かつては国際スパイだったグレゴリオ(アントニオ・バンデラス) とイングリッド(カーラ・グギノ)夫婦。今はすっかり足を洗い2人の子供達、カルメン(アレクサ・ヴェガ)とジュニ(ダリル・サバラ)と仲良く暮らしていた。しかし。グレゴリオとイングリッドは久々の仕事で、思いもかけず敵に捕まってしまう。両親がスパイだったことを知った子供達は隠されていた最新のスパイグッズを用い、パパとママを救うため、敵地へと乗り込むのだった…。
「スパイキッズ」と「オースティンパワーズ」は共にスパイ+お笑いモノである。コントの寄せ集めのような「オースティンパワーズ」だが、「スパイキッズ」にはストーリーがある。笑いはストーリーを進めていく上でのエッセンスに過ぎないのではないだろうか。
笑いを前面に出している為に軽さだけが残り、観賞後の感動も薄く軽い「オースティンパワーズ」に対して、「スパイキッズ」は映画の主人公たちと一緒に一つの任務をやり終えた後の様な達成感がある。まんまとストーリーにのめり込んでしまっている自分がそこにある。それは笑いにだけ頼るのではなく、ちゃんとストーリーがあるからであろう。
「スパイキッズ」は、観ていて飽きない。普段は仲のあまり良くない家族が一致団結して敵に向かっていくという分かりやすいストーリーがあり、そこに姉弟の会話による所々のギャグや、ドラえもんの道具の様なスパイグッズなどが効いているからではないだろうか。何事もストーリーがあってこそである。
「スパイキッズ」は親子で楽しめるというのが、ウリの一つでもあるようだが、親子が共に楽しめる作品のカギは、子供に理解しやすい分かりやすいストーリー(それは「暗」においてではなく、「明」おいて展開されるもの)と大人の目も楽しませられる気の利いたディテールにあるのではないかと思う。一部の人にしか理解できないような作品より、誰もが楽しめる、理解できる作品である事は大切だし、とても難しいことでもある。それをこなしたロドリゲス監督の「スパイキッズ」でない、次作が楽しみである。2002.09.27i.m
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