『シンガポールビエンナーレ2011 オープンハウス』
シンガポールへ旅行するにあたって、いくつかの書籍やサイトを調べる。毎度のことながら知らないことばかりだ。自分の無知さと、旅行直前に向き合うその国への志向性の強さがたどりよせる情報量へ圧倒された。
普段新聞を読んでいる程度の国際情報はなんて希薄なのだろう。あるいは、その国へ実際に行こうとする以前の興味は、なんとささやかなんだろう。一方で詰め込んだこの情報は一夜ずけのようにはかないけど、、。
まず多民族具合が想像以上で、中国系が7割以上、マレー系1割ちょっと、インド系で1割弱、さらに外国人が1割程度常にいるというのが驚き。アジア版のニューヨークといった感じか。
中国系が多いといっても民主化の度合いは中華人民共和国よりはるかに台湾の方へ近い。しかし実際の政治としては人民行動党の事実上一党独裁制で言論制限もあり、前者へ近いとも言われている。
それでは民主的な印象はどこからくるのかと言えば、旧宗主国イギリスの影響で公務員や官僚の給料が良く腐敗していない所が大きいようだ。このように、なんとも複雑な国だ。
今回で3回目となるビエンナーレ。第1回、第2回と続けてアーティスティック・ディレクターを務めたのは南篠史生さん(森美術館館長)。(なんと、私の参加した日本語ツアーで偶然遭遇しました。)
30カ国から63人のアーティストが参加。会場はシンガポール美術館とその別館、シンガポール国立博物館、マリーナ・ベイ、旧カラン空港などで161作品を展示。今回その全てを回った・汗。「オープンハウス」という副題はテーマとしてではなく、アーティスト、鑑賞者双方に対しての招待状という位置づけのようだ。
東南アジアのほぼ中心で赤道直下。世界で2番目に人口密度の高い多民族国家。マレー正月のハリラヤ、ヒンドゥー教の祝日ディーパヴァリ、中国の春節など、人々は自宅を開放して客を招き入れ、一緒に食事をしたり話をしたりする風習をそれぞれ持っている。
こうしたシンガポールでの文化を、社会的・政治的なヒエラルキー、あらゆる意味での境界を超えた
コミュニケーションや交流から生まれる現代美術と重ね合わせているようだ。2011.04.19
k.m
最終更新:2011年04月20日 17:26