「お前を…お前らを信用してないわけじゃねぇよ…これでも、オレの中では随分許してる方なんだ。
………正直言うと、もっと曝して、頼って、完全に寄りかかってしまいたいって思ってるのもホントだ。
でも………ダメなんだ。オレ、怖いんだよ。ビビってるんだ。だからダメなんだよ」
「……………バカ!!!!
それのどこが信用してるっていうのよ!!全然信じてくれてないじゃない!!
私のククールを想う気持ち、全然信じてないからそんな風に思うんじゃない!!」
ククールは耐えきれずに叫んだ。
「……っオレはゼシカじゃなくて、オレ自身が信用できないんだよ!!」
「だから何よ!!!!!!!!!!!!!」
ずっと言いたくてでもどうしても言えなかった本音を思わず吐露してしまったのに、
それを意にも介さず間髪入れずに怒鳴り返してきた彼女に一瞬あっけにとられた。
興奮状態のゼシカの瞳からボロリと涙がこぼれるのを見て慌てる。
「おい、泣…」
「あんたのことなんてもうわかってるわ。あんたが思ってる以上にわかってる。
きっとあんたよりあんたのことわかってる。自惚れでもいいわ、私はそう思ってるのよ。
だから今さら突き放したり、信じられなくなったりなんてしない。独りになんてしないわ」
「………ゼシカ」
「怖い?私が離れていくかもしれないから?だから最後は自分の中に籠もってしまうの?
そうやっていつから心を凍らせてるの?ずっとそうやって…こごえていたの?」
「……………。」
「たった一人で」
ゼシカの顔がくしゃくしゃに歪む。
なんで泣くんだ、意味がわかんねぇよゼシカ。なんでオレなんかのために。
………ちがう。
泣いてるのはオレだ。
「悔しい…っ」
ゼシカが消え入りそうな声で呟く。
「なんで私、もっと早く…っククールに出会えなかったんだろう………」
「…………ゼシカ」
「なんでもっと早く、ククールの心、溶かしてあげられなかったんだろう………!」
たまらずククールはゼシカを抱きしめた。
「………なぁ、ゼシカ。もっかい言って」
「え…?」
「オレが、オレとゼシカをまた信じられなくなっちまう前に…お願いだからもっかい聞かせて」
「………………。」
耳元で囁かれるその声は、泣いているように聞こえる。
ねぇククール、泣いてるの?もう泣かなくていいのよ、だって
「…………ククールを独りになんてしないわ。ぜったい」
壊れそうなほど強く強く抱きしめられ、壊れそうな彼の広い背中を優しく撫でながら、ゼシカは思った。
私が炎の魔法を憶えたのは、全てこの人に出会うためだったのかもしれないーーーと。
最終更新:2008年10月26日 00:45