2008/04/22 水俣市:議長車エコカー署名、2865人分提出--市民団体 /熊本【毎日】


 水俣市が今年度買い替えを予定している議長公用車を、安価で環境に優しいエコカーに見直すよう求める署名運動を展開していた市民団体「環境モデル都市を考える会」(赤木惇子代表)は21日、市民2865人分の署名を松本和幸議長に提出した。

 メンバー8人が市議会を訪れ「水俣市民は子どももお年寄りも環境に優しい町づくりを考えている。議長車も環境への配慮を模索してほしい」と訴えた。これに対し、松本議長は「運転する職員の疲労や安全面も考えなくてはならない」と買い替え計画への理解を求め、主張は平行線のままだった。

 議長公用車は92年の購入から16年たつため、市が2月議会でトヨタクラウンを想定した買い替えを提案した。会はハイブリッド車のトヨタプリウスを例に挙げて、今月14日から車種見直しを求める署名を集めていた。

毎日新聞 2008年4月22日 地方版


2007/7/14「もったいないボックス」開設 水俣市 【熊日】


 家庭に眠っている不用品はありませんか。水俣市は二十日から、電化製品や子供服など使わなくなった生活用品を活用するため、譲りたい人ともらいたい人をつないで情報を提供する「もったいないボックス」を開設する。

 環境モデル都市づくりを掲げる同市は、リサイクル率を上げるため、家庭ごみを二十二種類に分別して収集している。その取り組みをさらに進めて、資源ごみに出される不用品を再活用し、ごみ自体の量を減らそうと企画した。

 「もったいないボックス」の利用対象は市在住者で、電化製品や家具、ベビー用品、洋服などの無料譲り渡しが条件。譲りたい人ともらいたい人がそれぞれ市に登録し、希望が一致すれば担当者が双方に連絡する。市役所一階の掲示板やホームページでも随時、不用品情報を検索できるようにする。

 市環境対策課は「粗大ごみの中には十分使える物が多く含まれている。もったいないボックスで、物を大切にする市民の意識も高めていきたい」と話している。(渡辺哲也)


2007/6/3 環境大学構想が浮上 水俣市で「こんにちは」【熊日】


「これまでの水俣、これからの水俣」と題したパネルディスカッションなどが行われた「地域とともに こんにちは熊日です」の会場=水俣市のもやい館(小野宏明)

 県内各地の魅力を探る熊本日日新聞社の地域交流事業「地域とともに こんにちは熊日です」が三日、水俣市牧ノ内のもやい館であり、環境モデル都市づくりの次なるステップとして「環境大学構想」が浮上した。「こんにちは熊日です」は八代、玉名、天草、宇城の各市に続き五カ所目。水俣市、市教委、県芦北地域振興局後援。

 「環境大学」は、水俣病の公式確認から半世紀を超え、大学生などに水俣病問題や環境の大切さを幅広くを学んでもらう試み。宮本勝彬市長が明らかにした。市は今後、カリキュラムなどを詰める。宮本市長は「環境をキーワードにした交流、学ぶ場の提供につなげたい」と意欲を語った。

 メーンの地域フォーラムには約二百人が参加。水俣病に長年向き合ってきた熊本学園大の原田正純教授、同市出身のフォトジャーナリストで食文化研究家の森枝卓士氏の二人が基調講演。原田氏は「健康と福祉の街として、水俣病の経験を世界へ発信し、市民が集える精神的な『広場』をつくってほしい」と呼び掛け、森枝氏は「水俣だから安心、という食のブランドを発信できないか」と提案した。

 パネル討論は「これまでの水俣、これからの水俣」がテーマ。宮本市長ら六人のパネリストが水俣再生に向けたアイデアや意見を交わし、高峰武・熊日編集局長がコーディネーターを務めた。

 パネリストからは、農漁業の立場から「商工業などと連携し、波及効果を広げたい」などの意見が出た。さらに、地域活性化の視点から「市民一人ひとりが観光資源。環不知火海エリアで、循環共生型のモデル地域づくりを」などの提案が相次いだ。

 館内外では、関連イベントなどもあった。次回の「こんにちは熊日です」は八月十一日、阿蘇市で開く。(田口貴一朗)
地域とともに こんにちは熊日です

2007/05/11 水俣エコタウン:焼酎瓶再利用促進を 回収率50%目指す /熊本【毎日】

 焼酎瓶などを回収して再利用するリユースの取り組みが、水俣市のエコタウンで進んでいる。原料として溶かして再利用するのではなく、瓶を洗って繰り返し利用する取り組みで、関係者は「回収率50%を目標にさらに普及を目指したい」と意欲を見せている。
 鹿児島県内の酒造メーカーと連携し、環境省のモデル事業として04年度に回収をスタート。出荷本数計約430万本に対し回収は計約108万本(ともに昨年11月現在)と回収率は25%に上っている。
 廃棄物としてのガラス瓶の減量や自治体の回収負担が軽減される上、酒造メーカーにとっても新品より2割前後安く瓶を調達できるのがメリット。鹿児島県大口市の酒造メーカー11社でつくる大口酒造協業組合と、01年度に水俣エコタウンに進出した田中商店(熊本市)が中心となって事業を進めてきた。
 従来の5合瓶(重さ450グラム)より厚めの専用瓶(480グラム)を使い、78度の高温水で洗浄して殺菌する。回収に協力すれば1本5円が返ってくる仕組み。デポジット(保証金)制度と異なり、商品価格に上乗せするのではなく再利用に伴うコスト削減で吸収する。
 鹿児島、熊本、宮崎の3県を対象にしたモデル事業として始まったが、関東や関西からの回収も始まっている。現在の対象商品は清酒やしょうゆを含め20銘柄。田中商店の田中利和専務(53)は「メーカー側の参加を広げ、全国にどう展開できるかが課題。50%を目標に回収率アップを目指したい」と話している。【西貴晴】


