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正宗敦夫「萬葉集總索引 漢字篇凡例」

緒言 本篇は單語篇と共に萬葉集總索引の根幹たるべきものにして萬葉集の總ての文字の位置を(單語篇を通して、又編外の文字は直接本集によりて)明らかにし、かつ分類して一目の許に其用字格を知り得るやうに編纂したるものである。

排例 本篇文字の排列は便宜の鴛康熈字典に準據した。

分類編纂の樣式 提出のゴヂツク形の文字は本集に仕用せられたる文字の一個たるを示せるものである。然して提出の文字の仕用せられたる實例の位置はーを以て現はした。斯くて文字の下に種々の分類方法を試みた。其の分類方法は

 一[假名] 假名に仕用せられたる例證の見出しである。但一音一字をのみ假名と認め二字以上を一音の假名に用ゐたるは訓義の部に讓る事とかりに定めた。因云。婆羅門・沙彌等のバ・ラ・サ・ミ等はしばらくこの部に編入した。
 二[假訓] 訓義と假名と同一なる場合は分類上之を二分するは却て混雜を生じ、檢出に不便多かれば一つに集めて此見出を作つた。
 三[訓義] [假名][假訓]以外の用例の凡てを含む但[音讀]を除く因云。この[訓義]の標は正しき意味より云へば訓義以外のものを混入せれば,直ちに内容を標示せるものではないが、假に大體が訓義にもとづいてゐるから[訓義]と標せるのみで種々のものが混合してゐると心得られたい。
 四[音讀] 歌以外の題詞・左註等の内すべて音讀せるものを集む。
 五[篇外] 單語篇に探録せざりし文字の纏の位置を示す
 六[正字] 底本を私に訂正せる揚合.其の正されたる文字を示す
 七[誤字] 底本の文字を私に訂正せる場合、其の誤字と認めたる文字を示す
 八[補入] 底本の文字無きを私に補入せるを示す
 九[衍] 底本にあるを私に衍字として除きしを示す
以上の見出〔即ち[假名][假訓]等を云ふ〕の下にゴヂツク形の假名は提出の文字のヨミである。(尤訓義の部に屬する語には一例のみの場合はこのゴヂツク假名を省畧して直ちにーに假名を振りて讀を示せるがあり。例へば「各」の字の場合

     アヒ オノ  カク
   [訓義]ー○ーガジシ○ー【斯】

の如きである。)但囗印以下は様式を異にせるあれば後に説明す。其のヨミの下のーは其ヨミを代表する。一語一語は○を以て界とする。但意味は異なれども同一の記載形式となれる場合(例へば一が「ヒト」と讃まるる時に、「人」の意と「一」の意と有る如き)單語の下に【 】の印をして其中に意味を漢字にて註記せるもある。又品詞の分類及び動植物等の別を示せる場合は(( ))を用ゐて、中に品詞動植等と畧記せること總て單語篇の如くである。○の印はヨミが其所から新になれる印である。是は語の新になる度毎に次々に置いた。囗印は熟語的に用ゐられたる(二字以上にて訓義を構成する)ものを示す印で、つまり此印は其處にて一段落を成せりと云ふ標示である。例へば「一」の字の掲合に「ヒト・ヒトツ・ヒトリ」と云ふやうな語がすみて囗印が有つて次下に「八十ー《クク》」と云ふやうな例が出て來るのである。然して此「八十ー」の「ー」は提出の字「一」を示し次に「ー里《リ》」は「八十一里」即ち「八十一」を「ー」にて代表させてゐるのである。但一例のみの場合は省暑の形式に據らずに直ちに提出の文字を現はした。例へば「一」の字の時に○「中一伏三起《ナカゴロ》」を「中ー伏三起」として出せるが如きである。(但、此檬式を熟語的以外の處にも用ゐた處が少しはある)

[音讀] は別に説明を要する點なしと思ふ

[篇外] の見方は白ヌキの文字は卷數を現はし、次の數字は丁數を現はし、オウを左傍に伴へる數字は表裏と行數を示す。同卷の時は卷敷を畧し、同丁數の時は丁數を略し、丁數の改まるごとに讀切の「。」を附す事とした。
例へば[二]8オ6ウ8。9オ6の場合は二卷八丁表六行、同裏八行。同卷九丁表六行に此文字有りと云ふ事を示したのである

[正字][誤字]の現はし方は單語篇の形式に同じ。例へば[正字]「一」字部にて「可〔ー〕云」と有る掲合は、可は「一」の誤字で「一云」と有るべきである事を示
したのである。又[誤字]の例「ー〔二〕は「一」が誤字で「二」と正すべきを示したのである

[補入]の現はし方は軍語篇と同じく( )を以てした。[衍]は最後の空白の處に■の見出を付し卷丁行數を記載した。(但。組版の都合で二三前行に移したのもある)其方法は[篇外]の扱ひ方に等しい

人名の下部、其他必要無くして長きに亙るものは其下部を…を以て省畧に從つた。されば此印の有る時は…に當れる文字は種々ありと知るべきである。又上の文字の左傍に・印を附し下に〔Oをして文字を記入したのが有る。之れは上の文字が同じ訓みにして、文字の異なれるが有る事を示したので一種の省略法を用ゐたのである。例へば麿〔○麻呂〕と有るが如きである。即ち「麿」と書けると「麻呂」と書けるとの二様か有ると云ふ事である。
或る文字に兩訓を附せる錫合には〔O……〕として片カナで書いて置いた。
是れは單語篇と同じ形式であるが下に「重出」と云ふ文字を省略した

内部の配列は普通は五十音順に從つたが、其内[訓義]に屬する部は特に音讀・名詞・代名詞・副詞・助詞の如き變化なきを取出して先づ五十昔順に配列し、其終れる處に(用)の印をして残れる詞を同じく五十音順に配列した。但詞の成立上同根を一目に見渡す方便宜なりと思惟せるは(用)の部に留め置いたのも少々ある。其他特に異る分類の必要あるものは其處々に其由を註記して分類をした。約言・畧言と思はれる詞を集めて、其約・畧ならざる詞の終に〔約〕と云ふ印をして其處に掲けた。但約と畧とは分類せす總て〔約〕の印を以て表示したから其のつもりで見られん事を乞ふのである

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最終更新:2015年09月23日 11:42