2006/5/13 芦北の国有林高濃度アンモニア検出 県、産廃施設に改善求める=熊本【読売】

芦北町古石の国有林でヒノキなど約700本が立ち枯れし、県が隣接する産業廃棄物中間処理施設の大気などから高濃度のアンモニアを検出していたことがわかった。立ち枯れとの因果関係は不明としているが、県は施設を運営する水俣市の業者に改善を求めた。



県は3月、施設内や被害地区の8地点で大気、被害地区の5地点で土壌を採取し、被害がない林と比較。施設内の大気では無被害地区の111倍にあたる88ppm、被害地区では115倍の91ppmの高濃度のアンモニアを検出した。被害地区は土壌でも高濃度を示した。



同施設は、生ゴミなどを処理して堆肥(たいひ)を作っている。一帯は、悪臭防止法によるアンモニア排出規制の対象区域外で、県は改善を求めるだけにとどめた。



県内には同様の施設はほかに15か所あるが、いずれも立ち枯れはないという。
業者は「原因は不明だが、高濃度のアンモニアが出ているのは事実。大学教授などの専門家に相談して、何らかの対応策を取りたい」と話している。


2006年1月20日 芦北町国有林 ヒノキ立ち枯れ被害拡大 九州森林管理局が調査 【熊日】

葉が枯れ落ち枝だけになったヒノキ=11日、芦北町古石の国有林

ヒノキの異常変色が見つかっていた芦北郡芦北町の国有林で、それらの木々が次々と立ち枯れしていることが十九日までに分かった。管轄する九州森林管理局(熊本市京町)も立ち枯れを確認しており、調査を進めている。

被害が出ているのは、同町古石の国有林。同局が今月十一日に現地調査したところ、〇・二ヘクタールの範囲でヒノキ六百九十一本とスギ四本が枯れていた。これらは一九七四(昭和四十九)年に植えられて
いた。
同局は昨年八月にも現地を調べており、同じ範囲でヒノキ百七十九本の立ち枯れを見つけていた。今回の調査で立ち枯れ被害がさらに進んでいることが確認された。

同局は九月、独立行政法人森林総合研究所九州支所(熊本市黒髪)に原因調査を委託した。同研究所は(1)病害、虫害(2)ヒノキ自体の生態(3)土壌の三点を調べ、同局に結果を報告した。同局はまだ報告内容を明らかにしておらず、近く芦北町や地元住民に伝える方針。

古石地区では、昨年八月、地元住民が褐色に葉が変色したヒノキを見つけ、原因を突き止めるパトロール隊を結成し、定期監視を続けている。

立ち枯れがあった林の隣接地では、県南の民間会社が国有林を賃借。県の産廃処分業許可を受け、二〇〇一(平成十三)年からは、木くずと生ごみやし尿などを混ぜ、たい肥化する産廃中間処理施設を操業している。住民らは、この施設との関係を含め同局に調査と説明を求めている。

同局は「研究所の報告を受け、内部で対応を検討している。住民や町には今月中に結果を報告したい」と説明。県廃棄物対策課は「管理局の対応を見守りたい」としている。

民間会社は「施設は県の基準をクリアしている。県から指導があれば改善すべきところは改めるが、今のところ立ち枯れとの因果関係があるとの話は聞いていない」と話している。

住民らは「立ち枯れしている国有林の近くには民有林があり、被害の広がりを心配している。早く原因を突き止めてほしい」と話している。 

2006/1/27 国有林立ち枯れ問題 被害林の土壌に強い酸性値 芦北町【熊日】

芦北郡芦北町古石の国有林でヒノキなど約七百本が立ち枯れした問題で、被害林の表土が通常より強い酸性値を示すなど土壌に変化が出ていることが二十六日分かった。一部の土壌だけ酸性度が自然に変化する事例は少ないため、原因物質は外部からもたらされた可能性が高いとみられる。管轄する九州森林管理局(熊本市京町)は二十七日、調査結果を芦北町などに報告する。

関係者などによると、通常、ヒノキ林の酸性度指数(pH)は4~5程度であるのに比べ、被害が集中している場所の指数は、より酸性度が強い3・5前後だった。

また、電気の流れやすさを示す電気伝導度指数(EC)も通常の数倍から十数倍に達していた。多量のイオンが含まれるとみられ、土壌の変化を示した。酸性度や電気伝導度は林地や農地の土質を調べる指標という。

九州森林管理局は、独立行政法人森林総合研究所九州支所(熊本市黒髪)に立ち枯れの調査を依頼、今月十九日に報告を受けた。土壌も調査対象になっており、同局は酸性化や電気伝導度の上昇を把握している。調査項目の一つである病害虫による被害の可能性は低いとしている。

立ち枯れは〇・二ヘクタールで発生。同局の調べで、被害は昨年八月の時点でヒノキ百七十九本だったが、今月十一日にはヒノキ六百九十一本とスギ四本に拡大していた。

古石地区では昨年八月、地元住民が葉が褐色に変化したヒノキを発見。原因を突き止めるパトロール隊をつくり、定期監視を続けている。また、同局に原因を究明するよう求めている。 


