木の葉の里の比較的に閑静な場所にそのお店はあった。
NARUTOを読んだことがある人ならば、一度は食べてみたい麺料理であろう。
前世でもこのコシのある麺・それに合う具材やスープは瑠威がいた国内のみならず、近隣の国々、果てははるか海の向こう、更に更にその世界での裏側の国まで魅了されていた。
まぁ、他の国にわたってしまうとその風土料理と混ざり合い、いろいろ誤植されてしまう事もあったり、全く別物となってしまってその料理と言えないものもあったのだが……。
ともあれ、なぜかこの世界のそれは瑠威の国のものと寸分たがわぬ味と触感であった。
すごく醤油の匂いがいい。
懐かしき鳥エキスの香りだ。
『やっぱりここの醤油ラーメンは美味しいわねぇ』(威守)
「二度目だねぇ、お姉ちゃん!」(テウチ)
「ルイねぇちゃん、あんま来てねぇの?」(ナルト)
原作通り味噌ラーメンを食べながら、彼は聞いてくる。
『うーん、任務帰りで変化した状態でなら来たことあるわよ?まー、この姿で来ることはそうそうないでしょうねぇ』(威守)
「あーなるほどのぉ。木の葉の重鎮殿は、そういう事がほとんどだったのだな」(自来也)
自来也がそう言いながら食べているのは豚骨ラーメンだった。
……正直そっちか塩味も好きなのだが………………
うん、今度テウチさんに頼んでしょうゆ豚骨とか、シーフード系のラーメン開発してもらうか。
助言くらいなら前世知識もあるしなぁ。
この世界の麺はほとんどがストレートの太麺。
そろそろ細麺のちぢれ麵が食べたい。
スープの絡みつくあの味が懐かしい……
というか、サラッと重鎮っていったなこの変態。
「ほう!姉ちゃん、この里のお偉いさんか!」(テウチ)
『あー、あんま表に出ないんだけどねぇ。これでナンバーⅡの地位にいるわ』(威守)
「ルイねぇちゃん、ちゃんと寝てるかってば?よく部屋にいないからさぁ」(ナルト)
「そういう地位が高いやつは、この里では貴重な戦力ともいえるからのぉ。大方、任務に駆り出されているのであろう?」(自来也)
『大当たり。ま、任務と言ってもいわゆる裏任務だけど』(威守)
「…………真面目な話、そんな状態なのにナルト達の鍛錬を担当する時間があるのかのぉ?」(自来也)
『君の師匠にちゃんと許可は取った。もちろんこれで出来なくなった任務はちゃんと信頼のおける人に任せてあるしね』(威守)
もちろん、これが本来暁に入る者達というわけではない。
ガロとレイスケに任せてある。
レイスケには鍛錬の場にもなるからちょうどいいのだ。
ガロは別の意味で適任である。
『だけど正直三人いっぺんというのはちょいきついかもね。サスケはカカシにこのまま任せるとして、問題はサクラかしら』(威守)
「サクラちゃんが?!」(ナルト)
『彼女には医療忍術の基礎を教えてる。だけど私は基礎しかできないから、応用されたところまでとなるとプロに任せた方がいいの』(威守)
「なるほどのぉ。って、下忍になんちゅう技伝授してんだ!」(自来也)
と、変態が叫ぶが知った事ではない。
サクラの長所を伸ばしているだけである。
彼女の長所はチャクラのコントロールがうまい事。
その調節は下手をすると上忍でもびっくりするくらいだ。
だがいかんせん、チャクラの量の方が一般の上忍より多いくらいだ。
つまりは平均並み。
チャクラが多いサスケやナルトと比較してしまうと、少ない。
『さて、そんなことを叫ぶために来たんじゃないでしょう?自来也さん』(威守)
「……こんな場所で言えるか」(自来也)
『とっくに、防音の結界を張っているわ』(威守)
「ルイねぇちゃん、早いってば」(ナルト)
ナルトはまたかという顔をして、自来也は目を見張った。
『こんなの人に気づかれないように張らなきゃ、この地位にいるなんて失格でしょう』(威守)
「……わかった。ナルトもいるが、どうせこいつにも聞かせておかにゃいかん話だ。よく聞いておけ」(自来也)
「俺も??」(ナルト)
「暁という組織を知っているか?」(自来也)
はい、有名なセリフきました!
『……もちろん。で、まかさとは思うが、そいつらが動き出したのかしら?』(威守)
「ああ。で、狙いだがなぜか人柱力を狙っている節がある」(自来也)
暁は人員ごとフラグを折ってやったはずなのに、それでも例のあいつはどこからか人材を確保してきたらしい。
自来也からもたらされるその情報は、実は瑠威のところにも先に届いていた。
本来、暁に勧誘される者たちが瑠威のところにとどまっており、もしもそういったことがあれば連絡が来るようになっている。
彼らを契約で縛っているのは、そういうのがあると最初から踏んでいたためでもあるのだが……
『確かに、私のところにもその情報は届いている。この里であれば、ナルトが狙われるという事だな』(威守)
「ルイねぇちゃん。もしかしてあの質問って、それが原因かってば?」(ナルト)
「質問?」(自来也)
『ああ、それも一理ある。だが、先ほどの質問を軽々と飛び越えることができぬならば、チャクラのコントロールどころか精神不安定の為牢屋行きだぞ?それか軽く軟禁だな』(威守)
「う~~、やっぱりそんだけこのチャクラの源って」(ナルト)
『狙われやすく、扱いづらい巨大な力と考えて申し分ない。今はこの里にもう一人いるが、お前ならばすぐ誰かわかるのではないか?ナルト』(威守)
原作より少し賢くなっているナルトに問いかける。
「あの赤い髪のひょうたん?」(ナルト)
『当たり。彼は砂の里の人柱力よ。彼も未だ不安定だから、ちょうどあなたとどっこいどっこい』(威守)
「おい、ワシを忘れておらぬか?」(自来也)
『忘れてはいないわ。それに今はあなたの同僚だった人に悩まされてるのだもの』(威守)
「ならいいが、その件も含めてこいつの面倒はワシが見よう」(自来也)
「うーん、俺はルイねぇちゃんの方が……」(ナルト)
『そうねぇ、召喚と特殊技だけ習うならいいわ。絶対、趣味は似ちゃだめよ?サクラに嫌われるどころか女の子全員敵に回すからね?』(威守)
「召喚?って何だってばよ」(ナルト)
「おいおい!それをこいつに叩き込むつもりだったのか!」(自来也)
『だって、もうサスケは火遁と雷遁始めてるし、サクラは医療忍術でしょ?ならナルトもそれくらいできなきゃねぇ』(威守)
「中忍試験だってぇのにそんなレベル高い術を教える奴があるか!」(自来也)
『ここにいる。三人とも制御で来てるし、私は普通に出来る事だしねぇ』(威守)
ラーメンを食べ終えて、先に食べ終えていた二人を連れて先ほどの場所へ戻った。
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