経済政策part2

金融危機が発生した場合には、一時的に財政出動を増やさざるを得ないのは分かりますが、それを不必要に続けると中期的には必然的に国民負担率の上昇を招きます。つまり、

国民負担率が上昇する 我々の可処分所得が減る 我々の行動の自由がその分制約されてしまう

という結果になります。

具体的に示すと・・・

一年前にはAさんの月収は20万円で、そのうち税金と社会保険で5万円差し引かれるので、手取りは15万円だった。 負担率=5/20=25% 1970年頃の日本
現在はAさんの月収は20万円で変わらずだが、税金と社会保険で7万円差し引かれて、手取りは12万円になった。 負担率=7/20=35% 現在の日本
一年後もAさんの月収は20万円で変わりそうもないが、税金と社会保険で9万円差し引かれて、手取りは11万円になる予定だ。 負担率=9/20=45% 10年後の日本?
二年後もAさんの月収は20万円で変わりそうもないが、税金と社会保険で11万円差し引かれて、手取りは9万円になる予定だ。 負担率=11/20=55% 20年後の日本?

※①と③を比較すると、Aさんの経済的自由度は20%も奪われることになり、さらに①と④では30%も奪われることになります。
実際には1970年頃の日本と現在の日本とでは経済規模が大きく違いますから、国民負担率の上昇は国民所得の上昇によって吸収されて国民にはそれほど痛みと感じられませんでした。
しかし、これからの日本は、経済規模の拡大が余り望めない中での国民負担率の上昇を迎えることになりますから、何らかの対策を政府がしっかり取らないと、国民の経済的自由の損失が急ピッチですすんでしまいます。

※各国の国民負担率の推移

参考リンク

なおリンク先の「日本を欧州型の福祉社会にする」という主張には強く反対します。
欧州諸国のように国民負担率が50%を超えてくると、「額に汗して働き収入を上げて豊かになる」という動機よりも「どうせ働いても政府に吸い上げられるだけであり、上手く政府の補助金や扶助を獲得することを考えるのが得だ」といった考えに傾く国民が多くなってしまい、経済が停滞してしまうからです。
図中の各国で、曲がりなりにも一番経済活力が高い国は、国民負担率が一番低いアメリカであり、その次は国民負担率が二番目に低い日本であることがこれを証明しています。)

【関連】 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か

国民負担率の数値を示さずに「福祉の充実」を訴える者に注意

選挙になると、それをすると将来に国民負担率がどうなるのかといった数値をまったく示さずに「福祉の充実」「安心社会の実現」などの耳障りの良いスローガンを繰り返す者が必ず現れます。
この言葉の真に意味するところは「貴方の収入から、政府が天引きして貴方の知らない誰かのために勝手に使用する金額の割合を今よりも増やします(つまり貴方の自由に処分できる所得を減らします)」ということです。
社会民主主義の立場をとる政党が長期に渡って政権を握り続けてきたスウェーデンなど北欧諸国は、そのようにして個人の収入の70%以上が現実に政府に吸い上げられていますし、左翼政党がやはり強い勢力を持つフランスなども国民負担率が60%を超えています。
「福祉の充実」「ヨーロッパ型の高度福祉社会の実現」といった言葉に踊らされている人は、本当にそれが自分の望む社会の在り方なのか再検討してみる必要があります。

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最終更新:2019年12月22日 15:01