5-小ネタ1



「えっ・・・?」
その瞬間、ゼシカは重力がなくなったような気がした。でもそうじゃない。足を踏み外したのだ。
体がゆっくりと傾き、がけの底に向かって倒れていく。
あたりを見回してもつかまれそうなものがない。
周りのものがやけにゆっくり動いているように見える。
(ピンチの時って時間がゆっくり流れるって言うけど、これがそうなんだ・・・ってのんびり考えてる場合じゃないわね)
つかまるものはないと分かっていても一縷の望みを託して地面の方へ手を伸ばすと強い力でグイと引っ張られた。
ククールだ。
「おい、大丈夫か!」
私より前を歩いてたはずなのに、よく私が落ちそうになってるのに気づいたわね。
しかもとっさに私の方に手を伸ばしてよく間に合ったもんだわ。さすがマルチェロに一度手を振り払われた後
また掴みなおせるすばやさを持った男だわ。あの時はどうしてマルチェロが落ちなかったのか、正直不思議だったもの。
「あ、ありがと・・・。もう大丈夫よ。」
自分の声がかすれている。急に心臓がバクバクしてきた。
冷静なつもりだったけど、思ったより焦ってたってことね。お礼を言ったきり何も言えないし、何も考えられない。


「えっと・・・、ごめんなさい、ボーとしてたのかしら・・・。これからは気をつけるわ。」
「気にすんなって。ゼシカだけの責任じゃねーよ。さっき街で聞いた所によるとFF12号が通過中らしいからな。
危険なのは分かってたけど、だからって俺たちの旅は止められないだろう?みんなで気をつけて行くしかないんだよ。
それに誰かが気づいて保守してくれさえすれば落ちねーし。だから、さっきも言ったけど
落ちそうになったとしてもゼシカだけの責任じゃないから気にすんな。」
「・・・?保守?」
「ああ。誰にも保守されないと日の当たらない世界へと落ちて、二度と復活できなくなるらしい。すでにマルチェロの奴も
落ちたって話だぜ。まあ、あいつの事だから落ち着いた頃に戻ってくるだろうけどな。」
「怖いわね・・・。って、どうしてマルチェロの事が分かったの?二度と復活できないのに戻って来れるってどういうこと??」
「FF12号はもう2~3日で落ち着くんじゃないかって言われてるけど、まだまだ油断はできないぜ。でも安心しな、ハニー。
君を守る騎士になるって言っただろ?君を守るってことはこのスレも守るって事なんだよ。だからこのオレに任せてくれ!」
「はいはい、ありがとうございますー・・・ってスレって何よ?さっきから会話が成り立ってるようで成り立ってないわね。」
「という訳だから、落ち着くまでの間、保守がんばろうぜ!」
「だから保守ってなんなのよーーー!!」
「大丈夫でがす、ゼシカのねーちゃん。あっしにもククールの言ってる意味は分かんねーでがすよ。ねーちゃんだけじゃないでがす。」









最終更新:2008年10月24日 15:32
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