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18-733

 某ゲーセンにて

 がちゃがちゃ。
試合開始の合図からほんの少しの時間で画面上に表れる勝利を知らせる文字。
 「いつ見てもこなたの操作ってすごいな」
 「褒めるな褒めるな」
そうは言いつつも満更でもない表情をするこなた。
しばらく格ゲーをプレイした後、こなたは席を立つ。
「どうやら観戦ムードになったみたいだね」
「ん?どこ行くんだ?」
「女の子にそういうこと聞くの~?」
いつもにんまりとした笑顔をシンに向けるこなた。どうやら花摘みにでも行くようだ。
「すみません。ちょっと席を外しますね。んじゃシン。いくらシンでもCPUになら負けないと思うからちょっとやってていいよ。CPU二人倒した頃に戻ってくるから」
「いくらとは何だ!……まぁ早目に帰ってこいよ」
「ういうい~」
こなたの言い草に少しむっとしたシンだったが、あながち間違いでもないのでここは引くことに決めた。
「まぁギャラリーはこなたの知り合いみたいだし、乱入されることもないだろ。……目標は三人だ」
シンは無駄に負けず嫌いだった。


「さてさて。ひよりんとパティに構ってたらちょっと遅くなっちゃったよ。
でわでわ、ここで登場したるは金髪褐色ナイスバディなこうちゃんである。
何故私がこんなところにいるのかというと、近頃やまと共再会出来たし、門限が緩くなったから気分いいし、久しぶりに約束までしてゲー

センに来てみたってわけですよ」
てなかんじで勝手に一人で話を進めるこうちゃん。彼女のことを知らない人からするとただの独り言の激しい美人さんである。
「えと、泉先輩は~あれ?まだ来てないのかな?」
今日も学校で放課後、いつものようにひよりん達といつものトークをしていたわけだが、珍しくそこの輪にはこなたがいた。
シンが職員室に呼び出されてるということで会話の中に紛れていたのだが、そこで帰りがけにゲーセンに寄るから久しぶりに対戦しようと

いうお誘いが“こなたの方から”あったのだ。
これは行くしかないということでゲーセンに来てみたのだが……そこにこなたの姿はなかった。
「あちゃ~先に帰っちゃったのかな?」
見たところこうの視界にはこなたの姿はなく、代わりにたいしたことないプレイヤーが反対に座っているであろう筺体と、何故か観戦ムー

ドになっている空間が残っていた。
「?……まぁいっか」
来て何もしないのもなんだと思い、対人の練習でもさせてやるかと何気ない気持ちでこうはコインを投入した。


ところ代わってこなたんのターン。
「あ、八坂さん来るって言ってたの完全に忘れてた」
わざわざシンを連れてまでゲーセンに来た当初の理由を完全に忘れていた。
花摘みから戻ったこなたの視界に入ったのは何やら気まずそうな表情で店の外とさっきまでシンがプレイしていた筺体に視線を行ったり来

たりさせている見慣れたモブの方々。
それと、シンがいた席とは反対側で操作する筈のキャラがCPU一面特有のハンデとして一秒に一度攻撃をしてやるよ攻撃でじわりじわりとやられていく姿だった。
誰かに入られて負けちゃったのかな?それだとしても相手の人と、それ以前にシンは?
そんな当たり前の考えを巡らせ、とりあえず外を見てみると……シンとこうが何やら言い合いをしていた。
「俺はそういうのが嫌いなんだ!!だいたいなぁ」
「だからそれは私が悪かったってば。許してよシンちゃん先輩♪」
「……ねぇ二人とも、状況を説明してくれない?」
何故二人がプレイ途中のゲームを放置してまで外で言い争いしている理由がわからない。
こういう時は聞いてみるに限るだろうという判断の下、こなたんは口を開いた。


「何がって、こいつがーーー」



「……つまり」
何がシンをこうまで熱くさせるのか。それが理解できなかったこなたは、シンの説明を聞いて理解した。
「それってただの負けた逆恨みの類じゃない?」
「なっ!?」
「ですよねぇ~シンちゃん先輩もちょっと熱くなりすぎなんじゃないですか?」
「八坂さんもちょっといけなかったんじゃない?手加減するならばれないようにやらなきゃ。出来ないなら初めから手加減なんかしちゃダ

メだよ」
「……す、すみません」
「俺は負けるなら負けるでも本気でやって負けたかったんだ!!なんでそんな簡単なことがわかrむぐぁ」
熱くなりすぎたシンの悪声罵倒をこなたは右手で制す。
「シンも熱くなりすぎ。話を掘り返さない」
血の気が盛んだったとはいえ、ここは元軍人。熱くなった自分をなんとか制御した。
そこで再びこなたの視線がこうに向かう。
「謝るなら私じゃないよね?八坂さん。シンも、八坂さんは善意でやった結果だったんだからそこまで熱くならなくてもいいでしょ?」
そうして、こなたを除く二人はお互いに向き直り言葉を交わした。
「ごめんなさい」
「いや、俺の方こそ八坂の善意であるとも知らないで熱くなって悪かった」
「シン~」
こなたのちょっと怒りを含んだ視線がシンを貫く。
「っ!?……なんだ、その、ごめんなさい」
シンの真面目にしっかりと頭を下げる姿を見て、こなたは満足気な微笑みを浮かべる。


「あぁそうだ。お詫びの印に今度あそこのラーメン食いに行かないか?こないだかがみと行ってなかなか好評だったんだよ」
微笑みが若干崩れる。
「(へ~かがみん事情聴取決定だね)」
「いいんですか?もちろん奢りですよね?」
「まぁこっちも悪かったし、ちょっとくらいならいいか」
先程の熱はどこへやら。熱しやすく冷めやすいとはこのことで。ちなみに微笑みは更に崩れる。
「(へ~私にはごはんとか奢ってくれなかったのに)」
「やりぃ♪それじゃぁシンちゃん先輩。今度の日曜でいいですか?」
「ん、あぁバイトもないみたいだし大丈夫だ」
「それじゃぁ泉先輩。今度の日曜にシンちゃん先輩借りてきますね」
「な、俺はモノか!?」
「……噛ませ犬」
「ん?どうしたこなた。なんか今、ボソッと言わなかったか?」
「んじゃ借りてきます」
数日後、こうに時間内に食べ切れたら一万円無理なら一万円支払いチャレンジをラーメン屋でやらされることになり、その後八坂邸にて介

抱されるのだが、それはまた別の話。
ちなみにその時の所持金が二人合わせて8762円だったことはもっとどうでもいい話。



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最終更新:2010年02月02日 20:48
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