~錬金の戦士始動~
「おはよー」
「あ、おはよ~」
いつもと変わらぬ高校生活
「はぁ~…めんどくせ」
俺はため息をついた
「いよっ!渡会」
「…ん?植村か」
コイツは植村克也。俺の親友で、何かと冗談を言い合える仲
「やっほー渡会君♪」
「出たな…夕鶴…」
コイツは焔夕鶴。俺が思うに、魔の女!
「…なんか言った?」
にこやかに、怒りの入った笑い声が後ろから聞こえた
「いやなんも」
「渡会、あまり毒牙に触れるような事を夕鶴にいうなよ~?」
「…克也くぅ~ん?」
…こわい
「植村、ご愁傷様」
「…え?」
「い~ま、なんていったのかなぁ~??」
悪魔が出ちゃった!
「わわわ…渡会!逃げるぞ!」
「お…ちょっ…」
ドドドドドドドドドドド…
「ふぅ…逃げ切れたぁ~」
「…怖いからやめてくれ」
殺気の怨念…再び
「か~つ~や~…」
「…ゲ」
植村の首根っこを夕鶴が掴んだ
「俺はシラネ」
「わ…渡会の薄情者~~…」
ズルズルと植村が引きずられていった
そして数秒後…
ドゲシッ!ドガッ!バキッ!
「…逝ったなありゃ」
植村克也、享年17歳。女子生徒に○蹴り&拳骨されて逝去。
「おはよ~ヒロ君。ところで、今鈍い音しなかった?」
「…気のせいだろ?それより夏海、本田は?」
「私は祐君のお守じゃないってばぁ…」
コイツは藤原夏海。この学校のアイドル的存在で、人気が高く、やたら可愛い…
「おはよ~渡会!」
「本田はいつもさわやかだなヲイ」
「夏海ちゃんがいる時はいつもさわやかさ~」
「あ、そう」
コイツは本田祐一。俺の親友で、植村も含めて一緒に遊んだりすることが多い面白い奴
「祐君…そういうことは言わないで」
「はいごめんなさい」
「夫婦漫才はじっくりやってくれたまえ~」
「ちょっ…ヒロ君!」
「はいはい~♪」
二人を残し、席を立った
「ふぁぁぁ~…寝るかな」
屋上で大きなあくびをかいて寝っ転がった
急に俺の上に人の影が差した
「…今日の氷奈は白いパ…」
ゲシ!
脳天に氷奈の蹴り一発入った
「ど~こ見てんだよ~ぅ」
「いつっ…わりぃ…見えたもんだからさ」
「ここでなにしてるのさ?」
氷奈が疑問に聞いてきた
「寝てる」
「…」
「…」
沈黙
「要するに、サボり?」
「まぁそうなるな」
「いーけないんだーいけないんだ!」
「ここに来てる以上、お前も同罪な」
今の時間はAM9:15
普通に授業が始まってる時間であった
「私はちっがーうもーん」
「なにが?」
「私は、具合が悪いから保健室で休みま~すで通ってるから」
「セコっ」
呆れた
「まぁいいや、寝るから邪魔すんなよ…氷奈」
「ちぇー…つまんないの」
「…ぐ~」
「あ、もう寝てるし」
「…ちゃ…おにい…ちゃ…おにいちゃん…」
優しく揺すられる
「…ん…?」
「ご飯だよ?食べる?」
いつの間にか雪奈が隣にいた
ぐぅ~っと腹の虫が鳴った
「食う」
今が昼休みという時間でもあったことに気づいた
「はい。今日はお兄ちゃんの好きなころっけだよ~」
「うぉ…まぢか」
「うん♪しかも私の愛情のこもった手作りだよ~」
ゴゴゴゴ…
鋭い視線を感じて後ろを振り返った
「怖いからやめろ…氷奈」
「だって、おねぇちゃんが嬉しそうだったんだもん」
「…妬いてんのか?氷奈は」
「そうだったの?氷ちゃん」
ぼっ
氷奈の顔が赤くなった
「そ…そんなことはな…ないよぅ」
氷奈があたふいてる時、丁度いつものメンバーが集まった
「いよっ!よく寝たか?渡会」
「授業をサボって何してるかと思えば、またここなのぉ?」
「渡会、抜け駆けしてんじゃないよ~…俺も寝たかった…」
「こらっ祐君、ヒロ君みたいになっちゃだめだって言ったでしょ」
…賑やかな奴らだなぁ
「さ、ご飯にしましょ~」
「雪奈…マイペースだな」
「え?」
午後から急に天気が悪くなりだした
