※若い※




強行軍のいちにちが終わり、一行はようやく町の宿屋にたどり着いた。
皆 疲労困憊だ。取れた部屋は、1人部屋が二つに2人部屋が一つ。2人部屋の方が
ベッドが二つある分若干広いが、のんびりできるという意味では格段に一人部屋の方が良い。
普段なら一人部屋は優先的にゼシカに回され、それ以外はじゃんけんで決められているが、
ゼシカが今日ばかりはとても疲れたのは自分だけではないから、特別扱いはやめてほしいと頼み、
4人でじゃんけんをすることになった。
勝ったのはエイトとヤンガス。最初からどちらでもいい、と言っていたククールは
二人部屋に文句もなく、ゼシカも了承した。


2人で部屋に向かいながら、
「はぁーーっ、今日は久々にベッドで寝られるね。何日ぶりだろう、…4日くらい?」
「…5日」
「よく覚えてるわね。あ、この部屋だわ。…あぁ、早くお風呂入ってゆっくりしたい…」
安堵のため息をつきながら扉を開いた瞬間、ゼシカは突然後ろから抱きすくめられ小さな悲鳴を上げた。
扉が閉まる音と同時に、下から胸をガシリと強く掴まれる。
「ちょ、ちょ、ちょっと!?」
「あ~~~~~…久々にさわれた…」
「な・に・いってんのよッッ!!はなしてよこの変態ッ!!」
いきなり盛るにもほどがある。いつもの悪ふざけの延長なら、大概ゼシカの怒りの鉄拳で
このテの行為はすぐに終わる。ゼシカはすぐさま不埒な手をどかそうともがいた。
…が、離れない。
「……~~ちょ…っと。ヤメてよ…っふざけないで」
「ふざけるほど余裕ねぇよ…」
もがく間にもククールの指は巧みな動きでゼシカの胸を揉みしだきはじめている。
一瞬先端をかすめた快感に、思わずゼシカは身を固くして耐えた。
「もう!やめてよ本気で怒るわよ!?」
「いいよ」
「…っ、いいって…」
「それでもヤるから」
「な―――ンう!!」
後ろから首を捻じ曲げられて口唇を奪われ、ゼシカは抵抗する力を奪われる。
ククールは片手でゼシカの顎を固定し、片手は器用に上着とビスチェをずり下げ、
その白く大きなふたつのふくらみをさらけ出していた。
すぐさま まだ柔らかい乳首を摘まみ、強引な愛撫で立たせる。
「ん、はっ…やめ…、やめてククール…!」
「5日だぜ…オレがどれだけツラかったか…」
「い、や!はなして、だめ!」
「人の気もしらねぇでプルンプルンプルンプルン誘惑しやがって…」
「~~~~揺れるのは私のせいじゃないでしょっっっ!!!!バカ!!!!」
涙目で叫ぶ声にも聞く耳はもたない。




耳元で繰り返される、荒い息。ゼシカは本気で焦った。
このままだと、そのうちベッドになだれこんで「して」しまうのは想像にかたくない。
本当はゼシカにも異存はない。ククールほど切羽詰まってはいないけれど、
ゼシカも本当は、今夜したいと思っていた。
野宿でするのは色々と無理がある。
何度かククールが挑もうとしてきたけど、本気で教会送りにするつもりで抵抗したきた。
だから5日ぶりのベッドで、二人きりで、今夜ならなんの不満もなくククールの求めに応じようと
思っていたのだ(どちらかが一人部屋になっても、どうせ「しに」行くのだから問題はなかった)。
…問題なのは、乙女の矜持。

