~鬼開眼~
「残月!」
ズサッ!
ぐわぁぁぁ!
錬金の戦士として活動を開始して早2ヶ月
ちょくちょく学校を休むようになってしまい、仲間からはいつも「どうしたん?」と
問い詰められることが多くなってしまったある日
「お?今日は学校にいるねぁ渡会」
植村登場
「わりぃね…1週間も休んで」
「んや、でも渡会さ、雪奈ちゃんと氷奈ちゃんに彼氏が出来たの知ってた?」
「…え?」
内心ドキッとした
「いやなんでも、つい5日前かな?雪奈ちゃんと氷名ちゃんそれぞれ仲良く男と手を繋いで下校してたから」
「…へぇ…」
「渡会?どうした?」
「いや」
「あ、お兄ちゃん来てる!」
雪奈が駆け寄ってきた
…植村が言っていた彼氏であろう、雪奈の後ろから出てきた
「…」
斎藤…だよな…なぜか知らんが…他の奴に見えたのは気のせいか…?
「おい?」
「あ、わりぃ。んで?何の用だ?」
「確かに雪奈を貰ったから、その報告だ」
「…あっそ」
ツンとして返事を返して教室を出た
「あ…お兄ちゃん…」
そして、職員室へと行った
「…そうか…話は聞いているが、残念だよ」
「そうなんですか?」
「当たり前だよ。教え子が減るのはね…さすがに残念だよ」
「今日が最後の学校なので…」
「そうか、ならクラスの皆にちゃんと言わないとな」
「…はい」
担任と一緒に教室へ戻ってきた
ざわめきついてた教室が静まり返った
「え~…皆には残念な話だが、渡会が今日をもって退学することになった」
『えぇっ!』
クラス中の生徒が驚いた
「先生、お兄…広也君はどうして退学するんですか?」
雪奈が皆の疑問を質問してきた
「え~っとだね…彼は今日の夜から東北の方へ行く為、時間がギリギリなのに今日の一日のみ皆の為にここにいてくれました」
教室内がどよめく
「それじゃぁ…渡会、皆に一言言ったらどうかな」
「…いや、いいっス」
俺は視線を地に逸らした
「お兄ちゃん…」
実を言うと、皆には知られたくなかった…
世間ではオカルト物な錬金術が俺に関係することを悟られたくなかった
「そうか…だが渡会には世話になった奴もいるだろう?このH.Rを使って個々にお別れの言葉を渡会にかけてやってくれ」
そう担任が言ったら、一気に皆が輪になった
「渡会、どうしてだよ!お前は変な奴だが、お前いないと張り合い無いぞゴルァ!」
クラスの男連中がこぞって言ってきた
「んなこたぁ無いだろ?まだまだ張り合いある奴はいるだろ」
「ヒロ君!やっぱり授業のサボりが原因なの?」
夏海が心配そうに聞いてきた
「サボって退学な分けないからさ、んな深刻な顔すんなよ」
「じゃぁなんで退学なの?」
「色々あってな…訳あって、皆には言えないが、とにかく死ぬわけじゃないからよ」
皆が口々に別れを言いに来た
「渡会」
「よう…植村、本田」
「やっぱりなんか隠してたんだな」
植村は神妙に言ってきた
「しょうがないだろ?早々に言える事じゃないしな」
「でも、俺らには言ってくれても良かったのにな」
本田は残念気に言っていた
「すまんな、だが、お前等は守るものがいるはずだろ?」
「…守るもの?」
二人同時に聞いてきた
「己の愛する乙女の事だ」
「最後だけ変な言い方するなよ」
「そうそう普通に言えばいいのに」
「いや、最後くらいカッコつけさせろって」
「だが、なんで守るものなんだ?」
「そのうちわかるさ…もしかしたら、また再び会えるかもな」
「え?」
ふと思ったら、雪奈と氷奈が何も言ってこなかった
とは言え、氷奈は違うクラスだが…
俺は教室を出た、が
「お…お兄ちゃん…」
雪奈が追っかけてきた
「なんだよ?俺に何か用か?」
「えっ…」
「今更別れの言葉も無いだろ?それに…多分、お前等にも会うことは一切無いとおもう」
「え…なんで?」
「理由は無い…だが、お前らのお守はもうする必要が無いだけだ」
「え…?それはどういう…」
「じゃぁな」
軽挨拶で学校を後にする俺
「もう、今のあいつらには俺は必要ないもんな…」
「お兄ちゃん…どうしたんだろう?」
「ヒロ兄がどうかしたの?」
氷奈ちゃんが私に聞いてきた
「なんかね、今日とっても冷たくて、それに学校…退学しちゃった…」
