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水沼辰夫『文選・植字の技術』「二、文選の作業」




二、文選の作業
(一)印刷所の文選
原稿の取り扱い
 文選の作業は、まず印刷物の原稿を受けとることからはじまる。この原稿は文選係りが活字をひろい終わると、植字係りへ回って組み版され、植字係りからさらに校正係りへ送られ、校正が済んで、それが出版元または著者へ戻るまで、最も大切に扱われなくてはならぬ。言うまでもなく、原稿はその著者が苦心して書き上げたものであるから、作業中に汚損したり、あやまって紛失したりすることのないよう、特に注意しなくてはならない。
 さて、原稿が文選場へ渡されると、文選の進行係り、それを職長とか、係長とか、あるいは課長とか、その印刷所の職制によって呼びかたがちがうが、その係りのものが原稿をひととおりしらべて、原稿全部に通し番号がついていなかったならばそれをつけて、終わりに「止め」のしるしをつける。そうしないと、多くの原稿を手分けして扱う場合、順序がちがったり、他の部分や別の原稿にまぎれこんだりするおそれがあるからである。また、見出し(標題)の組み版指定などに誤りがないかどうか、というようなことをも確かめる。そして、それが雑誌ならば、「これだけの原稿を○べージぶんに収める」と指定した割りつけにしたがって、一括ずつ文選係りに分ける。単行本ならば、期日と手つごうとを考え合わせて、適当に分割して文選係りに渡すのである。
 その原稿が縦組みか横組みか、平がなか片かなか、新字体か旧字体か、また、けいで区画された表(ひょう)を縦にひろうか横にひろうか、などの指示をする
文選の作業
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ことは職長のしごととなっている.だから、文選の職長はすぐれた植字作業者から選ばれることが多い。
 原稿を受けとると、文選係りはただちに文選の作業すなわち「ひろい」に着手するのである。

ひろいはじめ

 文選係りは、前に述ベた文選箱の、ふちにセッテンをあて、これに原稿を添えて左手に持つ、原縞用紙がA4判やB 4判の場合には、それを四つ折りにする。そして原稿を一、二句ずつ黙読し、あるいは小声で読みながら、右手で活字を一本、一本採って箱にならべてゆく。一行いっぱいになったら、セッテンを抜いてその行の上に当て、またならべてゆく。この作業を「ひろい」あるいは 「採字」と言うのである。
 活字をひろうためには、まず上下、左右に手を延ばし、次いで活字を箱へ入れるときに、その中心へ手を戻す。だから、延ばす手よりも引く手の早くなるように練習するのが上達のコツである。また、筆者の修業時代には、熟練工は一種のふしをつけて、声高々と原
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稿を読みながらひろっていたものであるが、近ごろではその声が聞こえなくなった。しごと場が静かになって、落ちついたようではあるが、さびしい気もする。
 文選作業者は、受けとった原稿が

 ア 縦組みのベタものならばネッキを右に
 イ 縦組みの四分あき組みならばネッキを下に
 ウ 横組みのベタものならばネッキを上に
 エ 横組みの四分↓めき組みならばネッキを右に

ひろってゆくのである。それをまちがえると、植字(組み版)へ回ってからはなはだしく能率を下げることになるから、注意しなくてはならない(←16㌻)。
 また、本文が九ポイントの場合、見出しが十二ポイント、小見出しが九ポゴシック、注釈が八ポイントなどと、各種の文字がまじって用いられるときには、それらの活字を、それぞれ別にまとめてひろうことがある。その工場の配置のぐあいによって、そのほうが能率的である場合もある。
 〔注〕 ネッキとは、活字の上下や書体の種類をわかりやすくするために、活字の腹につけてある刻みである。わが国の活字には、一筋から三筋くらいついている。

 ひろい終わったら、その箱ごとに、たとえば「文の一」「文の二」「文の三止メ」のように、出版物の略称と文選の順序を書いた札紙をはさんで、一目してなんのひろいであるかがわかるようにして置く。
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 文選に限ったことではないが、作業にあたって大切なことは、落ちついて専心しごとにいそしむことである。誤字を入れたり、ひろい落としたり、あるいは同じところを二重にひろったりするまちがいは、しごとをしながら他のことを考えていたり、隣りの人と雑談したりしていたときに多く起こるのである。


補助作業
 文選の作業を手つだうために、つぎのかな屋と字出し屋というものがある。

 かな屋・字出し屋 文選のケースには、かな・数字および特に多量に用いる漢字のほかは、すべて一行ずつはいっているので、同じ字を少しまとめてひろうと、ケースがからになる、それをストックから出して補充する。それを字詰めと言う。しかし、熟練者がひろいの手を止めて、自分で補充しているのでは能率があがらない。そこで、かなは「かな屋」、漢字は「字出し屋」という、いずれも見習いに補充させるのである。見習いは、このかな屋・字出し屋をしているうちに、ケースと活字の配列や、活字の大きさ、書体などを覚えるのである。

