BIMについて・その2



今回はCDF(流体解析)ソフトメーカーによるセミナーへ行った。前回のCADメーカーと違い、BIM本来の、意匠、設備、構造を共通の3Dデータで繋いでいく話かと思ったが、やはり実態はまだそこまで行っていない。あくまでも意匠設計において、流体解析を検討することのメリットをどれだけ伝えられるかに焦点はあった(当然か)。

台湾の都市計画・検討実例では、集合住宅の配置計画と風の流れ、高層マンションにおける屋外機配置による熱分布、歩道へどのように日影を作るかのシュミレーションなど。どれも興味深いテーマながら、どれほど役立っているのか実感としてはあまり伝わってこなかった(私の理解不足か)。

次に某組織事務所におけるBIM推進の軌跡、その苦労話など。こちらはより実態がリアルに聞けて興味深かった。最近6年を2年区切りに3つのフェーズとしてまとめ、実務へ取り込んでいく段階が分かりやすかった。やはり焦点は3DCADの習得で、属性のあるデータをどのように実務へ効率よく役立てるかは、これからという感じ。

企画設計の段階で各要素へ属性を与えるというドラフティングは、もう従来の意味で線を引くこととは大きく違う。もちろん使っていないので、その効果は計り知れないが、同時に、創造をふくらませる初期段階で、あまりにもシステマチックな入力が多いという懸念も抱く。そこが各ソフトメーカーの勝負所で、創造性を、自由度を感じさせるインターフェイスに苦労しているようだ。

ところで、創造性と生産性はやはり対立してしまうのか。いまだホルダーでガシガシ手書きを義務付けるアトリエ派から、実務へ全面的にBIMを取り入れようとする組織派。出来あがる建築へ、どのような差が発生するのか。組織派がどんな力作を発表しようと、メディアによって超合金的だとか揶揄される現実とは。

確かに大規模プロジェクトを効率的にマネージメントする組織派のスキルはすごい。世界的な経済規模の拡大による資本の巨大化、設計業務の複雑化による周知説明範囲の拡大。これらがPMやCMという分業のきっかけにもなっている。組織はこの分業という訓練について、常にアトリエに先立っていると思う。

しかし実態として組織内でも一人の人間が取りまとめ、トップダウン的に思考が流れていて、対等な分業というか、チーム的な思考が難しいことには変わりがない。3人で3つのPJを進めるのと、30人で30のPJを進めることが、同時に30のスケジュールを管理することでまったく違う分業体制を生み、それは作業配分自体が大きな生産性向上へ影響する死活問題となるため、組織は当然そこが得意になっていくだけだ。

だんだん何を言いたいのか分からなくなってきたので、また後にしよう・・w。2010-09-21/k.m

カテゴリー-建築
最終更新:2010年09月22日 17:00