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ククールが消息不明になって暫くしてから、ククが私の前に現れた。
また胸がなんだかむずむずすると思って目をそっと開けると
思ったとおりククが私の胸にすっぽり収まり心地良さそうに眠ってる。
仕方ないんだから…とため息つきながらもその愛らしい寝顔につい許してしまう。
そのうちもぞもぞと起きだしたククは私の唇をぺろぺろ舐めて、
「おはよう」のつもりなのか「にゃあ」と鳴いた。
それに答えるつもりでククの頭をなでなで。なんとなく嬉しそう。
小さな丸い頭が愛しくてそこに顔を埋めると、そのまま首筋を舐められた。
「ひゃっ、もう変なところ舐めないでよ!」
私が怒っても知らん顔。意味が分かっていないのか気にしていないのか、今度は鎖骨を舐め始める。
「やっ…もう!クク、いくら猫だからってね、なんでもしていいわけじゃないんだからね」
引き離そうとククの身体を掴むけど。やだ、思った以上に力が強いのね。ぴくりともしないわ。
力を入れすぎたら小さなククが痛がりそうで、あまり強く引っ張れない。
どうしたものかと考えているうちにククの舌がぺろんと私の膨らみを舐めた。
どんどん位置が下に移動していく。
「や…やだ、クク、やめなさい、だめよ、変なとこ舐めないで」
私の焦りなんて全く知らない様子でククは私の胸をぺろぺろ舐め続ける。
「はん…っ…あ」
変な声が出ちゃって慌てて両手で口をふさぐ。
だってククったら、私のち…………胸の中心をぺろんとしたんだもの!
ククがそれを自分の口に含んで今度はチュパチャパ吸い出した。
まるで母乳を飲む赤ちゃんみたい。そうよ、赤ちゃんみたいなのよ。
…なのになんで私、こんな変な気持ちになっちゃってるの?
止めなきゃなんないのに、何故だか止めることができない。
ククが私のを口の中に入れたまま、舌でころころ転がし始めても
私の手は私の口をふさぐのに精一杯。
「ふ…ん…はあ…っ…ん…っ」
それでもしきりに与えられる刺激に声を完全に抑える事はできない。
ククのざらついた舌が絡みつく感触に、胸の突起はどんどん硬くなっていく。
もう~~~相手は猫だってのに、何やってんのよ私!
「ニャア♪」
チュポッと男を立ててやっと口を離してくれたクク。
気持ちよかった?と言いたげな表情で私を見上げている…まさかね。
「あんな事して、あなたが猫じゃなかったらメラゾーマだったんだから」
ククに朝ごはんの用意をしながらちょっと厳しく注意してみたものの、何の事だか分からないわよね。
ククは私の言葉なんて全く聞いていない様子で、目の前のごはんをむしゃむしゃ食べている。
ふと、もしかしたらククもずっと一人で生きてきて母親が恋しいのかもしれない。
だからお母さんのミルクをねだる様なつもりで私の…を吸ったりしたのかな?
そう思ったら急に怒る気が失せてしまった。
そうよ、ククを飼うと決めたのは私だもの。
私がククのお母さん代わりになんなくちゃいけないんだわ。
もっと頑張ろうっと。
お風呂場でそのまま身体を洗ってあげようとすると大暴れして抵抗するククが、
私が服を脱いで入浴しとうとしていると何故だか大急ぎで飛んできて、一緒にお風呂に入る。
「変な猫」と言ったら「ニャ♪」と得意げ。褒めてないわよ。
でもククが大人しく身体を洗わせてくれるのは助かるわ。
石鹸塗れになっているククの身体をよーく濯いだら、今度は自分の番。
スポンジに石鹸を泡立て左手からごしごし…「きゃあッ」
ククが急に背中に乗っかってきて項を舐めるもんだから、思わず悲鳴あげちゃった。
ほんとしょうがないイタズラっ子なんだから。
「クク、私は今身体を洗ってる最中なの。いたずらは後にしてちょうだい」
なんて言っても聞くはずもなく、今度は前に回りこんで太ももによじ登ってオヘソをぺろり。
「ちょっと、やめなさい!くすぐったいってば…!」
何が楽しいのか、ククはオヘソをやけにしつこく舐めあげる。
「ね、ねえ、もうほんと、くく…くすぐったいから!」
声をあげて笑い転げそうになる。
オヘソはやめてってば!そう叫んだ直後にククが顔を離し、ぴょんっと太ももから降りる。
ひょっとして私の身体を舐めて綺麗にしてくれようとしていたのかしら?
