※お仕置き?※





「いや…っ…ククール…お願……やめ……」
泣き叫ぶような声で懇願するゼシカの姿をこの目は確かに捉えているのに
それに対して心が揺らぐ事はなかった。
まるで感覚が麻痺してしまっているかのように、ただ一心不乱に激しくゼシカの中に打ち込んだ。
「いやあ…あああ…あ…ッ…」
逃れようともがく小さな身体を押さえつけて腰を揺らす。
肉と肉がぶつかり合う音と、ゼシカの悲痛な、だけど甘い声が脳に絡み付いてくるようだった。
罪悪感などまるで感じない。
それどころか俺は、彼女が悪いとさえ思っていた。
そうだ、ゼシカが──ゼシカが俺をこんな風にしたんだ。
ゼシカが、全てゼシカが……。ゼシカが…悪い。
快楽さえも分からなくなる程の凄まじい激情に押しつぶされそうになる。
白い背中越しに見えるのは千切れそうなくらいに揺れる豊かな胸。
そして彼女の吐息が窓を白く曇らせている。
やめて欲しいと言葉を紡ぐけど、結合部はまるで泉のように潤い一突きする度に溢れ出して来る。
俺を締め付けて、ひくついて、悦んでいる。
こんなに強引にされているのに。半ば強姦と言ってもいいくらいに、随分と無理矢理な行為。
なのに彼女の身体は俺を受け入れ、そしてもっと、もっとと求めている。
彼女は気付いているのだろうか。先ほどから俺の動きに合わせて自らも腰がリズムを刻んでいる事に。
「いや…だ…、クク……ル…ッ…、もう…やめて…」
まだそんな事を言う。
やめて欲しいのなら、何故───。
「どうして?ゼシカの方から俺に腰を押し付けてきているのに」
その言葉に彼女はただでさえ火照って赤い顔をますます濃く染めた。
指摘されるまで本気で気付いていなかったのか、それとも俺が気付いていないとでも思っていたのか。
そして俯きがちに「そんなこと…ない…」とやっとの事で吐き出された声は明らかに快楽に染まっていた。

「淫乱だな、ゼシカは。俺にこんな事されて感じて…、自分で腰ふっている」
「ちが……あ…ッ…そんな……っ」
抗議の言葉を遮るように、揺れる胸を鷲掴み頂点の尖りを指先で弾き捏ね繰り回した。
「あ…うあ…あああ…ッ」
さらなる刺激の波に嬌声をあげるこ以外何もできなくなっているゼシカに、俺は言葉を続けた。
「ゼシカのこんな卑猥な姿、サーベルト兄さんは…知ってるのかな?」
「…あ…あああッ…はああ…ん…ああ…」
「犬みたいな格好で後ろから貫かれて…、とろけそうな顔で、淫らに喘ぐ姿を…」
「あ…うあ…あああ…ッ」
「知るわけない。俺しか知らないゼシカ…。サーベルト兄さんは、」
「あ…うあ…あああッ…んはあ…ッああああ」
「こんな事…お前にしないだろ……っ…」
「───ひあッ…ぅあ……あああああッ──」
今まで中で一番強く突き上げた刹那、俺を咥えたままの肉壁が痙攣し、
ゼシカは短い悲鳴と共にそのまま床へ崩れていった。



◇◆◇





───なんて事をしてしまったんだろう。
これと似た類の後悔を、俺はあと何回繰り返せば気が済むのだろう。
恋人同士の情事と呼ぶにはあまりにも甘みがない激しい行為でゼシカが絶頂を迎え気絶したあと、
暫く放心したかのようにその場に立ち尽くしていた。
そして霧がかかったようになっていた思考が徐々に晴れていきようやくまともな感覚が戻ってきた。
汗と涙で顔をぐちゃぐちゃにしたゼシカが足元に横たわり、
その秘部から俺とゼシカのものが混じった白濁色の液体が零れカーペットを汚している。

『ククールがこんな風に優しいと、兄さんの事を思い出しちゃう。
 今日のククール、兄さんみたいで…ちょっと、嬉しい…かも』

ゼシカのその言葉を聞いた瞬間頭にカッと血が昇り、我を忘れてしまった。
その直前まで頬を染め照れくさそうな初々しい笑みを浮かべていた少女を、
一瞬にして苦痛に顔を歪めさせ悲しみに瞳の色を濁らせた。
ゼシカに、ゼシカの兄貴の影を重ねられるなんて冗談じゃない。
愛しげに細められた瞳の中に映るのは俺だけであって欲しい。
少なくても俺の腕の中にいる時は、俺と時を共にしている時は、俺の事だけで頭の中をいっぱいにして欲しい。
ゼシカの中に他の男を入れる余裕なんてなくさせたかった。

…そうだ、これは嫉妬だ。

ゼシカは俺を通して兄の姿を見ているのか、
俺と官能的な行為に耽っている最中に俺以外の男を思い浮かべるのか。
そう思うと耐えられなかった。
ゼシカの肢体を撫で回し舌を這わし隅々まで愛撫しているのは、他の誰でもないこの俺だ。
ゼシカに全身が震えるほどの快感を与えているのはこの俺だ。
思い知らせたやりたかった、ゼシカに。

以前ゼシカに自分ばかり喘いでしまうのが恥ずかしい、ククールばかり余裕あってずるいと言われたことがある。
何もできずただ俺に身を任せぎこちなく応えるだけの身体を、
俺の手によってじわじわと追い詰められ酔わせ溺れさせられると彼女は言った。
違うよ、ゼシカ。お前は何も分かっていない。

「これっぽっちも余裕なんてねえんだ…」
意識のない彼女の額にそっと口付けを落とす。

溺れているのは俺のほうなんだ。
だから…。

「あんま俺を妬かせんじゃねえよ」
今更こんな風に耳元で甘く囁いてみせて、バカみたいだ俺。

“俺に抱かれている時に他の男の話をしたのが悪い。”“俺と兄さんを重ねたのが悪い”
そうやってゼシカに責任を押し付け、逃げ道を作ろうとしている。
嫉妬に駆られ己のドス黒い感情のままに欲望をぶつけ、傷つけてしまった。
──ごめんな、ゼシカ。
せめてゼシカが目覚めた時に傍にいるのは彼女の全てを優しく包み込める俺でいたい。
傷つけてしまった以上に大切にしてやりたい。
だからゼシカ、俺を許さないでくれ。




◇◆◇




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最終更新:2010年05月10日 01:51
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