ONE PIECE(尾田栄一郎)
byベルフォート
週刊少年ジャンプの代表作「ONE PIECE」について語る!
「ONE PIECE」という漫画を御存じだろうか。
ONE PIECEは1997年12月に一巻が発売されてから現在までで60巻が発売されている、尾田栄一郎先生の代表作品である。
しかもその単行本累計発行部数は2億冊を突破するという、今日本で一番読まれている漫画のうちの1つなのである。
ではその魅力とは何なのだろうか。それを探っていきたい。
ONE PIECEの1つ目の魅力は、そのストーリーの充実性であると私は思う。
主人公のモンキー・D・ルフィが海賊王になるためにその一行「麦わら海賊団」とともに「ラフテル」という最終目的地へ航海をしていく、
という誰でも理解できるシンプルな物語であるだけのはずなのに、その内容は非常に濃密なものである。
まずは「悪魔の実」の存在である。それを食べたものは人外の能力を手に入れるのと引き換えに、海に嫌われ一生カナヅチになる。
これを食べたものは十中八九、普通の人間では敵わない存在になり、
ONE PIECEのキャラクターたちはこの能力を使って戦い、生き延び、生きる。
強い能力を持った者は必ず麦わら海賊団に影響を及ぼす。それが仲間という形か、敵という形かは分からないが・・。
そして、辿り着くどの新しい島もその島固有の環境を持っており、それは空想と夢に満ちた現実にはない高揚感を生み出す。
その最たる例が空島、ウォーター7、シャボン諸島などである。
島ごとの環境は見たこともないものであるが、そこに住む人々はその環境を利用して生きており、その生活体系を見るのも面白い。
また、ルフィたち海賊とその対抗組織の勢力関係「三大勢力」、世界を牛耳る一大組織「世界政府」など、
近代史に見る勢力関係図に似たものを漫画上に浮かび上がる。
その一つ一つが個人では立ち向かえないほど大きな壁になり、それをどのように切り崩すか、私たちの興味を惹かせる。
これら多くの要素を元に構成されている物語には、1点の矛盾も存在せず、安心してストーリーを楽しむことができる。
そして、これら以外に細かいサイドストーリーも面白いので、読む人によってその楽しさのポイントは違うのではないだろうか。
2つ目の魅力は、キャラクターの存在感である。
「動く物はすべて自分で描きたい」と尾田先生が語るように、
作中のキャラクター達はすべて尾田先生がデザイン・イラストレーションしたものである。
最近の漫画に見られがちな「シンプルなデザイン」ではなく、
どちらかというと1990年代に見られる「印象に残りやすいデザイン」に近いデザイン構成をしている。
キャラクターは人間型で体の大きい「巨人」、上半身が魚の「魚人」または下半身が魚の「人魚」、
手の関節が2個ある「手長族」などから、人間に限らず鳥、魚などの動物まですべて尾田先生がデザインしている。
これらすべてのキャラクターには愛着があり、敵であるのに憎めないキャラクターが多いのも特徴であろう。
そして、これらキャラクターの設定も細かく決められている。
例えば、麦わら海賊団はどんな敵でも「殺す」ことはせず、意識を奪ったり、戦意喪失に留めている。
また、ルフィに回想シーンはつけない、麦わら海賊団の一員ニコ・ロビンは、
仲間になって少し時間を置いて心を許してからルフィを「ルフィ」と呼ぶようになる、などの細かい設定がされている。
「作中で恋愛を描かない」「殺人や死亡シーンをなるべく描かない」「戦いの後には仲間たちとの楽しい宴が始まる」
といった尾田先生の信念・自分ルールからきており、これもONE PIECEの魅力の内の一つとして語られるものであると強く思う。
3つ目の魅力は、尾田栄一郎という漫画家の魅力だ。
毎巻に「SBS」という読者の質問コーナーと「ウソップギャラリー海賊団」というイラスト紹介コーナーを設置し、
1つ1つに尾田先生の回答やコメントが付けられている。また、通常9話分で1巻の単行本を作るのに対し、
「話の区切りが悪いので○○話までは入れたい」などの理由により1巻に10~11話分を収録することがある。
これでは作者側としては単行本1冊に対して利益が少なくなるはずなのだが、尾田先生の中では「読者へのサービス」という形で決着しているようだ。
このように、漫画は読者と一緒に作るようだ、とでも言っているかのようなスタイルで描いている尾田先生だからこそ、
ONE PIECEという大作が出来上がったのであろう。
長くなったが、私の言いたいことは言いたいだけ言わせてもらったので、このあたりで失礼させて頂こうと思う。
これを機にONE PIECE読者が増えることを切に願う。
最終更新:2011年01月29日 06:45