そういえば猫って、自分や相手の身体をこんな風に舐めて身なりを整えるんだっけ。
でも私は人間だから猫式の方法じゃ駄目よね。
「いい子ねクク。じゃあ私が身体を洗い終わるまで大人しく…ひゃっ」
次は太もも?油断ならない子ね。
「いい加減舐めるのをやめないと浴場から追い出すわよ?」
この言葉に反応したのか知らないけれど、ククはすかさず次の行動に出た。
太ももの内側に頭をいきなり挿し入れてきて私が抵抗するよりも早く…何、何をしてるのこの子?!
「……っ…」
頭の中が真っ白になった。
ククがまた私を舐めている。
そこまでは分かった。
身体がびくつく。
次に自分がどういう行動を取るべきなのか、全く考えられなくなる。
「あっ…っ…ん……クク…っ」
はしたない声を出している気がする。
ククが私の太ももの付け根の奥を一心不乱に舐めている。
ぺろぺろじゃない。もっと激しい。
線をなぞる様にざらついた舌で上下に強く擦ったと思えば、
今度は上の方にあるしこりみたいなものが強く吸い上げられている。
とろりとした液体が、私の中から湧き出てくる。何のこれぇ…?
つぷ…っと、今入ってきた。ククの舌が、私の中に。
ジュブジュブって水音が閉鎖されたこの空間内で響いている。
凄くいやらしい音。
「だ…め…っ…!」
止めるために伸ばした腕に力が入らない。
自力で身体を支えていられなくなって、バスタブに寄りかかった。
ククの舌はさらに奥に奥にと、私の中をえぐる様に押し入ってく。
かと思えば浅いところで壁を擦るようにぐるりと回転させたり、
入り口の突起物を甘噛みしたり、猫の毛づくろいとは到底思えない動きをしている。
「んっ…あっあっ…ああっ…は…あん…あっ…」
ククが尖らせた舌を私の中から抜いたり挿したりを激しく繰り返すせいで
私は言葉らしい言葉を発せられなくなってしまった。
変わりに口から零れるのは自分自身も聞いたことのないような鼻にかかった嬌声。
こんなみっともない声出したくないのに、勝手に出てきちゃう。
「はああ…んああ…あ…っ…ああっ」
ジュボッジュボッジュボッジュブジュブッグチュッグチュチュ…
ククの舌が私の中をかき混ぜている音と私の声が重なり合う。
こんなことありえない。
異常な事だと思った。
猫にこんなことされて、私もされるがままになっている。
気がついたらククの舌の動きに合わせて自分でも腰を揺らしていた。
たまらず自らの胸にも手を伸ばす。
中心に触れると身体ぶるっと震えてさらに追い詰められる。
中で蠢くものが壁のある箇所を強く撫で上げた時にふわっと身体が浮いて頭の中にで火花が散った。
「ククー…ル………っ!」
自分の叫び声なのに別の人の声のように遠くに聞こえた。
意識を失う瞬間、私の頭の中にはっきり浮かんだの。
私をいつも振り回す、まるで猫のような気まぐれ騎士───…。
「目が覚めた?」
「…………え…?」
がばっと起き上がる。いつもの寝室。…あれ、私お風呂に入ってたはずよね?
きょろきょろ辺りを見回す…ククの姿がどこにもない。
そういえば私、今誰の声で起きたの?
…え?
「な、なんで!なんでいるの…?!」
「酷いな。俺を想ってあんなに泣いてくれていたのに、何でいるのと来たか」
よく見知った含みのある笑顔。ニヤリって音が今にも聞こえそう。
「なんで泣いた事を知って…それよりも!なんで、ク…クク…ク!」
舌が上手く回らない。
「ククならいつも一緒にいただろ?」
そういう事じゃないわ。
「ククールがなんでここにいるのよ!」
やっと言えた。
「まあ話せば長くなるんだけどな。ゼシカは嬉しくないの?俺に会えて」
「なんなのよ、突然」
「俺はゼシカに会いたかったんだけどなー、この姿で」
「訳が分からない。なんでいきなり、ここにいるのよ」
「ありゃ、もっと喜んでくれると思ったのに」
「だって…こんなの混乱するわ…。これは現実なの?」
「当たり前だろ。ほら、触って確認するか?」
ちぐはぐだった会話が徐々に噛み合ってきて、私はおそるおそる手を伸ばす。
そしてククールに触れた。
「温かい…」
「な?本物だろ」
「うん…」
ずっと行方をくらましていたククールがどうして私の部屋にいきなり現れたのか分からない。
聞きたい事、言いたいことが沢山あったはずなのに全部忘れちゃった。
もういいの。だってククールが帰ってきてくれたから。
「お帰りなさい」
1番言いたかった言葉を覚えていたから。感極まってじわりと涙が滲む。
ククールに抱きつく。素肌に触れるククの服の感触が気持ち良い。
ん?素肌?