「あれ?今日って午後から雨だっけ?」
「んや、そんなことはないぞ~」
「…にしては暗すぎるね」
少し不安げに雪奈が言った
「皆、早めに教室に引き上げろや」
皆に戻るよう、促した
「ん?渡会は?」
「俺はもう少し様子見てから戻る」
「ん。りょーかい」
それだけを言って皆教室へと戻っていった
「…あの時と同じ…」
ゴロゴロ…
雷が鳴り出した
しかし、普通の雷とは少し違うような…
「…空が歪んでる…」
「渡会広也…君に話がある」
急に後ろから声が聞こえた
「…いきなりだけど、誰だよ…」
「俺の名はキャプテンブラボー!5年前に一度会っただろ?覚えてないか?」
「…?」
なんか、会ったことあるようなないような…
「まぁいい、よく聞け。君は5年前に1度死んだんだ」
いきなり死んだは無いでしょ普通…
「その時、俺の不注意で君を死なせてしまった…が原因だ。そのときはすまなかった」
…今一状況が読み込めない
「だが、君を好いていた二人の女の子の泣く顔を見て、耐え切れず君を蘇生させた」
「…へ?」
蘇生って…ありえないでしょそりゃぁ~…
「そして、その蘇生に使ったモノがコレだ」
銀色の六角形のモノを見せてくれた
「…コレは?」
「これは核鉄と言って、錬金術の粋を集めた結晶だ」
「…で?」
「君の体の中には、これと同一の物が心臓となっている」
…心臓…
「5年間も気づかずにいてくれたことには感謝するが、君に頼みたいことがあってこの話をしたんだ」
「頼みたいこと?」
「そう…君には守りたい者、人はいるか?」
いきなりなんだろう…?
「あぁ…そりゃぁいるよ」
「それなら話が早い。君にも戦ってもらいたい」
「…戦いかぁ~…そういや久しぶりに聞いた言葉…って、マジっスか!」
「この、大和町にホムンクルスの集団が巣くっている事がわかってな」
「ホムンクルス…人造人間ベ○みたいな?」
「ベ○は関係無いが、人造人間は近いな」
ちかいんだ!
「んで、要するに俺にこの町と守りたい人を守れって事?」
「話がわかるね。君は」
「いや…でも、どうすればいいかが全然わからないよ?」
「大丈夫だ。戦士のノウハウなどは俺がみっちり叩き込む」
「…お願いします」
流れに飲まれた気もするが、それは気にしないことにしよう!
「…というわけだ」
戦士のノウハウ授業、約50分
「ふむふむ…でも、まだ俺は錬金発動してないから武種はわからないか…」
「君にはいざと言う時のための錬金発動許可を出しておくから、この町を守ろう!」
「OKブラボー!まもろー!」
「では、俺は一旦戻る」
「またどこかで」
こうして、ブラボーは消えてった
…6時間目くらいは出ておくか
「あ、ようやく戻ってきたな」
「あれ?植村、他の面子は?」
「皆ジュース買いに行ったさ」
「ふ~ん…」
…ただいま!俺の机と椅子!
「ところでさ、渡会」
「ん?」
「雪奈ちゃんが告られてるところ見ちゃったんだけどよ」
「あぁ…あいつは意外とモテるからなぁ~」
「しかも、その相手が学年成績トップで顔も良くって野球部のエースの斎藤だったんだよ」
「なんでやたら雪奈の近況を俺に報告するんだ?」
「あ…いや、こういうのは言ったほうがいいかな~と思って…」
なんか引っかかる言い方だな…何か隠してるのか?
「俺とあいつは只の幼馴染で腐れ縁なだけだ」
『そうだよね』
「ん?」
急に斎藤が俺のところに来た
「渡会さ、雪奈ちゃんと付き合ってるわけではないんだよな?」
「今言ったばっかだろ?幼馴染だって」
「確かに聞いたからな?それじゃぁ雪奈ちゃんは俺が貰ったからな」
「あ、そ」
こうして斎藤は去っていった
「お兄ちゃん?どうしたの?」
「ん?いや?」
「???」
「気にするなって」
「うんっ!わかったよ~」
さすが天然…誤魔化し易いから助かるぅ!