2007/04/05 環境首都 【朝日】

●自然保全 産業呼び水に

愛知県新城市、北九州市、熊本県水俣市。一見無関係のように見えるこの
3市は、実はライバル関係にある。
京都市のNPO「環境市民」などが01年度から開く「環境首都コンテスト」
自治体の環境政策について「環境学習」「交通政策」などの分野ごとに評価し、
点数化する。04、05両年度の総合1位は水俣市で、2位は新城市。
3月30日に発表された06年度は、5年ぶりに参加した北九州市が1位で、
2位水俣市、3位新城市だった。


   ☆   ★
環境を大切にした街づくりが、自治体のキーワードになってきた。
目指す都市像として「環境首都」・「環境先進都市」をあげる自治体も増えて
いる。
例えば今回のコンテストで4位の愛知県安城市。
05年につくった市総合計画の表題は「市民とともに育む環境首都」。昨年、
助役(現副市長)2人制を導入し、1人を環境担当の特命助役とした。今年度
は自転車利用の拡大を目指す「エコサイクルシティ計画」、庁舎の外壁にヘチ
マなどをはわせる壁面緑化などの事業に取り組む。

ただ、コンテスト上位の自治体も、すべてが最初から「優等生」だったわけ
ではない。独自の政策を進め、深刻な環境問題を克服することで、自治体の
イメージを変え、それを産業発展に結びつけている。

かつて4大工業地帯の一角を占めた北九州市。
鉄鋼や化学、セメントなどの産業が発展したが、工場排水と排煙で公害が発生。
「死の海」と呼ばれた洞海湾では船のスクリューまで溶けた。
しかし、旧建設省出身の末吉興一前市長が「環境首都」をめざす構想を発表。
規制強化や企業の公害防止技術の向上で公害を克服した。アジア諸国などへの
公害防止技術支援で国際的な評価も高い。

水俣市も「水俣病」という負の歴史を持つ。農水産物で「水俣ブランド」を
名乗れず、企業進出も進まなかった。公害都市のイメージ脱却は、産業振興の
面からも避けて通れない課題だった。
同市では現在、一升瓶の洗浄や使用済みエンジンオイルの浄化工場などの誘致
を進め、小規模ながら130人程度の雇用も生み出している。市環境対策課は
「リサイクル産業のモデル自治体になりたい」と意気込む。


   ★   ☆
一方、新城市が環境問題に本格的に取り組むようになったのは、森の荒廃が
原因だ。市の面積の84%が森林で、7割以上が人工林。しかも林業の担い手
は減るばかりだ。
昨年11月、同市の地域シンクタンク「奥三河ビジョンフォーラム」などが行
った森林調査によると、人工林の8割が間伐などの手入れが必要な状況という。
荒れた森は、洪水などの災害の原因にもなる。そんな危機感から同市が提唱す
るのが森林総合産業の創設。
林業や製材業の面からだけでなく、森を文化、教育などの多様な活動が行われ
る場としてとらえ、過疎の進む市に新しい働きの場を生み出す構想だ。
07年度予算で約1400万円を投じ、森林ボランティアの育成などに力を入
れる。
穂積亮次市長は「森林経済は、前近代的な経営慣行に縛られてきた。逆に言え
ば、改善の余地があり過ぎるぐらいある、ビジネスの宝庫だ」と強調している。


2007/04/05 「マイ箸」運動を開始 水俣市役所内 環境保護の一環 「企業や市民に広がれば」【西日本】



「マイ箸」使用を呼び掛ける下川満夫さん

 水俣病を教訓に環境都市づくりを進める水俣市は今月から、環境保護運動の一環として役所内での「マイ箸(はし)利用推進運動」を始めた。市役所売店で職員に売る弁当には割りばしを付けず、必要なら有料販売する。九州では大分県別府市役所が3月から全職員を対象に「マイ箸(はし)運動」を開始しているが、県内の市役所では初の取り組み。

 日本の割りばし消費は、年間約250億膳(ぜん)で、店頭で売られる弁当のほとんどに付いている。かつては間伐材利用に役立つと奨励されたが、近年は安価な輸入材が大半を占める。2003年の林野庁資料では、割りばしの97%が輸入材で、その99%が中国産。日本での消費のために中国で木材伐採が続く。

 運動を提案した水俣病資料館の下川満夫副館長は「突き詰めれば、割りばし問題も地球の環境問題。使い捨ての割りばし消費を抑えれば、ごみ減量や自然保護につながる」と狙いを説明する。

 同市は22種類のごみ分別や国際環境規格「ISO14001」の導入など先駆的な環境政策で知られ、「日本の環境首都コンテスト」でも昨年、一昨年と2年連続首位だった。市環境対策課環境企画室が1月に実施した役所内アンケート(回答97人)では9割が賛同、40人は既に自宅以外でも「マイ箸」を使っている。

 下川さんは「思い立った時からできる運動。市役所で起こった小さな波を、企業や市民へと広げることができればうれしい」と話している。
最終更新:2008年04月23日 11:18