 赤字ひろい 文選のひろいが済んで、その活字が植字係りへ送られ、組み版ができ上がれば、それをためし刷りする。そのためし刷りしたものを校正刷り、またはゲラ刷りと言う。そのゲラ刷りを原稿と照らし合わせて、誤りを正すしごとを校正と言う。校正係りはゲラ刷りの上に、朱筆または赤インキで、誤字・脱字その他の誤りを正し、それをふたたび文選係りへ戻す。文選係りはその赤字をひろって、差しかえ係り(←116㌻)へ回す。このときその赤字をひろうのは主として
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職長級の熟練者であって、大工場にはその赤字だけを専門にひろう係りがいる。それを「赤字屋」と言うのである。
 〔注〕 欧文印刷物の校正刷りは、組み版をゲラへのせたまま印刷するので、その校正刷りをゲラ刷りと言うのである。しかし、近ごろは和文でもゲラ刷りが行なわれている。

 字返し 略して、単に「返し」とも言う。印刷が済み、あるいは紙型に取ってしまった後の組み版を、解版係りが解きほぐし、大文字・ゴシック・かな・漢字などに分けて文選係りへ戻す。それを文選工が、もとのケースへ返して収める作業である。今はたいていの印刷所では、一回使用した活字はつぶして、新しく鋳造するから、字返しはあまり必要でない。しかし、自動鋳造機が出現して活字鋳造能力が増大するまでは、作業時間の三分の一は字返しに費されたものである。今でも、見出し用大文字やゴシックなどは字返しをして、摩滅するまで使用するところもある。

文字の呼びかた
 文選では特別な文字の呼びかたをしている。それは「水」を「みずスイ」、「木」を「モクき」、「金」を「かねキン」というように、訓と音とを合わせて呼ぶのである。もし、そう言わないで、ただ「キ」の字、「キン」の字と言うだけでは、同音の字がいくつもあって、「木」だか「危」だか、「金」だか「近」だか、はっきりわからない。それで「モクき」、「かねキン」と言うのである。呼びかたは、たいがい訓を先に、音をあとに言うのであるが、語呂の調子で音を先にする字もある。「モクめ(目)」、「ジとき(時)」、「ジこと(事)」、「シこの(此)」などはその例である。訓と音とが明らかでないような字は、「反対の対」、「番地の番」、「議会の議」などと言うし、さらに特殊なおもしろい呼びかたをする字もある。「第」を「たけダイ」と言うが、それは「竹冠り」にある「ダイ」の意であるし、 「又」を「ふんばり=また」と言うのは、形の上から「亦(なべぶた=また)」と区別したものである。「丁」を「しゅもくチョウ」と言うの

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は、しゅもく(撞木)の形をしているからであり、「十」を「とんぼジュウ」と言うのは、竹とんぼを連想したものである。「所」と「処」はどちらも「ところショ」であるから「と(戸)どころ」、「とら(虎)どころ」と区別しているが、この区別は今では無理であろう。「えにしエン(縁)」、「だいみょうコウ(侯)」、「ななつやシツ(質)」などは、今の青年諸君には縁遠いかも知れない。また、近ごろ英語のふえた影響か「級(しなキュウ」を「クラス=キュウ」と言うのを耳にするが、今ではそのほうがかえって分かりいい。

まぎらわしい文字
 漢字は数が多いから、形の似ているまぎらわしい文字がたくさんある。その中で少し例をあげると

且-旦 低-抵 使-便 侍-待 侯-候 免-兎
切-功 刊-刋 刺-剌 勾-匂 午-牛 幹-斡
卿-郷 又-叉 問-間 哀-衷 鳴-嗚 土-士
基-墓 城-域 堅-竪 壁-璧 壊-壤 字-宇
官-宮 宜-宣 客-容 屈-届 己-已 帥-師
幣-弊 匁-匆 干-于 徒-徙 復-複 快-快
性-牲 悩-脳 摸-模 戍-戌 載-戴 斤-斥
日-曰 未-末 李-季 析-柝 栽-裁 沁-泌
減-滅 鳥-烏 熱-熟 矢-失 眼-眠 祇-祗
藉-籍 薄-簿 網-綱 緑-縁 苦-若 萩-荻
虚-虐 貧-貪 責-貴 逐-遂 遣-遺 陸-陛
閣-閤 頃-項 飯-飲