「ゼシカ、熱い抱擁嬉しいんだけどさ、俺ちょっとがまんできなくなりそうです」
「…ッきゃあああああああああああああああああああああああっ」
ククールに裸で抱きついちゃった!
そうじゃない、そうじゃないっ。どうして何で私裸なの?!
「そりゃ風呂入ってる最中に倒れたからな」
私の思考読み取った?!ククールってもしかしてエスパー?
「ああ俺は別にゼシカの思考読み取ったわけじゃないぜ。ただずっと一緒にいたから
表情とかでゼシカの考えてるようなことがなんとなく分かるってだけ」
やっぱり読んでる!
慌ててシーツを手繰り寄せ、自身の身体にぐるぐる巻く。
嫁入り前なのにククールに全部見られちゃったよ…。
「もうとっくに全部見ているけどね」とククールが呟いた。本当に心読んでいないのかしら?
どうやら浴場で倒れている私を、家に来たククールが発見したみたいね。
…どうして私、お風呂でなんて倒れてたのかしら…?
「………それよりゼシカ、風呂場での続きしたいんだけどさ、いい?」
「え?風呂…何?」
「舐めてるだけじゃもの足りねえ。やっぱゼシカの中に突っ込みたい」
「な、何を?!」
せっかく噛み合うようになった会話が、また意味の分からない応酬に戻る。
「これ」
「ぎゃあ、変なもん触らせるなあっ」
コイツ今何をした?私の手を掴んで自分の…………だめ、深く考えたらパニック状態に陥ってしまうわ。
「ひで。ゼシカ俺の身体洗う時何度かここ触ってるんだぜ?おかげで俺何度妙な気分になったことか。
猫の姿だとせいぜい舐めることくらいしかできないのによー」
「猫?!あ、そういえばクク、ククがいない!」
そうよ、訳の分からないククールの事なんかにかまけている場合じゃなかったわ。
「いるだろ、目の前に」
「だからククールのことじゃないわよ!ククよ、クク!猫!」
「だ・か・ら、俺だってば」
「ふざけてるわけじゃないの、私は」
「俺だって真剣だぜ。ゼシカ、風呂でいく時俺の名前を呼んでくれたよな。
猫じゃなくてちゃんと俺自身の方の」
「え…?」
「どうだった?俺の舌技。今の姿なら猫の時よりもゼシカを気持ちよくさせる自信あるよ」
途端ににやにやといやーらしく顔を歪める男。おまけに「にゃあ♪」なんて鳴いてみせた。
浴場での出来事が鮮明に頭の中に蘇ってくる。
ククに…猫に自分でも触った事のないようなところを舐められて、そしてそのまま私は…。
「…まさか、ほんとうに…ク、ククなの…?」
「ご名答」
眩暈がした。
これが夢だったらどんなに良かったことだろう。
呪いによって猫に姿を変えられてしまったククールを、
ククールとは知らずに一緒に暮らしていた事まではまあ良いとしよう。
でもね、ククールがククで、猫じゃなくて、猫の時も人間の時の記憶が全部あって、
ちゃんとククールとしての思考がある状態だったなんて。それで私にいつも…。
「あんなやらしい事してたの?!」
ククにされた事を思い返すと、恥ずかしくて死んでしまいそうだわ。
「俺だってゼシカの事を慰めたくて必死だったんだぜ?」
「嘘つき!何が慰めよ!スケベ!えっち!エロ猫!」
「だってゼシカ年頃の女の子なのに愛しい男と一緒にいられないで、
随分と身体を持て余していたようだし…」
「な、なな何言ってるのよ!変態!!!!」
あんたがしたかっただけでしょ!私は別にそんな……そうよ、私はえっちな事なんて
ちっともしたくなかったんだから!…うん。
「ゼシカ、なんだかんだ言って乗り気だったよな。あんま抵抗しないし
最後の方なんて自分で腰振ってるし胸とか弄くり出しちゃってたし」
「ちが…っ…ご、誤解よ!私は別に…」
かっと顔が熱くなる。
「でもま、安心しろな。これからちゃんと俺自身が、ゼシカの事たっぷり愛してやるからな」
ククールは相変わらずにやにやした顔で、手をわざとらしく握ったり開いたりしている。
「やめなさい、その変な手つき…!結構よ!何もしてくれなくていい…ひゃああっ」
まるで猫の時みたいに私の鎖骨をぺろりと舐めて、得意げに顔をあげた。
「風呂場での続き、しよっか」
その言葉にはあえて何も返さない。
私には分かっていた。
抵抗しても無駄なんだわ。
ククの時にそうであったように、結局押し切られてしまうのだと。
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最終更新:2010年05月10日 11:38