入社して3-4年は、毎年2つくらい公開コンペをやっていた。コンペはたとえどこにも引っかからなくとも、ときには実施以上に詰めた案をつくるし、また実務以上に建築にたいしてより素直な考えを探れる機会を与えてくれる。ここ2年近く公開コンペには参加していない。公開コンペ自体が、さっぱりなくなってしまっている状況だ。コンペアンドコンテストも終わってしまった。
作業へ見合った業務報酬を獲得出来ていない設計事務所は、生き残りも厳しく直接仕事へ結びつく可能性が少ないコンペから遠のきがちだ。一方で公共事業からもコンペが減り、巨匠クラスへの指名が集中する悪循環。組織事務所では指名コンペスタッフを確保し、常にコンペばかりしている先輩の話を聞いたこともある。行政に対して断れないシステムなのだ。
民間による事業コンペは幾つか経験した。短期間の勝負であるが、かえってムダにデザインすることなく、明快な表現へ到達出来ることが多い。コンペだからと構えるのではなく、常に実務の延長として考えたい。逆に言うと普段の実務も、コンペの様に積極的なアプローチで望むべきだ。
そんな中、青森県立美術館のコンペが開催される。応募件数も1200と仙台メディアテークとほぼ同じ。今世紀最後のビッグコンペになることは間違いないだろう。途中まで主催者側に名を見せていた磯崎さんが、コンペの審査員に載っていないのは気になるが、伊東さんが審査委員長。審査員が試されるのもコンペの楽しみの一つだ。99.09.20/k.m
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