東條操『分類方言辞典』観念的表現

──間投詞・接辞・助動詞・助詞──


間投詞 *おう(〇三四ぺ)・よぶこえ(〇五六ぺ)・応対詞(二八六ぺ)・かけごえ(二九四ぺ)・しっぱい(三〇四ぺ)・となえごと(四六六ぺ)
【感歎・驚歎】  *いやな (三三〇ペ) (本)うんざい・うんばうんば・おーの・おきたな・おやっかない・およおよ・こんまー・さす・さまれ・とっちょー・やったいなや・(補)あきさみよ・あたら・あちゃまー・あっきゃらそ・あんまよ・あんら・いんにゃまー・うりょ・えれ・おりょー・がーった・こりゃまたなんだら・これわしたり・たかれや・ちえー・てっちゃ・やんや。
【悲しい時の詞】 *かわいそう(二二〇ぺ)(補)つらー。
【痛い時の詞】 (補)あっかー。
【あきれた時の詞】 (本)けー・(補)よーいわんわ。
【これは・どうも】 (補)こりゃーつい。
【どうもまあ】 (補)あーしけまあー。
【あら笑止や】(本)あっしょこっしょ。
【赤んぼをあやす詞】 (本)そにそに。
【叱責すろ時の詞】 (本)しったたー。
【ままよ・どうでもなれ】 (本)ざんまい・そるべくそーろー」よ・ままい。


接頭語 *くる(二五八ぺ)・敬卑【卑罵】(三六五ペ)
【半途】 (本)おそ「オソ煮え」「オソ乾き」・おろ「オロ良い」「オロ覚える」。
【不快】 (本)あた「アタめんどう」「アタしんどい」・えせ「エセ言った」・(補)おそ「オソこわい」「オソ外聞悪い」。
【強意】 きんじょ(二五七ぺ) (本)きり「キリむずかしい」・けー「ケーしまった」・けーくり「ケークリ転ぶ」・しら「シラ真剣」・つつ「ツツめくら」・(補)やいくれ「ヤイクレ遠く行ってしまった」「ヤイクレ三宝逃げてしまった」。


接尾語 ↓観念的表現(時制【たて】・敬卑【卑罵】【さん】・修飾関係・接続関係【ながら・がてら】)・肢体(ち【血だらけ】・みる)・服飾(をる【着どおし】・どうだらけ)・住居(ねる)・老幼(はは)・社会(きょうそう・ぶんさい)・生産(あそぶ・できる・むだ・ようやく)・行動(しぶしぶ・する・ついで・ものずき・やめる」)・事物いちにちおき・ころ)


指定 *並立関係・陳述関係【疑問】
【だ】 (補)じゃ「強い犬ジャ」・や「そうヤ」。
【ではないか】 (補)じゃんか「落ちるジャンカよう」。
【です】(本)こす・だいす「それはうそダイス」・だいんす「高い山ダインス」・だす「確かにそうダス」・どす「そうドス・(補)じゃす・やし「そんな事いやヤシ」。
【でございます】 (本)だやべる「あんダヤベル(さようでございます)」。
【ございます】 (補)あやびーん・がいます「そうでガイマス」・がんす「大変でガンス」・ごあす「よい天気でゴアス」・ごいす「そうでゴイス」・ござ「よい天気でゴザ」・ござーす(ござ)・ござあんす(ござ)・ございもす(ござ)・ございす(ござ)・ござります「お寒いことでゴザリマス」・ござりす(ござります)。


意志  *ゆく(二八三ペ)
【う】 (本)ざ「帰らザ」・べー「行くべー」・(補)ず「そろそろ出かけズよ」・べい「読むベイ」。
【ましょう】 (補)まいか「もう行かマイカ」。
【ましょうか】 (補)すか「行かスカ」。


推量
【だろう】 (本)ずら「行くズラ」・だっぺー(だんべー)・だんべー「そうダンベー」・(補)ず「お前もえらからズが(お前さんも大変だろうが)」・だんべい「そうダンベイ」・ら「あの店なら何でもあるラ」。
【違いない】 (補)かーらん「来るにカーラン」。
【たろう】 (本)つろー「たくさん有っツロー」・(補)つら「行っツラか」。
【まい・なかろう】 (補)まかろ「書けマカロ」。
【まいな・ないだろうな】 (補)めな「言わメナ」「取らメナ」。


打消 *陳述関係〔禁止・反語〕・ある(三七一ぺ)
【ない・ん】 (補)へん「有らヘン」「書けヘン」
【なかった】 (本)ざた「行かザタ」・ざった「言わザッタ」・なんだ「来ナンダ」・(補)ざった「言いませザッ鵜タ」・だった「行かダッタ」・なった「来ナッタ」。
【なければ】(補)なけらにゃー。
【やりません】 (補)やりすか。


