864 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/27(月) 23:56:46.55 ID:XWAytdby0
SS『高坂家の朝』
「兄貴!」
まだ夢と現実の境にいる俺の耳に、桐乃の声が聞こえてくる。
「ほら、いつまで寝てんのよ。もう朝でしょ?」
朝?ああ、朝か。
・・・・・・・・・あれ?
ああ、夢だな。夢に決まってる。
あの黒髪桐乃の夢なんだろうな。
「早く起きないと朝ごはん冷めちゃうでしょ?せっかく作ったのにぃ」
な、なんだと!?
慌てて飛び起きる。
「服も脱いで、洗濯するから」
俺の目の前にいたのは・・・
まぎれもなく、俺の妹。桐乃だった。
ライトブラウンに染めた髪。入念なメイク。俺を見下してるかのような表情。
どれをとっても、確かに桐乃だった。
「・・・お、おまえ、どうしたってんだよ!?」
「えっ?」
「だ、だってよ?おまえときたら、起こしに来もしねーし、朝飯も作んなきゃ、
洗濯もしなかったハズだろっ!?こんな世話女房みたいに朝から押しかけてくるとかっ!」
「あ、兄貴?」
「お、俺の妹って、こんなに可愛かったんだな・・・チクショウ・・・」
「泣く事っ、ないじゃん・・・」
あれ?気が付いたら涙がでてんじゃねーか。
俺、泣くくらい嬉しかったのか?
「それにしても、突然、なんでだよ?」
「だ、だって、あたし、ブラコンだって兄貴にバレちゃったじゃん。
それに、あんたもシスコンだって。」
「そ、そうだったよな」
「だから、あんたの世話。してあげるのが当然じゃん・・・」
「そ、そうか。そうだな、そうだよな!」
信じられるか?これが俺の妹だぜ?
どーだ、羨ましいだろ?
超絶美人で文武両道。
しかも俺の一番じゃなきゃいけないってくらい、俺のことが大切な妹だ!
こんな妹、エロゲーの世界にしかいないと思ってたぜ。
「そ、それでね。朝ごはん、ちょっと失敗しちゃったけど・・・食べてくれる?」
「当然じゃねーか!おまえの作るもんだったら、何だって食べられるぜ!
それに、これからもっと上手くなるんだろ?」
「う、うん。ありがと、兄貴」
くぅぅぅ!か、可愛ぇぇぇぇぇ!
やっぱ、妹っていいよな。
二次元の妹じゃこうはいかねーもんな!
「そ、それと・・・」
「なんだ?」
「兄貴を起こすの、ちょっと失敗しちゃったから・・・次はもっと頑張るね」
「お、おう!」
そ、そこで、何故、顔を赤らめますかっ!?
つーか、『失敗した』!?何を!?
こ、コレは、期待していいのか!?
「あと・・・これが一番大事なんだケド・・・」
「おう!何でも言ってくれ!」
「兄貴の服、洗濯するのに失敗しちゃって、兄貴のぱんつ、
たくさん無くしちゃいそうだけど・・・許してくれる?」
「え、えと?」
洗濯の失敗?なんだそれ?
・・・いや、なんでぱんつだけなくなるんだよ!?
「ね、兄貴・・・おねがい♪」
勿論、一も二もなく全力で許したぜ!
兄貴だもんな、当然だ!
こうして、俺たちの朝は過ぎ去っていく。
どこにでもいる、普通の兄妹の朝だ。
こんな、可愛い妹がいて、俺は今、本当に幸せだ!
End.
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最終更新:2011年06月30日 00:17