「ククール、乾杯の前に何してましたか?」
「ん…?乾杯の前?えーっとえーっと…その~」
「私が子どもたちと話してたとき、他の女の子を口説いてたでしょ」
「う、うん…いやそれは…」
「バカ」
「ごもっとも」
私が子どもたちのためにメラ~なんて唱えているとき、恋人は他の娘とイチャイチャイチャイチャ。
その姿をちゃんと横目で確認しちゃう私がなんだかバカみたいじゃない。
遊びだってわかってても本当はすごく苦しいんだから。
そこのところわかってるの?ククール。
「悪ふざけがすぎました。ごめんなさい」
正座をして深々と頭を下げるから結局は許しちゃう。
でもまだもうちょっと反省させないと。だって本当にイヤなんだからね。
他の女の子とベタベタベタベタするの。しかも楽しそうなのが余計にイヤ。
だからまだ許したそぶりなんて見せてあげない。
「ごめんね、ゼシカちゃん」
ククールもちょっとはマズイと思っていたのか、おそるおそる私の顔を覗き込んで心配そうな表情。
その目の端が赤々と染まっていて、さっきの涙の名残だとわかった途端に怒ってるポーズは終了。
やっぱり私って甘いのかな。
「もう怒ってないよ。だから…」
「わかってる。おいで」
こういうとき絶妙なタイミングで優しく抱きとめてくれるククール。
私のしてほしいことをちゃんと察知して、そのとおりにしてくれる。
ククールの腕の中でそんなことを思っているとふいに額にキスをされた。
最終更新:2008年10月24日 17:35