あの後、私とアルトゥは名目的には保護という事で千手一族のお世話になることになった。
本当にごめん。
『柱間さん?ごめんね、アルトゥが』
「それ以上言うでない。大体、いくらアルトゥが神だからと言って、二人だけで過ごすのは危険ぞ。存在的にも能力的にも希少だ」
『あー、そう言えばそうなのよね……。アルトゥは……なにしろ、安全確保のためにはいきなり引き籠るしなぁ。大体私自身に覚悟があっても、せめて護身術の一つも教えてはくれないっていうくらいに、面倒ごと避けるし』
「……苦労しとるのぉ。大人びた子供だとは思ってはいたが、そういう意味で大人にならざるを得なかったのだな」
『まぁ、そんなとこ。で、柱間さんもその年で一族のリーダーとか、かなり苦労したね』
「ああ。だが俺にも弟がいるからな。何とか生きてこれた」
『そっか……』
「……もう一人に関して何も言わないのだな」
柱間が此方を見る。
その眼には、少し寂しさがうかがえた。
『私たちが最初に会ったあの日。それぞれ名前を名乗った。それで名字が違うと分かったからね。力も違うって言ってたから、もしかしたら将来ライバルとか敵になってしまうかもって』
「…………」
『でもね、人はどう転ぶかわからないから信じていてもいいかもしれない、って言ってたよ』
「アルトゥがか?」
『神様だからねー』
そんな話をしながら柱間の部屋で話していると、扉が乱暴に開かれた。
……なんかこういうことする人、二人くらいしか頭に浮かばないのだけど。
「兄者!まさかロリコンにはなっているわけではなかろうな!」
あー、予想していたうちの一人。
扉間さん。
つまり二代目でしたー。
「扉間。もう少し静かに開けんか。大体私の守備範囲に瑠威は入っておらぬぞ」
ですよねー。
幼女も守備範囲な初代様なんて見たくありません。
「ならいいが……。で、その瑠威とやらが例の少女か」
『はじめまして。威守瑠威といいます。貴方が弟さん?』
「貴様に弟といわれるのは癪に障る。扉間と呼べ、神の下僕」
『……下僕か。アルトゥめ、その通り名はいやだよ……』
せめてそれはⅮグレの世界で使おうぜ?
「ふん、どうせ変わらんだろう」
『……柱間さん、いつもこんな感じですか?』
「瑠威、慣れろ」
『はぁ……』
扉間さんがこんなこと言うキャラだったとは……。
まぁ、私とアルトゥがいるのだからこれは原作と少しだけズレた世界だと考えた方がいい。
『あー、柱間さん。本当に良かったのですか?今更ですけど、この戦争時に私たちなど保護して』
「神となれば、な。それにあの場にいたもの全員が賛成したのだ。嫌とは言わぬ」
「……兄者。それなのだがな、一部の者だが神はともかく、この何の力もない小娘はいらぬと不満が出ている」
「ふぅむ……」
『やっぱなー。だからアルトゥに言ったのに。護身術の一つでも教えてくれって。どーすんですか。この事態。一部とはいえ、そういう芽は早いうちに何とかするべきなんだよ……』
介入どころの話ではない。
いきなり理なのか何なんか知らないが、謀殺とか暗殺されるのはいやである。
それを最初から考えていたからこそ、この世界に一人で放りだされるのを嫌がったのだ。
だって、そうじゃなきゃアルトゥの目的達成しないじゃないか。
私の罪とて、償いにはならぬであろう。
「……やる気があるなら、ワシが教えようか」
『え” 扉間さんが、だと?!』
「問題か?」
『あー……、一般人の私ゴトキが貴方についていけない気が……』
だって、扉間さんって暗部とか作るきっかけじゃん!
てか、うちは一族からは……悪名高い人物って称されるんじゃなかったっけ?
……死ぬな。
この人に教わっても、いや、もうこの一族にいること自体が死亡フラグ?
「大丈夫だ。かなーり手加減しておいてやる」
「扉間、大怪我をさせるなよ。瑠威は神の加護を受けているとはいえ女子ぞ?」
「兄者。本当にロリコンではないな?」
「心配はそういう意味の心配ではない。幼馴染としての心配だ」
びっくりした。
数日だけ過ごしただけなのに、幼馴染発言が柱間の口から飛び出してくるとは。
……だが、こういう情勢下だ。
少しだったとしても絆は大切にしたいのだろう。
特に幼い時の絆は。
そう考えると、マダラの事は悲しいんだろうね。
「……努力しよう」
あ、これ決まったのか。
……とりあえず逃げる優先で。
ド○クエの作戦コマンドじゃないですが、そうでもしないと生き残れる気がしません。
だから……目はやめてください扉間さん!
何とか生き残る覚悟決めますから!
本当にその鋭い目はやめてぇ!!
次ページ:希望の里へ