2006/1/28 国有林立ち枯れ問題 「原因特定できない」 森林管理局が報告【熊日】

芦北郡芦北町古石の国有林でヒノキなど約七百本が立ち枯れした問題で、九州森林管理局は二十七日、被害林の土壌調査の結果などを周辺住民に報告した。土壌の酸性化を確認し、大気中の物質の影響が考えられるとしながらも「原因物質の特定は技術的にできない」としたため、住民からは早急な原因究明を求める声が上がった。

古石交流館みどりの里で、同局熊本南部森林管理署(人吉市)の小島善雄署長ら二人が、住民ら二十二人に報告。同局が調査を委託した独立行政法人森林総合研究所九州支所(熊本市黒髪)の調査結果を基に、「酸性化し、塩類濃度が高い土壌が確認された。外部から何らかの物質が入った可能性が高い」「目に見える葉の障害には大気中の物質の影響が考えられる」と説明した。病害虫被害の可能性は低いとした。

しかし原因の特定に関しては「立ち枯れと土壌酸性化の結びつきは分からない」「大気中の物質の特定は、森林総合研究所では技術的に難しい」と述べるにとどまった。

また、隣接する民間の産廃中間処理施設と立ち枯れの関係についても「分からない」と語り、産廃処分業の許可権限を持つ県に大気調査を依頼したことを明らかにした。

これに対し住民からは「七百本もの木々が枯れていることへの危機感が足りない。国が独自に大気の調査をできないのか。とにかく原因特定を急いでほしい」「病害虫よりも産廃処理施設との関連を優先的に調査すべきではなかったのか」と、調査の不備を指摘する声が上がった。

小島署長らは住民説明を前に県芦北地域振興局と芦北町役場を訪れ、調査結果を報告した。(東寛明) 

2006/1/28 ヒノキ立ち枯れ被害調査 芦北で695本「低pH、高EC」=熊本【読売】

◆水俣、77本「伐採で環境変化」
九州森林管理局熊本南部森林管理署(人吉市)は27日、芦北町古石と水俣市袋の国有林の一部で、立ち枯れ被害が出ているヒノキの人工林の調査結果を発表した。
同管理署によると、立ち枯れが確認されたのは、古石の国有林約542ヘクタールのうち約0・22ヘクタールで、被害を受けたのは樹齢32、33年の695本。袋では約138ヘクタールのうち約0・05ヘクタールで、樹齢49年の77本。
古石の人工林は虫害、病害はなかったが、土壌の酸性度指数(pH)が3・3~4・1で通常の人工林の4~5より酸性度が強かった。土壌に溶け込むイオン量を示す電気伝導度(EC)も通常の10~30に比べ80・7~390と高い数値を示した。
同管理署は、この数値について「低pH、高ECが養分吸収を阻害することはあるが、立ち枯れを引き起こすかは事例がなく不明」と説明。低pH、高ECの原因に関しては「何らかの物質が土壌に流入した可能性が高い」としている。
袋については、立ち枯れ発生場所付近の人工林の一部が伐採されたため、直射日光で土壌が乾燥するなど環境が変化し、ストレスに弱いヒノキが影響を受けた可能性が高いという。
同管理署は昨年8月、被害を確認。同9月から、独立行政法人森林総合研究所九州支所(熊本市)と合同で調査を行っていた。 

2006/10/03 芦北町の国有林立ち枯れ 隣接の産廃施設にガス除去装置【熊日】

芦北郡芦北町の国有林の立ち枯れで、被害地に隣接する産業廃棄物中間処理施設が近く施設改善を終えることが二日分かった。被害との関連が指摘されるアンモニアガスの除去装置などを既に設置、試運転に入っている。

県廃棄物対策課によると、施設を運営する民間会社は廃棄物処理法に基づき七月、施設設置を許可する県に施設変更を届け出た。アンモニアガスの外部への流出を抑えるのが目的。ガス洗浄装置を屋内に設置するとともに、産廃などでたい肥を作る棟の外壁を密閉し、棟の出入り口にはプラスチック製のカーテンを付ける。外壁工事は済み、カーテン取り付けを残すのみとなっている。

県や国有林を管理する九州森林管理局(熊本市)は、近く地元説明会を開き改善内容を住民に伝える。県はアンモニアガス濃度の調査データ提出を継続的に民間会社に求めていく。民間会社は「住民の不安をできるだけ解消したい」と話している。

芦北町古石地区の国有林ではヒノキやスギ約七百本が立ち枯れした。その土壌から通常の林地より強い酸性を確認。県が周辺の大気からアンモニアを検出し被害との関連を指摘、施設側に自主的な改善を求めていた。

一方、施設から約五十メートル離れた斜面下の民有林でも倒木が見つかっていた。調査した県は、軽いアンモニアガスが施設より低い所には流れ込みにくいことなどから、強風で倒れた可能性が高いとみている。(清田秀孝)
最終更新:2006年11月19日 01:25