可能 ↓できる(三一三ぺ)


願望(命令) *肢体(みる)。飲食(くう)・住居(おきる・すわる・ねる)・社会(うつ・かす・かって・かまわない。くださる・くる・むかう・ゆく・ゆずる・よこす・よる)・生産(すてる)・行動(あるく・する・どく・はしる・やめる)・事物(そのまま)
【希望】 (本)かし「早く来てカシ」。
【希求】 (補)たい「早く来タイよ」・たんよ「これ一つくれタンヨ」・ましょー「おあがリマショー」・まっし「よく見マッシ」。
【見たい】 (補)みーぶしゃん。 
【たくない】 (補)ともない「死にトモナイ。
【てくれ】(補)てんか「もうやめテンカ」。


時制 *接続関係(ながら)
【た】 (補)け「面白かっケ」・たった「犬が居タッタよ」。
【ている】 (補)ちょる「まだ生きチョル」・とる「餅が焼けトル」・よる「餅を焼きヨル」。
【行きつつある】 (補)いっこる・いき「よる。
【たて・直後】 *おきる(一八六ぺ) (本)がけ「生みガケの卵」。


敬卑 *様相論資料(四七二ぺ)
【まいります】 (本)さんじます「行ってサンジマス」。
【さしあげよう】 (補)まーしょー「作ってマーショー」。
【させていただく】 (補)かりて「カリテ行く」。むらう「ムラの、て飲む」「休ませてムラウ」。
【ます】 (本)もーす「あげモース」・(補)す「また来ましたス」「うそだべやス」・みす「行きミス」・やびーん「言ヤビーン」・やんす「お世話になリヤンス」。
【なさる】 (補)さんす「そんな事はしサンスな」・しゃる「参リシャル」「読みシャッた」・はる「もう行かハルか」・まさる「立ちマサル」・まはる「行きマハル」・やす「ごめんヤス(御免なさい)」・やる「毎日来ヤル」「上手にしヤッた」。
【いなさる】 *いらっしゃる(二四六ぺ)(補)ござる「ヨ暑んでゴザル」「話をしゴザッた」。
【卑罵】 (補)ずり「ズリうせた(行きやがった)」・ずる「うせズル(行きやがる)」・まる「だまって行きマルと承知せんぞ」・まわる「悲しくもないのに泣きマワッて」。
【さま・さん・ちゃん・くん】 (本)いと「太郎イト」・かん・きー「太郎キー」・さ「権助サ」・さー・さら「太郎ザラ」・じょー「伯母ジョー」・ちー「お花チー」・ちょー・てこ・なに「太郎ナニ」・なね「花子ナネ」・ねー・のじ・ま「お竹マ」・もい。


伝聞
【って・と】 (補)ち「病気だっチ」。
【という】 (本)ちゅー「電車チュー物」・ (補)ろー「何ツー本だ」。
【ということだ】 (補)ちけ「昨日行ったチヶ」・ちっけ「有るチッケ」。
【ということだよ】 (補) といの「あの話は本当じゃトイノ」。
【そうな・由】 (本)げな「行ったゲナ」。


様態 *あんな(三七一ぺ)
【そう】(本)ごと「降ろうゴト」。
【ような】 (本)がいな「狐のガイナ犬」・ (補)みるやな「石ミルヤナ堅い物」・やな・「解けるヤナ結び方」。
【ように】(本)がいに・ごと「あのゴト書け」。
【ようだ】 (本)ごたる「猫のゴタル」・(補)かーらん「猫にカーラン」。
【ようなら】 (補)やなら「汽車に乗るヤナラやめよう」。


並立関係
【たり】 (本)つり「行っツリ来ッリ」。
【や・やら】 (本)から「大工カラ左官力ラで費用がかさんだ」・でーろん「何デーロンかんデーロン言ってうるさい奴、だ」・てろん「筆テロン紙テロン買う」・なら「団子ナラ餅ナラ食う」。


位格関係
【が】 (本)な「雨ナ降る」。
【の】 (本)がつ「俺のガツだ」・がと「それは俺ガトだ」・がな「僕ガナだ」・なな「誰がナナか」・(補)そ「大きいソ」「行くソか」・と「町で買って来たトがよい」・なな「誰がナナか」・ん「兄さんぜにあるン」。
【を】 (本)ば「葉バ取る」・(補)よ「新聞ヨ読んでいる」。
【に】 (本)が・がい・ぎゃ・げ・さえ「芝居を見ー行く」。
【に・へ】 (本)かい「人カイ言ってはいけないトあの人の家カイ行く」・さ「馬サ乗るト東京サ行く」・せー「足セーはく」「家セー帰る」。
【へ】 (本)さえ・さなえ・さに・さね・さま・さめ・さん・せー・せん・どり・(補)さ・さな・さまえ・しゃん「大阪──行く」。
【へ・方へ】 (本)よーに「南のヨー二行く」。
【へ・許へ】 (本)かち「医者の家カチ行く」・け「太郎さんグ行く」・ない「太郎ナイ行く」。
【まで】 (本)ずい「東京ズイ」。
【で・に於て】(本)から「道カラ拾った」。
【で・に依て】 (本)から「船カラ行く」・かる「筆カル書く」。
【よって】 (本)かって「おまえにカッテ失敗したのだ」・かて「犬にカテかまれた」。


