824 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/24(金) 10:32:46.70 ID:XsuYx2ko0 [1/9]
>>783
いつのまにかお題が出てたので書いてみる。
恋風は知らん。



「まったく、この時間帯はいつも混んでるな」
秋葉原の帰り、俺たちはいつものように電車に揺られていた。
「・・・ねぇ、いつも思ってたんだけど、それって腕がきつくないの?」
満員電車の中桐乃が押しつぶされないよう、俺は桐乃を壁際に寄せ、両腕で人ごみから守っていた。
「辛くないわけじゃないけどよ、お前がつぶされるよりはいいだろ?」
俺の言葉に、桐乃は嫌そうに顔を背ける。
「・・・前から言いたかったんだけどさ、この格好ってあたしがあんたに壁に押し付けられてるみたいで、
 好きじゃないんだよね」
「そうだったのか?」
確かに見ようによっては俺が桐乃を壁に押し付けているように見えるかもしれない。
「けどよ、誰かが見てるわけじゃねぇんだし、お前を守るためなんだから仕方ないだろ」
桐乃はチッと舌打ちする。
「あたしを守るために兄貴が身を呈してかばうとか、そういうのはもうイヤなの」
「桐乃が俺なんかにかばわれるのはイヤだってのは分かるけどよ、
 俺は兄貴なんだから仕方ないだろう?」
桐乃はハァッとため息をつく。
あれ?俺なんか変なこと言った?
「とにかく、あたしはこうされるのがイヤなの。
 ・・・・・・それにさ、あたしを守りたいならこれでいいじゃん?」

桐乃はそう言うと、俺の体に身を寄せてきた。

「ちょっ!お前なにやってんの!」
「しっ!声がでかい!
 ・・・だから、このまま兄貴が軽く抱きしめてくれれば、あたしはつぶされないですむし、兄貴だって疲れないでしょ?」
た、確かにそのほうが楽だけどよ・・・
「さすがにそれはまずくねぇか?」
「兄貴はあたしを守りたいし、あたしは兄貴にかばわれるのイヤなんだからしょうがないでしょ?
 それに、兄妹なんだからこれくらい普通だって」
・・・確かに妹を守るために軽く抱きしめるだけだし、これくらい普通だよな。
「仕方ねぇな。わかったよ」
俺は桐乃の背後に手を回すと、ゆっくりと優しく抱きしめた。

「・・・これで良いか?」

「・・・うん。
 ・・・ちゃんと守ってよね、京介」

結局この後人が少なくなっても、目的地に着くまでずっと、俺はこうして桐乃を守り続けていた。



・・・むぅ、これじゃただの仲が良い兄妹だな。
満員電車にまぎれていたあやせたんも見逃してくれるくらいの、
普通の兄妹のスキンシップだ。



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最終更新:2011年06月25日 00:56