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避11-687

「疲れた・・・」
自室に戻るなり、鞄を放り出してベッドに大の字に寝転がった。
目をつぶると、今日あった出来事が次々と思い出される。
かがみ・・・みさお・・・あやの・・・こなた・・・シンの脳裏に浮かんでは消えた。
「こなたがなぁ・・・」
こなたが想いを寄せる男。結局それが誰なのかはわからないままだった。
分かった事は、それが実らぬものであったこと。
「それでもあいつは諦めてない・・・あいつ、案外芯は強いんだな」
シンには、こなたがいつも自堕落で己の欲望のままに生きている様にしか見えていなかった。
だが、実際はそうではなかったのだ。
「一緒に住んでるのに、俺はあいつの事何も分かっちゃいないな」
一人で苦笑いする。一応、それなりの間一緒に住んでいるのだから、こなたに何らかの変化があれば気付くはず。
そう考えていたのだが。
「せめて、俺に出来ることくらいは手伝ってやろう・・・」
そうじろうさんには悪いが、こなたの人生だ。このことはこのまま伏せておこう・・・。
そう考え、シンは自分を納得させた。
「に、しても」
もう一つの懸案事項。というか、思い出すだけで腹が立つ出来事。
「理不尽だぞ、あんなの!」
その懸案事項とは、もちろんかがみとのケンカのことである。
「だいたい、なんで俺が怒鳴られなきゃならないんだよ。俺がなにしたって言うんだ」
シンの拳に少しばかり力が入る。
元気のない友人を心配して声をかけた―――ただそれだけなのに。
怒らせるような事を何かしただろうか?
「してない。この間の相談だって、別にあいつには何の関係もないだろうし・・・」
実際は思いっきり関係あるのだが・・・当然この男が気付くはずも無い。
「考えても無駄・・・となると・・・明日、もう一度問いただしてやる・・・」
考えているうち、シンの意識は眠りへと落ちていった。

*


翌朝。
「あれ?シンお兄ちゃん、もう学校行くの?」
制服に着替え鞄を持って玄関へ向かうシンに、眠い目をこすりながらゆたかが言った。
「ゆたかか、悪い、起こしたか?」
「ううん、気にしないで。・・・でもどうしたの、こんな朝早く」
「ちょっと寄るところがあってな」
「???」
「じゃあ、すまないけど行くな」
「あ、うん・・・いってらっしゃい」
手を振るゆたかに見送られ、シンは家を出た。目的地はもちろん
「かがみの家、だな」

『いってきま~す』
姉妹そろっての登校風景。普段なら面白おかしく雑談でも交わしながら登校するもの。
だが、この日は違った。
「あれ?シンちゃん?」
「え!?」
つかさの言葉に、かがみがその方向に目をやると。
そこには腕を組み、鳥居にもたれ掛かっているシン・アスカの姿があった。
「おはよ~シンちゃん。どうしたの?こんなところで」
「ああ、ちょっとな・・・」
つかさへの挨拶もそこそこに、シンが視線を向けたその先には。
「かがみに用事があってきたんだ」
「お姉ちゃんに?」
「なんでか分かるよな、かがみ」
「・・・」
静かに詰め寄るシン。かがみは気まずそうに無言で返事することしか出来ない。
何がなんだかさっぱり分からない様子のつかさをよそに、シンは続けた。
「悪い、つかさ。ちょっとこいつと二人で話させてくれないか?」
シンがつかさに話しかけたその時だった。
「・・・私は・・・私は話す事なんかない!」
かがみはシンが来たのとは逆方向に逃げるように走っていってしまった。
「お姉ちゃん!?」
「待てよ!!」
その場につかさと鞄を残し、シンもかがみの後を追う。
「待てって言ってるだろうが!!」
「どうして追いかけてくるのよ!放っておいてよ!」
「話くらい聞けよ!俺はただ」
と、次の瞬間。
ドサッ!という音とともに、かがみは盛大にヘッドスライディングした。
というかこけた。
「かがみ!?」
追いついたシンがかがみにかけよるも、かがみは顔を伏せたままピクリとも動かない。
「おい、大丈夫か?どこか怪我は・・・」
「・・・なのよ・・・」
「え?」
「何なのよアンタは・・・うっ・・・もうかまわないでって・・・言ってるじゃないの・・・」
「かがみ・・・?」
かがみの言葉の端々からはあきらかな嗚咽が聞いて取れた。


=つづく=
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最終更新:2008年04月14日 12:57
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