修飾関係 *接続関係(ながら)・ぶんさい(二七七ペ)・こんな(一二八二ペ)
【でも】 (本)かて「私カテ知っている」「言ったカテ何にもならない」。
【こそ】 (本)こされ「君ならコサレ出来たのだ」。
【さえ】 (本)さかえ「猫でサカエ登れない」・さだ「犬サダ恩を忘れない」・さや「知事でサヤ礼に来る」・せーか「優等生セーカ出来ない」。
【さえ・しか】 (本)さ「雨サ降らなければ行く」「たった一つサ無い」。
【しか】 (本)がと・さら・なし・なと・はか・(補)しら「これだけー無い」。
【のみ・ばかり】(本)いちまき「あの人は勉強するイチマキだ」・いっそー「いたずらイッソーして困る」・ごろ「松ゴロある山」・じょー「嘘のジョー言う男」・ぞっき「麦ゾッキの飯」。
【それのみ・そればかりに】 (本)それいしき「言われた事にソレイシキ気をつけている」。
【ばかり】 (本)がんじょー「あれガンジョーではだめだ」・しき「これシキ」・しこ「あれシコ」・(補)ばー・ばり・ばりばり「五円バリバリで本は買えない」・べー「もう半分べーやるよ」。
【じゅう】 (補)さっぎえ「一日がサッギェ仕事してる」。
【かぎり・ある限り】 *ぜんぶ(三八七ぺ)(補)とぅとぅーみ「道トゥトゥーミ話して来た」。
【かぎり・だけ】 (本)けん「此処ケンの詰」。
【だけ・程】 (本)きん「どれキンも無い」。
【ほど】 (本)がつ「十円ガツ買物をした」・がと「十円ガト買って来い」・がな「それを十円ガナ下さい」・つじ「二十円ツジ」・(補)がん「十円ガン菓子を下さい」。
【まで】 (本)ずい「東京ズイ」。
【きり・まま】 (本)いちら「山へ行ったイチラ帰って来ない」・いちり二度来たイチリニ度と来ない」。
【とおり・まま】*いいなりしだい(二四四ぺ) (本)ふし「あなたの言うフシに急こう」・(補)たち「お前の言うタチだ」。
【そのとおりに】 (本)ゆうがいに。
【まま】 *そのまま(三八八ぺ) (本)いっそー「枝についたイッソーで」・ずく「見んズク」。
【ごと・ぐるみ】 (本)かたき・かたけ・がらみ・ぐし・ぐち・ぐちら・こし・こてら・ごとき・こめ・さーら・さら・とめ・まし・まじら・まま・もじら・(補)ぐち・たきー・ほーど「入れ物ーー差上げます」。
【など】 (本)からこー「鉛筆カラコー持って来てもだめだ」・かりこー・こー「塩や砂糖やコー持って来た」・ども「袴ドエ、はいて何処へ行く」・まったり「海へ行ったリマッタリして」・やか「私ヤカ何も出来ない」・やこー「あの人ヤコー」・やんだ「提灯ヤンダいらない」・(補)やかい「わしヤカイ仕事ばかりしている」・やかし。
【など・達・等】 (本)とらー「子供トラー」・らち。
【ごと・毎】 *いえごとに(二四五ぺ) (本)ぎり「一回ギリにあげ足をとる」。
【ずつ・宛】 (本)ずか・ずら・ずり・たて・つた・なー・わて「一つ──分ける」。


