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お直狸

おなおだぬき

種別
別名  
住所 愛媛県周桑郡
特徴  人取川を挟んだ中川村志川と多野村長野の交通路である、釜の口渡りの堤防の松林にある平松に棲み、時々人を悩ませていた。この狸に化かされた人の中には病んでしまった者もいるという。 ▽ある年の8月、志川に住む寺野馬吉の老母おいとが長野の実家へ祭礼のために向かった日、夕立で川の水嵩が増し始めた。心配した馬吉が釜の口渡りへ行くと、向こう側に母の姿が夜目にもはっきりと見えた。母は馬吉の傍までやって来て、実家では止められたが孫が気になるので帰ってきたなどと言うが、その語尾や挙動は不審なものであった。本物の母は実家に泊まっていてると悟った馬吉が嫌がる偽の母を無理矢理背負ってみると、体重は瓢箪より軽く、頻りに自分で渡ると言ってもがいた。馬吉は母を帯で背に縛って家に帰り、女房と協力して母を吊るし上げて青松葉を燃やした煙で燻した。暫くすると老母に化けていた狸が正体を現し、今後は悪戯をしないので許してくれと懇願したため、馬吉夫婦は狸を許して逃がしてやった。しかし狸は翌晩馬吉宅の戸口へ来て、恨み言を述べながら小石を投げてきたという。
資料 『愛媛新報』明治42年「伊予百物語」
最終更新:2011年08月19日 13:17