――――ゼシカはどうしても、お風呂に入ってからしたかった。

「おねがい、ククール…あ、あとで」
「なに?」
耳の後ろやうなじを這いまわる舌に感じないよう、歯を食いしばる。
「あ…っあとで、…する、から。いっぱい…。ね、だから、今は」
「あとでもするよ。でも今もする」
「ちょっと!!」
いつのまにかコルセットも引き抜かれ、緩んだスカートがバサリと床に落ちた。
…いつもじゃ考えられないほどの急展開。
ククールは前戯というには長すぎる必要以上の愛撫で、ゼシカの性感を極限まで高ぶらせ、
泣かせ、乱し、体中をさんざんいじめつくしてから本番行為に突入するのが好きだった。
ことさら下肢への攻めはなかなか始まらず、ゼシカがなんらかの意思表示で自らねだるまで
そう簡単にさわってはくれない。
だから夜気に晒された下肢にククールの手が入り込んできた時、本気で驚いた。
心の準備なんか、当然何一つできていない。いつものようにまだまだ延々と、
弱い胸を弄られるとばかり思っていたのだから。
ククールの指は下着の上からそこを引っ掻くようになぞった。
「―――イヤッ!!」
「足開けよ」
「おねがいだから、あとにしてっ…!お願い…」
「あとだろうが今だろうがおんなじだろ?」
「お、おふろ…入りたいのよ…汚い、から…」
泣きたい気分でゼシカはそう告げる。
毎日身体は拭くし、泉で水浴びもしたけれど、やっぱり湯ぶねに浸かって隅々まで綺麗にしたかった。
そうしてから、――したかった。
久々だから、ククールにたくさんキスしてほしかったし、たくさん舐めてほしかった。
そんなゼシカの本心が伝わったのか。きょとんとしていたククールは悪い笑みを浮かべ、
「…汚くねぇよ。ゼシカの匂いが残ってる方が興奮する」
「――やめてよ!そういうこと言わないで…っ」
「ホントだぜ」
引き寄せられ、素肌の腰に硬くて熱いものを押し付けられて、ゼシカは平静を見失いそうになる。
「…ッ、い、や、なの…ほんとに…」
「でも濡れてきてる」
「いや…ぅん…っ」
下着の上部分から指が滑り込み、茂みを通り越していきなり肉をかき分けてくる。
相変わらずくすぐるように胸の先端をなぞり、そうかと思えば時折全体を
激しく波打たせて揉みあげながら、わざと揺らして芯を刺激する。
今一瞬でも気を抜けばたちまち官能の波に飲み込まれそうな自我を、ゼシカはなんとか必死で保とうとした。



「ね、クク…っ、一生のお願いだから…ねぇ、あ…ぅ」
「じゃあオレも一生のお願いだから、今ヤらせて」
「バカア…ッッ!!」
我慢したのに、ククールが弄る下半身から聞きたくないような恥ずかしい濡音がした瞬間、
全身の力が抜けたような気になった。
感じないようにするって、なんて難しいんだろう。
ククールの指がイヤラシすぎるからだろうか。それとも…私が?
いつのまにか開かされた足はカクカクと震えはじめる。
突然くるりと身体の向きを返され、相変わらず後ろから拘束されたまま、部屋の扉を目前にする格好になる。
「…な、なに?」
「今ゼシカがエロい声出して喘いだら、外通るヤツに丸聞こえだな」
「…………ッッ!!!!」
「どこまで我慢できる?」
羞恥を煽られ体中がピンクに染まった状態で、ゼシカの理性を打ち壊すべくククールの指が本格的に動き始めた。
もはや止めどなく溢れてくる体液を2本の指で掻き出しながら、
同時に内壁を責め、ぬるぬるとした指で突起を容赦なく嬲る。
「アッ!イ、――-んぅぅっ!!ん、ん…ッッ」
完全に硬くなった胸の頂きを強くねじられ、摘ままれ、下から絞るように揉まれる。
震える腰に後ろから己の欲望を押し付け、その存在をこれでもかと意識させる。
ククールの口唇は彼の愛する彼女の白く華奢な肩に幾つも痕を残し、
歯を食いしばるゼシカの口を開かせるため何度も強引な口づけを交わした。
「ふ、ん、んぅ、は…っ、あ、あ、あ、あっダメ、クク、いや、た、立てな…っ」
「…ベッド、行く?」
ククールの悪い笑みにも気付かず、ゼシカは必死に頷く。
これで合意のうえのセックスとなった。ここからはもう、イヤとは言わせない。
…もっとも言ったってヤるものはヤるのだが。
ククールがそれでは、とゼシカを抱き上げるために体制を変えかけた。
その時。


―――ガチャッ


ククールとゼシカと、…扉を開けたトロデ王の時が、数秒ほど止まった。
完全なる情事の最中。目の前に現れた突然の来訪者。
2人とも声が出ない。さすがのククールも脳が停止している。
ゼシカに至っては泣き濡れた瞳が零れ落ちそうに最大限に見開かれている。
―――――――いたたまれない沈黙。

トロデ王だけが何事もなかったようにそんな2人を見上げ、憐れむでもなく、嘆くでもなく、呆れるでもなく、
なんというか…何かを悟りきった諦観あふれる表情で、ボソリと呟いた。

「・・・・・・・・・・・若いのぉ」

そして ふぅ、と小さなため息をついてパタンと扉を閉めていった。
あとに残されるのは、本番もまさにこれからという若さあふれるバカップル。
しばらくしていきなり部屋の中から、
「――――ゴルァおっさん!!!!今ゼシカのおっぱい見ただろ!!!!!!!!」
「そういう問題じゃないでしょ!!!!!バカーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!」

…という雄たけびが聞こえたとか聞こえなかったとか。

        *




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最終更新:2010年05月10日 01:50
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