ゆたか「こほ、こほっ…」
シン「大丈夫か、ゆたか」
ゆたか「うん…ただの風邪だと思うから気にしないで。
折角のお休みなんだし、お兄ちゃんも用事があるんだったら出掛けても大丈夫だよ。
私一人でもお留守番ぐらいは出来るから…」
シン「何を言ってるんだ。病気のゆたか一人を残してそんなこと出来るわけないだろ。
…しかし、
そうじろうさんが仕事の都合で留守なのはわかるけど
こなたの奴のどうしても外せない用事ってのは一体何なんだろうな」
ゆたか「さあ…私は何も聞いてないけど」
シン「でも一番許せないのは、ゆたかの為の食事の用意もしないで
一方的に『ゆーちゃんの御飯はシンが作るべきでしょ~?』とか言って来たことだな…。
まさかこなたがあんなに薄情な奴だとは思わなかったよ」
ゆたか「え…それって(まさか、お姉ちゃん…)」
シン「まあいいさ。ゆたか、今日は一日中俺が側に付いていてやるからな。
病気のゆたかを顧みないどっかの冷血従姉に代わって、こうしてお粥も作って来たし。
もし何か困ったことがあったら何でも言ってくれよ」
ゆたか「う、うん…でもお兄ちゃん、こなたお姉ちゃんも何か事情があったんだと思うよ。
だから、その…あんまりお姉ちゃんのこと、悪く言うのは…」
シン「む……そうだな、確かにそうかもしれない。
とりあえず、あいつが帰って来たら事情を問い詰めてみるか」
ゆたか「うん…」
シン「よし、そうと決まればとりあえずは飯だな。ゆたか、ほら、口を開けてくれ」
ゆたか「え?」
シン「お粥。食べさせてやるよ。はい、あーんして」
ゆたか「え、えぇぇ!?そっ、そんなの恥ずかしいよ、私、一人で食べられるもん…!」
シン「恥ずかしがることは無いだろ。今日は俺とお前の二人きりなんだしさ、誰も見てないって」
ゆたか「いや、その、だから恥ずかしいのに…」
シン「ほら、ゆたか」
ゆたか「うぅぅ………あ、あーん」
シン「あーん」
ゆたか「(ぱくっ)…うん、美味しいよ、お兄ちゃん」
シン「そいつは良かった。じゃあ、これを食べ終わったら水枕の換えを持って来るな。
そうだ、汗を拭く為のタオルなんかも補充しておかないと、それから――」
こなた「さーてさて、今頃ゆーちゃんはシンにどっぷり看病されてる頃かねぇ」
みなみ「…私、ゆたかのお見舞いに行こうと思ったんですけど…
先輩のお話を聞いていたら、逆に私が行く方が御迷惑になりそうですね…」
こなた「そう、そのとうり!みなみちゃんってばわかってらっしゃる。
折角ゆーちゃんがゲットした看病フラグなんだから、私らは空気読んであげなくちゃねぇ」
みなみ「……あの、泉先輩…」
こなた「ほえ?」
みなみ「だけど、その…よろしかったんですか?本当は泉先輩も、
アスカ先輩のことを…」
こなた「……まあ、そりゃそうだけどさ。病気でヘコんでいる時ぐらいは
好きな人に側にいて貰って、励まして貰いたいもんじゃない。
こういう時、本当はゆーちゃんが誰にどうして欲しいのか、私にはわかるつもりだよ。
理由はそれこそみなみちゃんが言ってる通り……だね」
みなみ「………」
こなた「それに、あいつは妹さんを亡くしてるって聞いてるからさ…。
あいつが妹みたいに可愛がってるゆーちゃんを看病することで
少しでも気が紛れてくれれば…胸の傷が治まってくれればいいかなぁーって、さ…」
みなみ「…泉先輩…」
こなた「――ふっ、さぁーて!折角の休日、暇ヒマな所に外へと出てきたのだ。
今日はパァっと遊ぶとするかね!みなみちゃんも他に用事が無ければ付き合ってくれないかな?
言いだしっぺは私なんだから、お姉さん幾分かオゴっちゃうよー」
みなみ「あ、は、はい。私で良ければ喜んで…。
…そうそう、これ、ゆたかのお見舞い品です。
もしよろしければ、お帰りになる際にゆたかへと渡してあげて頂けませんか?」
こなた「ウム!その依頼、とくと心得た。ではいざゆかん、共に暇潰しの旅へ!ただいたずらに!」
最終更新:2009年08月20日 01:44