『ナルト、ちょい来て』(威守)
「なんだってば?」(ナルト)
移動している道すがら、私はナルトに耳打ちしていた。
「それくらいならお安い御用だってばよ!」(ナルト)
『まー、力まずにいつも道理でね?』(威守)
自来也に突撃していくナルトを見送りながら、やっぱり変態にはこれしかないかと呆れてしまう。
で、少ししてナルトは鼻血を出した自来也を伴って戻ってきた。
やっぱ男って駄目だわぁ……。
死の森に戻ってきて、まずナルトに準備体操だけしてもらう。
『さて、自来也さん。彼にはとっとと召喚教えてあげてちょうだい。彼の属性攻撃は既に把握してるけど、そっちを今伸ばすと厄介だから。その方がいいわ』(威守)
「なんで、そうなるんじゃ……。大体、召喚って……口寄せって言わんか、フツー」(自来也)
『貴方にはそれで通じる。それで充分よ』(威守)
目を細めて言う。
「いったいどこまで見抜いている。お前さん、ナルトの性質を紙ではなく見ただけで見破り、ナルトだけでなく他の者もすべてその成長具合をみきっている。お前は何者だ」(自来也)
『この里のナンバーⅡにして、暗部総隊長。それ以外の何者でもない』(威守)
自来也は珍しく真剣な目を飛ばしてくるが、わたしにはどこ吹く風だ。
大体そのような質問は既に解決した段階である。
「食えないのぉ。いいスタイルだってぇのに」(自来也)
『色ボケは黙って進めてちょうだい』(威守)
この日。
ナルトは口寄せを覚え、なぜかガマ親分の子分になった。
やれやれ、まだヘタレだっていうとこは直ってないか。
顔岩の上。
そこに私はいた。
相変わらずここから見る景色はいい。
この世界に来た当初より人口が増え、街も発展した。
だが、それでもここからの景色はいいものだった。
ちゃんと”大切なもの”を確認できるから。
「こんなところに居ていいのかのぉ」(自来也)
『分身に任せてありますよ。それより来ましたね』(威守)
スタンと背後に降り立つ一人の影。
『どう収穫は?』(威守)
「?!」(自来也)
自来也はその人物に驚いているが、それは後だ。
「色々な里に接触しているようだ」(長門)
『なるほど。それだけ本気というわけね。そっちの里はどうなのかしら?』(威守)
「今更ながら、攫った人を返す条件で協力要請が届いている」(長門)
『……最悪。自ら起こしたことを取り繕うから助力するからって……馬鹿じゃないの?まったく、自来也さんの元同僚にはあきれるわねぇ』(威守)
ため息をつき、目を見開いている彼を見る。
「お久しぶりです、師匠」(長門)
『あー、そうか。君の師匠になるのか。という事は、ナルトは君の弟弟子というわけだな』(威守)
「あの子が、か。他の二人も喜びます」(長門)
「どうして、ここに……」(自来也)
『私の私兵だから。抜け忍というリストに入ってるけれど、彼は正規の忍びなのよ。いろいろ事情があるから。まー、それは追々ね』(威守)
「……ならば、暁の勧誘にも気をつけろ。長門、お前はあのことで狙われるだろうからな」(自来也)
「ああ」(長門)
『……。それは置いておくとして、もう少しで本選ね。今から火影様のところに集合の予定だから自来也さんも来てちょうだい』(威守)
「分かった」(自来也)
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