惑星のさみだれ(水上悟志)
byトクジ
あらすじ:大学生である雨宮夕日はある朝起きると、言葉を喋るトカゲから世界を救う騎士の1人に選ばれたことを告げられる。
無関心を貫こうと決めた夕日であったが、敵に狙われたことからこの争いに巻き込まれていく。
ヤングキングアワーズで連載していた作品。
ドラマCDや完結記念の小冊子などの企画もあったことから、メジャーになることはなかったが、そこそこの人気を取っていたと思われる。
最近だと「このマンガがすごい 2011」において、22位という順位に輝いた。
出来れば連載中に取得してほしかったが、終わってしまったのでは仕方がない。
地球を壊すのが目的の魔法使いと魔法使いが使役する泥人形、それを防ぐ姫と指輪の従者と騎士達の戦いを描いたマンガで、
分かりやすい単純明快な王道マンガ。ただ主要キャラだと思われた人物があっさり死んだり、
守られるべき姫が戦闘能力が一番高かったりするため、少し邪道が入っていると思われる。
騎士や姫、地球の破壊、超能力、青臭いセリフとかなり厨二要素満載な作品。
そして最終章間近に出てくるメカニック、ブルースドライブ。名前だけ見るとすごくカッコいい兵器。
しかし名前に反し本当に残念なビジュアルの兵器。その上物語的にも敵の最終兵器を壊すという大事な役目があったはずなのに、
いっそ清々しいほどあっさりとやられてしまうかませ犬的扱い。
このように好きな人には食い付きがよさそうな要素がそこかしこにある作品であるのに、
前半の盛り上がりのなさから少年誌だと途中で打ちきりになっていたように思える。
しかし巻を追うごとに面白くなっていく作品であるのは間違いない。特に6巻から最終巻にかけての盛り上がりには、
熱いものが込み上げてくることを保証しよう。なぜならこの人の作品は、誰かが死んでからの盛り上がりが半端ないからである。
その中においても私は、8巻の夕日が試練に臨む回を一番に押したい。
過去に絶対に超えることの出来なかった騎士を相手にし、相手の凄さを改めて実感し、それを超えて行く。
これこそが、少年マンガなのだと言わんばかりの展開。初見の人に1巻を読んで切られることが本当に残念でならない。
その上絵の好き嫌いが激しく分かれる作品でもあるし、1巻と3巻~では激しく絵が違うと安定しなかった。
そのため余計に人を選ぶことになっている。
そんな作品である惑星のさみだれであるが、読み進めれば絵も気にならないほどにのめり込むことができる作品なので、
是非未読の方は最後まで一気に読んでほしい。
最終更新:2011年01月29日 06:39