接続関係
【ながら・がてら】 *ついで(三五一ぺ) (本)かたで・がつら「食事しガツラ本を読む」・しま「飯を食いシマ話をする」・そな「行きソナ話そう」・たいら「慰みタイラ」・もって「泣きモッテ行く」・もて「居眠りしモテ字を書く」・ (補)しな「歩きシナ読む」。
【そうして】 (補)ほて。
【そうしてから】 (補)そうして「かんに。
【そうした日には】 (本)そうした「ぎったい「そうしたギッタイおしまいだ」。
【そうすると】 (本)さいが「行ったサイガ」・さいにゃ「冬が来るとサイニャ寒くなろ」・とさいが「手にとるトサイガ消えてしまう」・(補)そうする「ちゅーと。
【そこへ】 (本)そこえさいて「ソコエサイテ猿がやって来た」。
【それなら・それでは】 (本)あちゃ・さちゃろーば・(補)あいば・あんせー。
【それゆえ】 (本)そやさかいに・そんなけ・(補)がり「あいつは悪い奴だ、ガリなぐっちゃった」・そんでに・だもん「ダモン借りて来よう」。
【理由・原因】(本)きー「行くキー待ってろ」・きに「暑いキニ水をあびる」・きん「そうじゃキン」・けー「何の役にもたたんケーな」・けに「聞いたケニわかった」・けれ・けん「雨がやんだケン行く」・けんぞ「私だケンゾだまっているのだ」・さかい「そうしたサヵイ」・さかいで(さかい)・さからえ・さけ「行くサケ待っていろ」・さに「それじゃサニ」・しからえに・しけ「私も行くシグお前も行け」・すか・すかい「雪が降るスカイ行かない」・すけー「行くスケー待っていろ」・すけーに(すけー)・せーに「あなたのセー二私までばかにされた」。せで「そうだセデ」・せに「遅いセニやめる」・せん「言わんセン見ぜろ」。なきー「そんナキーだめだ」・なけー「風が吹くナケー花が散る」・はかい・はけ・(補)かに「温くってカニ芽が出た」・よって「来るヨッテ此処にいよう」。
【だけれど・しかし】 (本)あいどん・さまれ・したばて・そってちゃ・そっどん・どんから「ドンカラすぐ負けてしまった」・ないどん・ほっどん・(補)あいばってん・されど「今にも降りそうだったがサレド降りもしなかった」。そっだ「けんば。
【逆態接続】 (本)がんに「来いと言うガンニ来ない」・けん「それはそうだケンいやだ」・ばって「読めないバッテ買っておく」。ばってん「行ったバッテン見えなかった」・(補)けーが「見えるには見えるケーガ」・けんが「花は咲いたケンガ」・こされ「腹がへるで食うでコサレ味はちっともせん」。


陳述関係
【疑問】 (本)かっちゃ「そうだカッチャ」・けも「あるケモ」「そうケモ」・にろ「黒ニロ白ニロ分らん」・やら「皆様お変りありませんヤラ」・(補)いろ「今何時じゃイロ分らん」・け「知ってるケ」・な「あれ馬ナ」「どこへ行くナ」・なら「そんな手紙書けるもんナラ」・や「それ何ヤ」「あれ誰ヤ」。
【禁止】 *願望(命令)(本)ちょ「行っチョ」「いたずらをしチョー」・と「しなさっト」・なな…と「ナナ行っト」・(補)なな「ナナお構いなさんショ」「ナナ言うてくれト」・なな「いたずらして傷めナナ」・まい「行くマイ」。
【反語】 (本)かれ「そんなこと知るカレ」・くせ「知ってクセ」・ざ「行かザ」・(補)すか「そんな物あらスカよう」。
【感情さ・ぞ・ね・よ】*そうだ(二六六ぺ)・しかたがない(三四六ぺ)(本)くさ「あのクサ」・くらい「夜があけたもの、もうあかるいクライ」・けん「行ったのじゃケン」・こた「来るコタ」・ことい「弱ったコトイ」・し「行かれへんシ」・たい「そうですタイ」・ばい「行くバイ」・らい「そうですライ」・(補)いえー「来てみろイェー」・お「今日は行かねオ」・おん「先生にもらったんだオン」・が「行くガ(無論行くよ)」。くせ「やだクセ(いやな事た)」・ざい「もう終ったザイ」・じょ「よう見えるジョ」・だんな「持って来たダンナ(確かに持って来たはずだ)」・ど「意気地ねえド」・とん「実にきれいだトン」・なーし「あのナーシ」・なし「良かったナシ」・なす「そうだナス」・なせー「暑いナセー」・なたー「ありませんナター」・なねー・なむし「寒いナムシ」・なも「そうだナモ」・なもし「暑いナモシ」・なん「そうだナン」・なんし「あのナンシ」・なんた・ねや「いい天気だネヤ」・のー「よかったノー」・のーこー「それからノーコー」・のし「寒いノシ」・のまい「よか天気ノマイ」・のもし「お困りじゃったノモシ」・のんし「そうだノンシ」・のんた「そうしてノンタ」・ばんた「よか天気バンタ」・ほん「行こホン」・ま「その本ちょっと貸せマ」・むし「早く来るだムシ」・もし「ていのいい泥ぽうだがモシ」・や「帰らヤ(帰ろうよ)」・やー「買ってくろやヤー」・やれ「行けヤレ」・ら「行こラ」・らい(ら)「ゆっくり話そうライ」・わ「見るワ(見るとも)」・わい「良いワイ」・わいさ「言うワイサ(言うさ・言うとも)」。



三六三ページ〜三六八ページ