ベルリン・天使の詩
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監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース
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出演:ブルーノ・ガンツ、ソルヴェイグ・ドマルタンオットー・ザンダー、ピーター・フォーク
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1987年西独=仏合作
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なぜ僕は僕で きみでない?
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なぜ僕はここにいて そこに居ない?
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だれもが語る自分の詩。
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天使はその詩をただ聞くのみ。
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個人のささやきが、すべて詩となり、様々なオムニバスが流れていく。
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天使の見る世界は、モノクロームな本質だけだ。
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本質のみの世界。それは人生の中で語られていく詩の織りなす世界だ。
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なにも触れることなく、なにも触れられることなく。
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暖かいコーヒーの香りすら感じない。
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心の囁きのみを聞き、伝えたくとも通じない。
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人間の世界は、カラフル。
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様々な表層のみ漂い、あふれる。
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心を刺す欺き。なにも信じられない追いつめられた心。
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いつまでも変わらない日々をもとめる心。
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あの時を探し続ける心。
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閉ざされた心は、孤独を迎えるだけだ。
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自らを全て受け止めることが出来ぬままに、人間をやめる。
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あるいはこの世界へ目を閉じ、盲目なまま生きていく。
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この映画は二つの世界をさまよわせる。なにも知らない、たとえ欺かれた世界だとしても、本質だけを知らされたままの天使は、寂しさだけを引き継いでいくだけだ。
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人間の世界は、依然としてただカラフルなままだが、今をいきる生命観は、表層的なものの中にこそ、見えてくる。
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ベルリンという都市が、時間的、存在論的、叙情詩を彷彿させる。この映画は、タルコフスキー、トリュフォー、そして小津に捧げられている。00.03.20/k.m
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カテゴリー-映画
最終更新:2008年04月11日 08:09