などがある。これらの文字を文選するとき、はじめに誤ってひろうと、それが組み版となって校正される際にも、とかく見落とされることが多く、それが校了になるまでついてまわり、最後に印刷するまで気づかないことがある。校正係りの不注意もさることながら、文選係りは誤字をひろわぬよう、くれぐれも注意しなければならない。

刋行 分柝 大低 専問 完壁 成蹟 探険 書斉
最底 本藉 椽側 遇然 神祗 裁培 殖民 重復

などと誤字のある印刷物を、読者諸氏もしばしば見うけたことであろう。それらは文選の誤りとばかりは言
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えないが、それにしても、これらを文選係りが
 刊行 分析 大抵 専門 完璧 成績 探検 書斎
 最低 本籍 縁側 偶然 神祇 栽培 植民 重複
と、正しくひろっておいたならば、以上のような誤字は読者の目にふれないですむはずである。だから、文選係りは、まず第一に原稿の文字がよく読めなくてはいけない。もちろんはじめはよく読めなくても、数多く見ているうちに目が肥え、熟練するにしたがって、むずかしい原稿や、なぐり書きの原稿も、次第に読めるようになるのである。だから、読めないといって、でたらめの字を入れたり、抜かして置いたりしてはいけない。後に赤字となって、それだけ余計な手間がかかることになるから、先輩の教えをうけて、できるだけまちがいを少なくするようにつとめるがよい。

ルビつき活字

 ルビ(ふりがな)つき活字というのは、植字係りが組み版するとき、いちいちふりがなをつける労力を省くために考えだされてつくられた活字であって、つぎのようにできている。
 |上《じよう》 上《うえ》 |上《うわ》 上《かみ》  |上《あが》 |上《のぼ》(現音訓)
 これは新聞社のように、組み版の労力と時間とを極度におしむところでば、どこでも採用していたのであるが、一般の印刷所では、字母型をつくるのに多額の費用がかかり、文選場の設備に広い場所を必要とするなど、大工場でなくてはできない上に、当用漢字の制定や、かなつかいの改正で、ルビつきの印刷物の需要がひじょうに少なくなったので、今では二、三の大工場だけにしか設備されていない。
 ルビつき活字をひろう文選係りは、ことに原稿がよく読めなくてはならない。たとえば、「|今日《きよう》」を「|今日《こんにち》」とひろってはいけないこともあるから、ルビつきの文選は、特に熟練者のしごととなっていた。
 〔注〕 「ルビ」というのは七号活字のことである。それがふりがなの意味になったのは、かつてわが国の標準活字が五号であったから、その半分の大きさのルビ(七号)がふりがなに用いられた。

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それが、いつかルビがふりがなと同義語となり、九ポイントのルビつき、六号のルビつきなどと言うようになってしまったのである。

削字

 ふつうの文章には用いないような、人名や地名などのむずかしい文字で、字母型のないものや、ちょっと不足して鋳造が間にあわないというような場合に、ありあわせの活字を削り合わせて作り、それで急場をしのぐことが、相当の大工場でもときどきある。これを「削字」(または「作字」)と言うのである、たとえば、「儁」を作るには「個」のつくりを削った「イ」と、「携」のへんを削った「〓」とを合わせる、「〓」を作るには「璧」の脚を削った「辟」と「菌」の冠り「〓」とを合わせるというようにする。
 削字するには、植字場にある瀚郭削り(←31㌻)で活字を削った上、さらにやすりや小刀を用いてきれいに仕上げるのである。

(二) 新聞社の文選と植字
新聞活字
 新聞社の活字は、一般の活字とは大きさの標準がちがい、新聞用の独特の大きさにできている。昭和三十六年現在では、つぎのようになっている(←21㌻)。
 これは東京の大新聞社の活字の例であるが、戦争中新聞の本文に用いられていた活字(その当時の新聞の五号)はあまりに小さくて読みにくく、視力を害するおそれが甚だしかった。これはそのころ、紙の不足に対応してやむを得ずとった方法であった。しかし、その後、紙も豊富に出まわるようになったので、各新聞社の間に、横1000分の一一〇インチ、縦一〇〇〇分の八八インチの活字「一倍」を本文に用いるよう協定がととのい、すでにそれが実現されている。それ以来、新聞はだいぶ読みやすくなった。その上、部分的には一〇〇〇分の一一○インチ全角の活字も用いられるようになったから、今後それが多く用いられること
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 10倍
 8倍
 6.5倍
 5.5倍
 5倍
 4倍
 3倍
 2.5倍
 2倍
 1.5倍とそのルビ
 110全角とそのルビ
 1倍(基本)とそのルビ
 総全角
新聞活字の大きさ
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になれば、新聞はますます読みやすくなるであろう。

