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7-3

私はシンが好きだ。でも、この想いを伝えられずにいる。

彼はこっちの人間ではない。たまたまこっちにやってきて、今は私の家に居候している。
そして、いつ向こうに戻ってしまうのか、いつまでこっちに居られるかもわからない不安定な状態にある。
そんな彼に想いを伝えていいのか――私は自問自答する。

彼がずっとこっちに居られるならいい。向こうでの辛かった過去を忘れて、こっちでゆる~く暮らして欲しい。
そして、いつまでも私と一緒に――ずっとずっとそばにいて欲しい。そのやさしい眼差しで見て欲しい。

だけど、彼には彼の事情がある。彼は人のために、国のために、世界のために戦ってきた。
そして、今でもその意志を失っていない。敗戦に打ちのめされ、守るべき国を失っても、必要とあれば人々のために戦うだろう。

そんな彼を私の独りよがりな想いで、こっちに縛り付けていいはずがない。
彼は向こうで生まれ、向こうで育ち、向こうで生きて――そして、いつかは向こうに帰ってしまう存在なのだ。
――わかってる。想いを伝えても、彼が居なくなれば辛いのは私だ。それはわかってる
でも、構わない。この想いを伝えられずに別れるほうがもっと辛いのだろうから。

だけど、今日も私は想いを伝えられないまま。
彼と別れるのは怖くはない。別れは嫌だけど、想いを伝えられないよりかはずっとマシだから。
でも、彼に拒絶されるのが怖くて、私を想いを打ち明けられずにいる。
彼はステキな男性だから――彼を待つ人が向こうにいるのだろう。
だから、私は彼を困らせるのが嫌で、受け入れられないのが怖くて、今夜も告白できない臆病な自分を慰めながら眠るのだろう。

愛しているからこそ、愛を打ち明けられない――こんなに苦しいのに、だけど想いを諦められない。

オレはこなたが好きだ。でも、この想いを伝えられずにいる。

オレはこっちの人間ではない。たまたまこっちに跳んできて、今はこなたの家に厄介になっている。
そして、いつ向こうに跳ばされるのか、いつまでこっちに居られるかもはっきりしない漂流者だ。
そんなオレが想いを伝えていいのか――その答えは未だに出ない。

オレがこっちに永住できるのなら――あの狂った世界を忘れて、こなたの言うゆる~い生活を送りたい。
そして、こなたと一緒に――いつまでも静かに暮らしたい。こなたと笑って過ごしたい。

だけど、オレはレイに誓った。アイツの守りたい世界を――議長の導きたかった世界を護りたかった。
そして、もし戻れるのなら、必要とされるのなら、もう一度戦いたい。みんなが笑える世界を護る為に。

オレは自分のためだけにこっちに逃げてていい存在じゃない。オレを受け入れてくれたプラントへの恩義はまだ返していない。
オレは向こうで生まれ、向こうで育ち、向こうで生きて――そして、いつかは向こうに帰らなくてはならない存在なんだ。
――わかってる。居なくなるオレは想いを伝えていいはずがない。伝えた俺は満足かもしれないけど、残されるこなたはどうなる?
だから、この想いを伝えられずに別れないといけないんだ。こなたを苦しめる方がもっと辛いんだから。

だから、今日もオレは想いを伝えたい衝動をぐっと押し殺す。
こなたと別れるのは嫌だ。今まで何度も別れを味わってきたけど、この苦しみをこなたに背負わせるよりかはずっとマシだから。
でも、なによりも怖いのは。こなたに拒絶されること。オレは戦争とはいえ人を殺してきたのだから――
こなたはかわいいから――そのうち、きっといい彼氏ができるだろう。オレなんかはお呼びじゃない。
だから、オレはこなた過ごせた今日に感謝して、明日もこなたと在れることを願って、少しでも長くこっちに居られることを願いながら眠るのだろう。

愛しているから、こなたのしあわせを願い――苦しくても打ち明けずに、出会えた幸運に感謝をしよう。

シン   「……95……96……97……98……」
(=ω =.)「シン、また腕立て?トレーニングを欠かさないんだね……」
シン   「まあ、なまっちゃうと嫌だしな……」
(=ω =.)「そうなんだ……シン、ほらタオル、使って」
シン   「ああ、悪いな。こなた」
(=ω =.)「でも、あんまり汗かかないよね、シン」
シン   「まあ、寝る前だしな。回数は抑えてるよ」
(=ω =.)「もう寝るの、シン?」
シン   「ああ、おやすみ、こなた」
(=ω =.)「じゃあ、私も寝ようかな?(もぞもぞ)」
シン   「こなたもオレと一緒に寝るのが定番化してきたよな~」
(=ω =.)「そうだね~」

シン    (未だに兵士であろうとするオレを気遣ってくれてるんだろうな……隣で寝てくれるなんて……)
こなた   (やっぱり、女の子として意識されてないんだろうな……隣で寝ているのに……)

シン   「じゃあ、電気消すぞ、こなた」
(=ω =.)「おやすみ~、シン」

シン    (隣に寝ているのに抱きしめられない。オレの手は……血に汚れているから、こなたを汚したくないから……)
こなた  (こんなに近くにいるのにキスもできない……私たち、心も唇も触れ合えないのかな、シン?)

シン    (今夜も眠れないまま、ただ、こなたの寝息を聞きながら――その吐息を心に刻み込むのかな?)
こなた  (今夜も私、シンに気付かれないように声を押し殺して泣くのかな?好きだよって言えないのかな?)

シン   「くぅ~(もみもみ)、こなた~、好きだぞ~、むにゃむにゃ……」
(-ω -.)「すぅ~(ちゅっ)、シン~、好きだよ~、むにゃむにゃ……」

ちゅんちゅん……

シン   「こなた、朝だぞ~」
(=ω =.)「……ふぁぁ、おはよ~、シン……」

シン    (今日もこなたと離れずに居られるか……喪失の恐怖に震える一日が始まるのか……)
こなた  (今夜もシンに好きだよって言えずに……心の中で泣き続ける一日が始まるんだね……)

だから、せめて――笑っていよう。突然、この日常が失われた時に、後悔しないように。笑顔を思い出にしてもらえるように。

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最終更新:2007年11月24日 19:55
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