「そういえば渡会、なんで野球辞めたんだっけ?」
疑問の口で植村が言った
「…肩壊れだ」
「あぁ…そうだったっけ」
「何で今更聞くんだ?」
「だって、斎藤なんかに野球部のエースには合わないじゃん」
「それもそうだが…でも、今更俺のマサカリ投法しても長くはもたぬぞ」
「そっか」
昔、丁度小学の中盤の頃からリトルリーグのエースで投げていたことがあった
投げ方が独特のマサカリを駆使する球でエースまで上り詰めた。
が、つい5ヶ月前の中学最後の頃、シニアリーグで事件が起きた事により肩を壊し、野球が出来ない肩になってしまった
事件の発端は、打球が俺の右肩に直撃し、骨の一部が砕けてしまったことによる
その相手バッターが斎藤であって、なぜか喜んでいたのがあいつだけだった
「お兄ちゃんが野球してた頃、すっごい活き活きしてたのに、今はちょっと落ち込んでるね」
急に雪奈が口を挟んだ
「あれからもう5ヶ月…か」
「肩、大丈夫?お兄ちゃん」
「あぁ…なんとかな」
「でも、渡会の球速はシニア1位の速さだったんだろ?」
「…やめれ、その話」
「たしか、最速で150…ちょっとだっけ?」
「…」
植村がなかなか話を止めないので呆れてしまった
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン
あ、学校終了のチャイムだ
さて、即刻撤収しますかな
「あれ?本田は?」
「本田は今日バイトだって」
「ふぅ~ん…そんじゃ植村、遊びに駅前に行くか?」
「わりぃ!今日、漫研があるから無理!」
「…ちぇ」
「…そういえば、雪奈ちゃんと氷奈ちゃんは?」
「そういえば来ないな…どしたんだろ…まいっか~帰る!」
ぽすっ
家に着く直前に何かに背中を殴られたような感覚
「?」
俺は後ろを振り向いたが何にも無い
気にせず家に入ろうとした瞬間…
「きゃぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁ!」
女の人の叫びが聞こえた
「なんだ?」
気になったので声がした方に走っていった
ぐるる…
そこにいたのは狼男な格好をした男…だが何か変だ
少し機械みたいな部品が見える
女の人は泣きながら尻餅をついていた
俺はその女の顔に見覚えがあった
「ひ…氷奈!?」
「ひ…ヒロ兄!助けて!」
「ちっ」
俺はとっさに近くにあった鉄の棒を掴み、狼(?)男に殴りかかった
「氷奈!すぐ逃げろ!いいな!」
「う…うん!」
男の左脇腹に一発お見舞いしてやった…が
「俺にそんな攻撃が通用なんてしないね」
「なにぃ…」
「錬金術の力で出来たこの体は無敵さ」
錬金術…錬金術!?
これだ!
頭がフル回転をして、すぐに答えが出せた
「お前…ホムンクルス…だな」
「ほぉ…錬金術を知る者がいたか」
「問答無用!…お前を排除する」
「ハハハ…どうやってだ?小僧」
「使うのは初めてだが、これでさ」
「なに…?」
武装錬金!!!
光が溢れて、武器が現れた
…刀?そして付属に鈴が2つ…
「まぁいい…いくぞ!」
「くっ!小僧…なぜ貴様が武装錬金を…」
焦り気味に狼男が口走った
「しらん!」
適当に返した
「しゅっ!」
細く、短く息を吐いた
シュザッ!
俺が繰り出した横薙ぎで狼男の両腕を斬りおとした
「ぐおぉぉぉおぉおぉ!」
「章印あった!逝ねっ!」
左片手平突きを狼男の弱点である章印へとぶち込んだ
グシャッ!
「ごおぉぉおぉぉ…」
咆哮をして砂のように狼男は崩れて消えていった
「えらいあっさり倒せたなぁ…」
「それは君の実力さ」
「ブラボー…だっけ?何で此処へ?」
「ホムンクルスが出たと、通報があってな。駆けつけて来たわけだ」
「あ~…倒しちゃって良かったのかな?」
「全然構わんさ。それより、日本刀の武装錬金か」
「うん…急だったし、すぐ攻撃に掛かったよ」
「よし、君を錬金の戦士としてこれから鍛える」
「…りょーかい」
こうして、俺は錬金の戦士となった
しかし、俺の隠れた力が引き出されてしまう発端となったことは思わなかった
最終更新:2006年03月24日 05:38