817 名前:短冊に願いを【SS】[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 01:57:36.68 ID:d6XLZgAkO [1/6]
七夕の話だと、8巻の翌年夏のことになるのかな。
…7月に入り、いよいよ夏本番の暑さが押し寄せてきたある日、俺は久しぶりにあやせと会った。
あやせの話だと、ショッピングモールが買い物客に記入を募ってる七夕の短冊に、桐乃のものがあったという。
「いったいどんな願いごとをしてあったと思います?」
「(桐乃のことだからきっと、『(エロ)ゲームの技術が上達しますように』とか書いてるんだろうぜ)」
「今変なこと考えてましたね、お兄さん!」
相変わらずエンジェルの読心術は健在だな。だがもちろん否定しておく。
「んなわけないぞ。で、何が書いてあったんだ?」
「『料理が上手になって、大好きな人に毎日美味しいものを作りたい』って書いてありました…」
なんだかあやせさんの目の色が変わってきたような気がするんだが……
「毎日手料理を食べさせたい大好きな人って誰なんでしょうね、お兄さん!」
やべぇ、バレてんのか俺たちの関係が???
しかし流石のエンジェルでも、そこまでは突き止めてないらしく、以前のプリクラ追及の時のように、
彼氏の有無を調べてほしいという内容で話は落ち着いた。
※※※
「桐乃、ショッピングモールの短冊に願い事を書いてたんだってな」
「ああ、見たんだ」
「いや、何、お前にしては意外に真面目なこと書いてあった気がしてな」
「…だって事実じゃん、あたしの料理が上手くないのは…」
いつになくしおらしい態度の桐乃。
「あたしは、京介に認められたくて勉強も運動も、モデルも、いろんなことを頑張ってきた」
その頑張りは、今の俺には十分すぎるほど理解できてるよ。
「でも、料理だけはなかなか上手くいかないのが、悔しいし、悲しいの」
確かに、何回か桐乃の料理を食べる機会があったんだが、石炭チョコとまではいかなくても、
まだまだ合格点をやるのは難しいとは思った。
「だから、いい機会だと思って短冊に書いたの。もちろん天から料理の才能が降ってくる訳ないし、
これを公約だと思って頑張ることにしたの。
ホントは、ホントは…『大好きな京介に』って書きたかったケド、
あ、アンタがシスコン拗らせて寝込んだら大変だから自重した……」
高校生になって、桐乃はより一層大人びたような気がしたが、やっぱり可愛いところは健在だな。
俺はホッとして、例によって桐乃の頭を撫でてやった。
「お前なら、きっと上手くなるさ。そして、俺が毎日嫁の手料理を楽しみに家に帰るようになるさ」
※※※
「ねえ、京介」
「なんだよ」
「あたしが、ああいう事書いたんだから、京介も何かあたしに対しての公約と言うか願い事を書いてよ」
「そうだなあ、上手くなりたいことねえ。うーん…
ああ、思いついた。でも、これは短冊には書けないな」
「なになに、どんなの」
「俺の願い事は、『床上手になって大好きな桐乃と毎日子づくりしたい』だからな!」
「な…なにを言うかと思ったらアンタは……」
「駄目か、桐乃?」
「ものには順序ってものがあるの!
だから……まずは練習からやるんだからね……」
ということで俺は桐乃と願い事の練習に勤しんでいるわけだ。
「京介、巧すぎるよぉ…もう、ホントに上手なんだからぁ…」
そんなこと言ってる桐乃もみるみるうちに上達してきている。これでいつ本番を迎えることになっても問題ないだろう。
「俺が妹とこんなに愛し合わないわけがない」ってね
え、料理の話はどうしたんだって
そりゃ桐乃の技を美味しくいただいたに決まってるよ。いわせんな恥ずかしい
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最終更新:2011年07月07日 23:02