201 名前:一番はどっち?【SS】前編[sage] 投稿日:2011/07/17(日) 01:18:23.89 ID:MYrNWV3eO [1/4]
※オリキャラ(高坂兄妹の子供たち)登場の未来話です。
ある夜のこと
「京介!」「パパ!」
俺は愛しい嫁と可愛い娘に同時に呼び出された。
「…なんだよ桐乃?京(みやこ)も、いったいどうしたんだ?」
「京介に、人生相談があるの」
「あたしも、パパにお話しがあるの」
「で、どんなことなんだ?」
「京、あなたから言っていいわよ」
「じゃあ言うね。パパは、ママとわたしと、どっちが一番好きなの?」
「はあ??」
突然の話に俺は戸惑った。妻と娘は当然違う立場で、それぞれ大事な存在であって、優劣なんかあるわけないだろ。
そう噛み砕いて京に話したんだが、
「そんな上っ面の話じゃお互い納得できないし」
こともあろうに桐乃が話の腰を折りやがった!
「これはママとわたしの真剣勝負なの!」
却って勢いづく京。
「そう、真剣勝負。まあでも、京にはわるいけど、この勝負はあたしの勝ちが見えてるから」
「なんでそんなことが言えるのよ???」
「だって、あなたのパパは昔ね、あたしがいないと淋しくて死んじゃうって言ってくれたの。
そんなこと、京は言われたことないでしょー?」
「ふん、それはどうせ一時の気の迷いって奴なのよ。
だいたい昔のママって、パパに無理難題押し付けまくって、
そのくせ素直に感謝ができないツンデレクイーンだったんでしょ!
パパ言ってたもん。『やっぱり素直な子が可愛いよな』って、頭なでなでしながら言ってくれたもん!!
だから今やわたしのほうがパパの一番なの。ママは現実を認めなさい!!!」
娘の強い口調にたじろぐ桐乃。しかし幾多の困難を乗り越えてきた桐乃はたちまち反撃に転じた。
「京の可愛い子ぶりっ子っぷりはよく分かった。でもね京、あたしには京にはできないことがあるんだから!」
「何よ、言ってみてよ」
「それは、パパに気持ちいいコトしてあげれるの」
「ぶっ!!!」
何を言い出しやがる。しかし桐乃はさらにまくしたてる。
「京はまだお子様だから分かんないだろうけど、大人のあたしは、パパにとっても気持ちいいコトしてあげられるの。
パパはね、あたしがしてあげるなりリヴァイアサンをね……」
「そんなことくらい、わたしにだってできるもん」
え、今なんて言いましたか、我が愛する娘は?
「わたしだってパパを気持ちよくさせられるもん。ネットで勉強したもん!」
待て待て、ちゃんとパソコンはフィルタリングしてあるぞ。昔みたいに変なサイトに簡単に接続できて、
『あんたのことはこれからカリビアン』とか言われるような事態は、今ではあり得ないんだが…
「肩たたきに肩揉み、そして足のマッサージとか。わたしはお爺ちゃんやお婆ちゃんに誉められてるの。
きっとパパもわたしのを誉めてくれるよ。ママより上手だねって」
「ぐぬね、だったら今ここでパパ相手にどっちが上手いか決めてもらおうじゃない」
「望むところよママ」
「分かった、じゃあ勝負下着に着替えてくるから待ってなさいよね!」
202 名前:一番はどっち?【SS】後編[sage] 投稿日:2011/07/17(日) 01:23:03.29 ID:MYrNWV3eO [2/4]
どうしてこうなった……俺が頭を抱えてると、ふいに扉が開いて息子の桐(とう)が入ってきた。
「はいはい、もういいだろ」
「な、何しに来たのよ馬鹿兄貴、あんたわたしが兄貴に構ってあげないで、
パパにばかり夢中だから、悔しくてしかたないんでしょこのシスコン!」
コロッと矛先を変える京。そんな京に臆する事無く桐は俺たちの間に割って入る。
「いい加減にしろよみんな、さもないと」
凄んでみせる桐。
「何よ、馬鹿兄貴に何ができるの??」
「これ、これ」
そう言って桐は自分の携帯を見せる。
「僕がボタンを押せばたちどころに麻奈実おばさんとあやせおばさん、瑠璃おばさんが家に来て
みんなを叱ってくれる手筈になってるから」
「「「げげっ」」」
俺たち3人は一同に驚愕の声を上げた。
「ちょっと京、あんた3人の怖さ知ってるの??」
「まあ、色々あってね…」
何をやったか分からないが、顔色を急に変えた京の態度は、確かに3人の怖さを味わったことがあるように見えた。
さて、みんなどうする?叱りに来てもらう?」
「馬鹿兄貴の癖にこしゃくな手を…しょうがない。ママ、今日は休戦しましょう」
「仕方ないわね、京がそう言うなら、とりあえずは」
「みんな、わかればいいんだよ。それよりパパ!ちょっとこっち来てよ」
「お、おう」
俺は息子に連れ出された。
「しっかりしてよ。まあ、パパの周りの女の人は何故か凄い人ばかりだから、押されてしまう気持ちもわからなくはないけどさ」
俺は息子にこの場を解決してもらったばかりか、労られてしまった。
俺たち家族は、傍から見ると変な家族かもしれない。
ケンカするほど仲が良いと言うか、とにかくこういう口争いは日常茶飯事だ。
でも、家族の関係が断絶してしまうほどの争いには決してならない。
嫌いという皮の内側には、好きという中身が詰まってる。
「やーい、馬鹿兄貴!」
「なんだと、ビッチ!」
桐と京も、きっと内心では互いのことを認めあってるに違いない。
俺たち兄妹のように…
毎日がたわいもない衝突の連続なんだが、だけど俺たちは、一人欠けてもやっていけないと思う。
俺と桐乃の愛がつくりあげたこの家族は、なんだかんだ言っても、最高の家族なんだろうぜ!!
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最終更新:2011年07月20日 23:42