

「・・・・・・じゃあよ、桐乃はあきらめんのかよ」

桐乃の肩がピクリと揺れる。

「しかたないじゃん。絶対に無理なんだし・・・・・・」

桐乃と会ってから大分経つけどよ、桐乃があきらめる姿ははじめて見る気がする。
確かに桐乃はスゲーやつだけどよ、できねーこともあるんだよな。
まぁ加奈子も桐乃もただの中学生だし?あきらめなきゃなんねーこともいっぱいあるんだろうけどヨ。


それでも加奈子はさ、桐乃のそんな姿、見たくないんだよね。


「・・・・・・加奈子はさぁ、ベタな恋愛物が好きなんだ」

桐乃が顔を上げて加奈子を見る。

「いるわけないような最高なカップルがいてさ、ありえない展開が起こんの。
 男も女ももすっごい良いヤツで、お互い超好き合ってて、それで最後までずっと一緒なの。
 最後は二人が結ばれてさ、最っ高に幸せになんの」

桐乃はすっげぇいいヤツで、たぶん桐乃が好きなヤツもすっげぇいいヤツなんだよね。
でもさ、やっぱり恋にショウガイは付き物なわけよ。

「そんなの作り物の嘘っぱちだし、ゲンジツだと無理ってわかってるけどさ。
でもさ、それでもそんな恋愛がしたいってんならさぁ」

加奈子たちも、たぶんそいつもガキだからさ、何でもうまくいくってハズないんだよね。
そんなことは知ってるよ。
たとえば、もし桐乃が一番好きなヤツが桐乃のお兄さんだとしたらよ、ゼッテー叶うハズないじゃん?
けど、やっぱり加奈子たちガキだからさ、納得できないわけよ。
それならさ、

「全力でぶつかっていくしかねーじゃん」

それしか、ないんだよ。

「そりゃドラマや映画みたいにはいかねーけどよ、でもあきらめられねーならそーするしかないっしょ?」

そんで加奈子はさ、桐乃にはずっと前を見ていて欲しいんだよね。
だって桐乃は、加奈子の『大切なダチ』だからさ。

「でもさ、全力でやっても、どれだけ自分を追い込んでも、できないこともさ、あるんだよ」

桐乃はアメリカまで留学に行って、来年まで帰ってこないハズだった。
詳しい話は聞かなかったけどよ、桐乃を見てるとさ、ダメだったってのがわかっちまうんだよね。
見せようとしねーけど、桐乃が落ち込んでたことが分かるからさ、連絡してこなかったことはあんま触れてやんなかったんだよな。
そんで、もう会えねーんじゃねーかって思ってた桐乃をよ、こっちに引っ張ってきたヤツって、

「けどよ、よく知らねーけどさ、桐乃のお兄さんはそんなのにも立ち向かっていったんだろ?」

桐乃ってばよ、ガンコだからさ、加奈子とかあやせじゃ絶対に連れ戻せなかったんだよね。
桐乃のお兄さんもさ、桐乃にとって特別だってだけじゃ絶対に無理だったと思うわけよ。
それでも桐乃を説得できたってのは、

「あたしも桐乃のお兄さんみたいにばかだからわかんだけどさ、たぶん桐乃のお兄さんはさぁ、桐乃のためにがんばったんじゃないんだよね。
 なんていうかさ、自分のため?そんな気がすんだよな」

帰ってきた桐乃は落ち込んでたけどさ、なんか吹っ切れてた。
未練がないわけはずないんだけどよ、それ以上の何かがあったんじゃねーの?

「桐乃が落ち込んでんのがイヤでさ、桐乃のことを考えずにガムシャラにやったんじゃねーの?
 じゃなきゃ誰かのためにそこまでやれねーって」

桐乃のお兄さんてさ、桐乃のことがすっげー大事なんだよね。
加奈子ほとんど聞き流してるけどよ、桐乃の顔を見れば大事にされてるのまるわかりだっつーの。
だから自分のこと以上に頑張れるんだよ。
なぁ桐乃、ちゃんとわかってやってんのかヨ?