新聞社の文選
 新聞社の文選場は、横六段に仕切ったケース八枚の中に、当用漢字千八百五十、人名・地名に用いる「難字」百七十八、平がな・片かな約百五十、アラビア数字(1-0)太細二種、ローマ字のかしら字(A-Z)二十六、そのほかひろい組みに必要な約物と込め物とが収めてあって、それが文選係り一人の作業範囲である。
 新聞社の文選箱は、新聞一段十五字詰めの幅にできている。特別な大見出しとか、囲みものとかのほかはすべてひろい組みにする。ひろい組みというのは、句とう点や括弧などをも入れ、段落(行がわり)には込め物をつめて、そのままゲラへ移せばすぐ校正刷りができるようにするのである、この点は、新聞社の文選はなかば植字を兼ねているということができる。
 また、締切り時間近くなってから長い原稿が出るような場合には、原稿を短く切って、おおぜいが手わげして、ふつうの印刷所の文選のように、文字だけひろうこともある。それを「ひろい出し」と言う。

新聞社の植字
 ここで便宜上、新聞社の植字について述べておく。前に述べたように、新聞一段十五字詰めの本文は、文選でひろい組みする。植字では、それらの記事の比重の程度に応じて二段、三段、あるいは四殺、五段以上にわたる大見出しと、それに伴なう見出しわきの前文記事を、それぞれ別に棒組みする。また、毎日一定の体裁の囲みもの、たとえば十四字詰め二十行四段で、中央に二段ぬきの見出しがはいるときまっているものは、それだけまとめて組むこともある。また、株式相場表のような欄は、毎日数字が少し変わるだけだから、その組み版を保存して置いて、変わった数字だけを差しかえるというやりかたが、ふつう行なわれている。
 新聞の広告は新聞経営の生命として重要視され、つねに紙面のなかばを占めている。その広告には、大きいのは全ページものから、小さいのは一段二行の案内広告まであって、組み版も手のこんだ、なかなかめん
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どうなものがある(←69㌻)。しかし、その日その日のできごとをのせる記事とちがって、時間的には多少ゆとりがある。また、広告は新聞社との契約でスぺースを割りあてられている広告代理業者から紙型で来るものも多く、これらは当然組み版する必要がない。
 これら大小、長短、さまざまの組み版は、それぞれ棒ゲラに入れて、 いちおう校正が済んでまとめにかかるまで、定められたゲラだな(棚)の位置、たとえば政治・社会記事のページ、社説のページ、スポーツのベージなどに収めて置く。
 組み版を新聞の形にまとめる作業を、新聞社では「大組み」と言っている。大組みのしごとは職長級の熟練者が受けもっている。大組みをするには、それに必要な欄けい(新聞いっぱいの長さのものから二、三倍の短いものまで)や、飾り輪郭・メントなどが備えてある大組み台の上に、チースという、新聞紙一ぺージがらくにはいる鉄製のわくを置き、紙面の「割りつけ」(←65㌻)と編集整理記者の指示にしたがって、棒組みした版をチースの中へ組みつけてゆく。紐み版をあつかうときには、水にひたした海綿または綿布で、いちいち版面をぬらして活字の倒れるのを防ぐ。
 まとめ終わったら、周囲をくさびでかたく締め、最後の校正刷りを出し、校了になったら版を紙型の係りへ回して一段落する。
 新聞は一日のうちに十回以上も版面を変える。そのたびごとに、新しいニュースがはいれば組みかえてまとめ直す。最後の記事締切りは夜半に及ぶという、実にいそがしいしごとである。

モノタイプ
 欧米諸国では、植字と鋳造とを兼ねたライノタイプやモノタイプが早くから発達して、組み版能率を高めている、しかし、字数の多い漢字を用いているわが国では、植字を機械化することは容易なわざではなかった。大正九年、はじめて杉本式邦文モノタイプがつくられてから四十年を経て、新型のモノタイプがつくられ、ほぼ実用の域に達した現在でも、まだ一般に普及されるまでにいたっ
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ていない。
 モノタイプも、文字盤をオペレーターが手で動かして字母型を鋳口に合わせるという最初のやりかたは、機械化の名にそぐわないものであった。しかし、キイをたたいてテープに穴をあけ、そのテープを鋳造機にかけて鋳植するという、欧米のモノタイプと同じような機械がつくられるにいたって、いちじるしく実用化されるようになった。
 新聞社では、当用漢字の採用がモノタイプの使用を促進した。代表的な新聞工場では、新聞本文の組み版の大部分をモノタイプで行なっている現状であり、この傾向は時とともに強くなると考えられる.、
 〔注〕 欧文モノタイプについては、拙著『欧文植字』にくわしいから、ついて見られたい。

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最終更新:2017年01月18日 16:11