ベルリンを舞台にした映画をさがして2本見た。どちらも以前借りようと思いつつ見送っていたものだった。偶然なのか2本とも同じような内容で、ここから現代のドイツが抱えている問題なんかも見てしまってよいのだろうか。
「贅沢は敵だ」と、資本主義やグローバリゼーションを批判する若者達の青春ドラマ。そのテイストでどちらもまとめられている。青春映画だから清々しさとほろ苦さが中心にあるのだけど、消費社会批判も真面目に構築されている。このきっちりしたつくりはドイツ映画の特徴なのだろうか。
ベルリンの都市開発は勢いを増しとどまることを知らない。その動きは知るほどに今の東京と重なってくる。けれど現代の東京を舞台にしてこれらのような映画は撮られないしリアルさも持たないだろう。
ワーキングプアとか、勝ち組・負け組の話は日本もたくさん重なる。けれど事態は穏やかに深刻化し、「雇用の流動化で、ますます搾取されてゆく若者!」などという言論を映画のように声高にさけぶ「若者」はいない。体制批判なんてゆう文脈は存在しないし、長く封印されたお国柄だからか。
どちらの映画も、革命をとなえる「啓蒙という姿勢」の不毛さを教えているようでもあり、またそんな風に問題を切り捨てることで生んでいく悪循環を見せているようでもあった。自由を夢見て統一を果たし、一方で格差を生み出す社会を再構築したい思いは強くあふれている。2007-05-04/k.m
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