「結局さ、ゼッタイに譲れないならさぁ、相手の気持ちを無視してでもホンネをぶつけるしかねーじゃん。
 桐乃のお兄さんみたいにさ、全力で真っ直ぐ立ち向かっていって、ショージキなキモチを伝えて、自分の望みを押し通すの。
 桐乃はそうやって助けられてきたんじゃねーの?」

自分の気持ちに正直に行動できるって、桐乃のお兄さん結構スゴくね?
ほとんど話してねーからわかんねーけどさぁ、加奈子と相性良さそうだよね。
桐乃、いいお兄さんがいてうらやましいなぁ。

「―うん、そうだね。
 でもあたし、どうやればいいかわかんないしさ」

「桐乃はずっとそばでお兄さんを見てきたんだろ?
 ならよぉ、お兄さんならこうするんじゃないかって考えて動けばいーんじゃね?」

「兄貴みたいに?」

桐乃が顔をあげる。

「それでもダメならよー、それこそお兄さんに頼ってもいいしさ?
 言ってくれればよーあやせだって力になるだろうし?


 なんならさ、加奈子も助けてやっからヨ」


「加奈子・・・・・・」

桐乃が真っ直ぐこちらを見つめる。

「まっ、そういうことだからヨ」

そんな見つめてくんなよ、恥ずかしい。

「・・・・・・ありがとうね、加奈子」

加奈子も見とれるような笑顔で桐乃が笑う。

やっぱ、桐乃には笑ってんのが一番だよな。



「うん、決めた」

しばらくして加奈子が追加注文したバナナパフェが届くころ、桐乃はそう言った。

「告白はしない」

「・・・・・・いいのかヨ?」

「うん。あいつの彼女はさ、あいつにはもったいないくらいいい子だし、あいつもその子のこと、その、好き、みたいだからさ、
 無理やり別れさせることなんてできないし」

「まぁいいけどヨ」

結局あきらめんのかよ。桐乃らしくねーな。
隣であやせもしょげてるぜ?

「でもね」

桐乃はにぃっと笑う。

「絶対にあきらめない。
 これからもアピールしてくし、もしあいつが悲しそうにしたら絶対に別れさせる」

桐乃は吹っ切れたような顔で、少し楽しそうに言った。
そうそう。
これが、加奈子の知っている高坂桐乃なんだよね。

「ひひ、だってよぉ、あやせぇ。
 うかうかしてるとぉ~取られちまうぜぇ?」

「私は別にお兄さんのことなんかどうとも思ってないから!」

あやせは顔を赤くして手をぶんぶんと振る。

「ふ~ん。あやせの本命はぁ、桐乃のお兄さんなんだぁ」

ひひ、いい話聞いちまったぁっと。

「加・奈・子?」

「なによ」

「あとで、少しお話しようか」

あやせが笑顔で言う。

「ひぃ!」

マジ怖ぇんだけど!
あやせさん、それぜってぇお話で終わらないよなぁ!

「っと言いたいとこだけど、今日は許してあげるね」

え?許してくれるワケ?
加奈子、初めてこのデカブスが天使に見えたんですけど!

「でもその代わり、加奈子の好きな人教えてくれないかな?」

あやせがにこりと笑う。

「あ~あたしも知りた~い!
 加奈子、時々ケータイをじっと見てるときあるよね。
 あれ誰の写メ見てんの~?」

げぇっ!桐乃も食いついてきやがった。
ってか、気づいてたのかよ。

まぁ別に好きなわけじゃねぇし?言ってもかまわないんだよね。
それに、あやせには言いたいことがあったしよ。

「いいけどよぉ、その代わりぃ、加奈子のお願い一つ聞いてくれないかなぁ?」

「う~ん。変なお願いじゃなければいいよ?」

さぁて、加奈子も頑張ろうかなぁ。


「じゃあよぉ、もう一度糞マネに会わせてくんねぇ?」


-GOOD END-






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最終更新:2011年06月19日 19:51