111:《SS神猫》:2011/06/18(土) 09:13:01.96 ID:6WRBf2e/0

ウチの家族は今どきにしては珍しく、必ず家族全員で食卓を囲む。
それは今日とて例外じゃあなく、例にもよってお袋に催促された俺は桐乃を呼んで来るはめになった。

昔なら呼びに行くたびに睨まれた上、舌打ちなんて当たり前。そりゃ億劫で仕方なかったもんだが今はそうでもない。
あの夏の一件を経てから、俺と桐乃の仲は目に見えて改善されてるからな。

――少なくとも、呼びに来ただけで睨まれたり、舌打ちされないくらいには…だが。

桐乃の部屋に向かいながらに、気付けば俺の口元は何故だか緩んでいた。
ほんと、何故だかわかんねーが、まぁ……どうでもいいか。

ガチャッ
「桐乃ー、メシだぞーお袋が呼んで………………」

「♪……♪…」

「る………………」

絶句。

あー………
今起こったことをありのままに話すぜ

勝手知ったる部屋の先、鏡の前、そこに立ってたのは……神猫だった。
しかも、スカートの両サイドを摘み、満足気に鏡を見つめる桐乃らしき姿の……神猫だ。

何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何がなんだか良く分からなかった…

「………!………………………??」

突如硬直し、
ギギギと音でも鳴りそうな不自然な挙動で振り向けば、俺を見るなり幽霊でも見たかのように顔を強張らせる桐乃。

「なっ…ちょ、え…と、あ……あああああああんた………ななんで!」

驚き過ぎだろ…!噛みっ噛みじゃねーか、むしろ驚いてんのはこっちだよ!

「…メシだからな。……てか、その服って黒猫の着」

「あああああああああ!言うな!出て、出てって!!」

「うお!バカ、お前っ…いきなり逆切れすんな!痛っ」

「うっさい、うっさいうっさいうっさい!!!!!!」

言うなり逆上。
いつもにも増して遠慮のないタックルに思わず尻餅をつく、こいつ…全く攻撃を止めやしねー
なんなのこれ?なんで俺叩かれてんだ……!?理不尽メーターいい加減限界突破なんすけど!

「だから、やめろっての!」
「きゃっ…」
桐乃を腕で払う、それと同時に、何かに掠めたような感触があった。

「……っと。わ、わりい」

はらり

「あ」
「え?」
桐乃と声が重なる。
我ながらアホみたいな声を上げちまった。

そして俺の視線は……一点に集中している。

揉み合いの拍子に落ちた長い長いスカートの中、膝上十数センチのミニスカの合間から覗く、絶対領域に。

「ガーター………だと………?」

「100回死ねえええええええええええええええええええええええ!!!!!」



桐乃の怒号を最後に俺の意識は途絶えた。だが、後悔はしていない。




~後日談~
「そういえば桐乃、貸してあげた衣装は着てみたかしら?
……一応、推定だけどあなた用に採寸は合わせてみたのだけれど」

「――――…ッ」
「あー…悪くはなかったケドさ、腰周りがちょっとユルくて、胸がキツかったってゆーか…」

「………!?」
「なん……ですって……?」
(自分のお腹ぷにり)
(自分の胸をぺたり)

「………死ねばいいと思うわ」

「てゆーか」
「あんた……超エロ猫」
「…??なんの話…………?」
「衣装。スカートの中にあんなのまで付けて、一体何を期待しちゃってたワケ??」
「あんたがデートの時着てたって…あいつが言ってた」
「く……別にあなたには関係ないでしょう?
…それに、これも衣装の一部よ。欠けてしまったら神猫とは言えないわ」

「神猫ってより、発情猫じゃん」

「フ……フフフフ…やけに拘るのね、こんなもの…所詮見えない部分のアクセントに過ぎないにも関わらず」
「…それとも何かしら?貸している間にそんなにムキになるような出来事が”あった”なんて?」

「…………」
「…あったの?」
「…………」(ふいっ)
「ちょ、桐乃……誤魔化さず白状なさい!」

「べ、別に……京介に脱がされたとか…ガン見されたなんて、あるわけないんだから!」(ノロケ)

「大儀式を始めるわ」
「ま、待てつーの!嘘は全くついてないけど、とにかく落ち付きなって!」
「クククククク、我は闇猫、闇に魅入られた堕天聖の(以下略)」

「(ほんと面倒くさい奴……けど)」
「だーかーらー!いい加減、邪気眼やめろってば!」(いちゃいちゃ)

fin





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最終更新:2011年06月19日 20:12