すぐ出発して波の国に1時間で着いたのに、機動力が意外と良かったのか一行は見つからない。
「霧で見えないね」(レイスケ)
『感知できればいいんだけど……あー、やっぱここの詳細な地図を貰ってくるべきだったなぁ』
ただでさえ、南国特有のマングローブが生い茂る国だ。
貧困層多めというとこで治安も悪いが、地図案内板なんて親切なものは存在しない。
せめて、あの鬼お兄さんが来るとこで割って入りたいんだが…………
「うーん……」(レイスケ)
『……レイスケ?』
「えっとね、今相手の動き考えてるんだ。もしも、こういう霧のなかなら、まずどこへ対象が行くか考えるんじゃないかな?」(レイスケ)
『ええ、どうせこの波の国の交通手段は船。つけるのは桟橋でしょう。ですが、こうも霧が濃いとマーカーや臭いでは特定できないでょうね』
「なら、桟橋はいくつあるの?」(レイスケ)
『規模はいろいろとありますが、軽く100は超えています』
「じゃぁ、見つかりにくい所を更に警戒していくにはどうする?」(レイスケ)
『!そういうことか。じゃ、20くらいに減るわ、候補。分身で対処できちゃうじゃん』
「答えは、マングローブだよね?この世界で、それがどう呼ばれてるか知らないけど」(レイスケ)
『呼び方は一緒だよ。ありがとう、レイスケ。ごちゃごちゃ考えなくて済んだ』
「行こ!」(レイスケ)
『ええ』
回り道も含め、候補のすべてに分身を放つ。
答えはすぐさま帰ってきた。
「見っけた?」(レイスケ)
『いたわ。もう戦闘中。カカシ君たら情けない。水牢の中じゃないの』
「え、捕まってるの?!」(レイスケ)
『あのバカ、気ぃ抜いたね。みっちり特訓してやろうかしら?』
ナルト達が戦闘を開始する。
カカシ救出作戦だ。
私はレイスケに合図して彼らの近くまで移動する。
移動したときには、桃地再不斬は不意を突かれカカシが自由の身となっていた。
『行くわよ』
「うん」(レイスケ)
*ここから上居ルイと威守瑠威が同時に出てきますので、混乱なさらぬように。
一応、上居ルイの時は(上居)と表示し、威守瑠威の時は(威守)と表示していきます。
「「水遁:水龍弾の術!!」」
水がナルト達に襲い掛かる。
『なーに、余波を弟子に流してんのよ!』(上居)
私はそれを依頼人を守るナルト達の前で防ぐ。
もちろん、上居の姿で結界を張ったのだ。
「「「「!!」」」」(一同)
『吃驚させてしまったかしら?零班の上居よ』(上居)
「ナルト!応援に来たよ!」(レイスケ)
「!レイスケ!」(ナルト)
「ほう、応援が来たか。木の葉にしては早いな」(桃地)
『あら、これは抜け忍の方じゃないですか。しかもレベルもいい具合の』(上居)
「上居!煽るな!!」(カカシ)
私たちの方に放たれた分身が襲ってくる。
それを私は大人の自分(本体)で防いだ。
「!」(カカシ)
『可愛い弟子に、よく刃を向けてくれたわね?レイスケ、ルイ。ナルト達をお願いね?』(威守)
「『了解!』」(レイスケ&上居)
瞬身で移動して桃地の頸動脈をとらえ、手刀をたたきこむ。
それに反応し、相手は体勢を崩しながらも避けた。
水中に逃れてしまう。
「はやい!」(カカシ)
『カカシ、アンタが遅いのよ。あとで、みっちり鍛えなおしてやるから覚悟しろよ、元部下』(威守)
「ひぃ!」(カカシ)
会話をしている間に、桃地の奴は水面に立った。
うーん、あれが本体かどうか怪しいとこだな。
「上忍が二人か」(桃地)
『怖気づいて逃げてくれると助かるのだけど?』(威守)
「ぬかせ」(桃地)
「そーなるよねぇ~」(カカシ)
いつもの額当てがズレているってことは、もう写輪眼発動中。
長々の戦闘は無理。
『仕方ないなぁ。んじゃ、さっさと戦闘不能になってくれます?』(威守)
一般人の目の前で、下忍がドン引きするような速さで桃地の両足に千本を刺した。
イッキに瞬身して刺したんだが、なぜにカカシまで吃驚してんの。
「グぁ!なに?!!」(桃地)
「「「「「!?」」」」」(一同)
刺された桃地は再び水中へ沈んだ。
ちっ、弱いなぁ。
よく抜け忍になんかなったよね。
『あちゃ~、逃げられたかなぁ』(威守)
「……いや、違うと思う」(カカシ)
(((だよな!違うって絶対!)))
カカシの突込みに、ナルト達の心は一致で賛成した。
レイスケはいつも通りだからか、ため息をついただけである。
「くそが!」(桃地)
マングローブの根にしがみついた桃地が低い声でうなるように言った。
『遅い君がいけない。いや、この依頼を受けてしまった君がいけない』(威守)
「……」(カカシ)
カカシは何も言わずに術を用意している。
その時だった。
必死にマングローブの上に這い上がった桃地の首に、千本が大量に突き刺さったのは。
『!』
「「「「「「?!」」」」」」
私でもびっくりだ。
来るのは知っていたが、気配たちすぎだろう!
ふぬけな暗部や上忍どもに見習ってほしいくらいだわ!
千本の軌道をさか読みしていけば、すらっとしたお面の子がいる。
カカシはハッとして、桃地の脈がないことを確認した。
全く、シナリオなんて言う運命は本当に面倒だな!
「ありがとうございました。再不斬を確実に殺す機会をうかがっていた者です」(お面)
「そのお面……霧隠れの抜け忍追いか」(カカシ)
「ええ。助かりましたよ。あとはボクが処理しておきますので」(お面)
『ふぅん、結構な才の持ち主が霧隠れにもいたのね』(威守)
お面は礼を言うと、桃地を担ぎ去っていった。
後ろでナルト達がわーぎゃー言っているが……ま、カカシ君に任せよう。
さて、どうしようかな?
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