「え!?退学!?それは確かにどうしたんだろう…」
「それに…『お前等にも会うことは一切無いとおもう』って…」
「嘘…なにそれ…ヒロ兄がそんなこと言うなんておかしいよ!」
「おかしいって言っても、何でおかしいのかわからないよぅ…」
私、何か変なことをお兄ちゃんにしちゃったのかなぁ…
「ヒロ兄の家に行ってみようよ!おねぇちゃん」
「…うん。そうだね」
こうして私達はお兄ちゃんのお家に行くことにした
ピーンポーン
「…」
「…」
ピーンポーン
「…」
「…」
あれ?いないのかなぁ…
「ヒロ兄、なんか最近様子がおかしいよね…やっぱり」
「うん…学校にも全然来なくなった頃かな…いつもと変わっちゃったの」
「そうなんだ…私、最近、海斗ととずっと一緒にいたから気づかなかった…」
「やっぱり、お兄ちゃんがいない時の為の寂しさ紛れにって作った彼氏が悪かったのかなぁ…」
「それは無いでしょ?ヒロ兄はそんなことでグチグチは言わないじゃん」
「だけど…私…やっぱり…」
「おねぇちゃん…」
「此処か…俺の任務場は」
此処は東北に位置する海が見える小さな町
「…どこかで見た覚えもある町だなぁ」
今回の任務…この、雪町にある小さな高等学校にある核鉄の回収…か
確認されてる数が、計2つか…って、稀少な核鉄がこんなところに2つもあるのかよ…
「ま、とりあえず一時的に住む場所を確保しますかな…」
「あの~…そこの男の人」
「うん?」
高校生であろう、女の子が2人、声をかけてきた
彼女らは背が小さいのと大きいの…と、他に特徴があるのは…
小さい方が長髪のストレートで、大きい方が短髪のストレートか
「あ、やっぱりコイツだ…」
何かしら短髪の子がつぶやいた
「コイツ?」
「あ…あぁいやぁ」
「いえ、この辺では見ないお顔なので、どなたかと思いまして」
長髪の子が声をかけてきた
「あ~、俺、明日からこの町の村雪高校に転校する渡会です」
「あ、まさかウチの高校に来るって物好きな人?」
もう短髪の子が考えながら言って来た
「物好き…まぁ、俺は静かなところが好きなだけだよ」
「へぇ~そうなんだぁ~」
「あ、ところで、住む場所はあるんですか?」
ザクッ
「あ、固まっちゃってるよ?この人」
「あれ?まさか、禁句でした?」
「生憎、今日のつい今さっきこの町に着いたばっかで、これから住む場所探しなんだ」
「う~ん、そうだねぇちゃん!」
短髪が妹なのか!?
ってか、こいつら姉妹だったのか!!
「うん?どうしたの?木葉」
なんか、妹の名前が可愛いなコレ
「この人、私達のアパートに入れてあげれば?部屋の空き、1つあったでしょ?」
アパート持ちなのか…どんな家の子だよ
「う~ん…あったっけ?」
「…」
俺は無言でやり取りを聞いている
「まぁ渡会君、今日泊まるところあるの?」
「無」
「あら」
「あはは」
妹の方に笑われた…なんでだ!?
「まぁ今日は家にいらしてくださいな。アパートに住む件についてもお話しましょう」
…いつの間にやら決定付けられた様な言い方…
「…で、月五千円で初期費用が一万円です」
「格安のアパートだなヲィ」
「でしょ~?コレは住むべきだと思うよ?うん。ボクはそう思う」
「さういえばよ、俺はまだ君達の名前聞いて無いんだが…」
二人がきょとんと俺を見た
「あれ?まだ言ってませんでしたっけ?」
「うん」
「…あ~そうだったっね」
?何か、今寂しそうな顔したな…
「私は神奈。神翼神奈です」
「ボクは神翼木葉だよ~」
「神奈に木葉か…ついで、お前達は双子なのか?」
「うぅん、私が姉で、木葉が妹ですよ」
「1つだけ違うんだよ~。ちなみに、ボクは高1だよ」
「ってことは、神奈と俺は同い年か」
「はい。そうですよ」
「…?」
神奈…木葉…
何か引っかかる…この子達のこと、知ってる気がする…
「それじゃ、此処にハンコウを押してくださいな」
「ん」
ぽん
「それじゃ、これからよろしくお願いしますね?ヒロ君」
…なんか、夏海と同じ呼び方だし
「よろしくぅ~!ヒロ!」
年下のクセに、呼び捨てかよ…
「まぁいっか。今日は疲れたから寝るな~」
「はい。おやすみなさい」
「おんやすみぃ~」
こうして、今日一日が過ぎた
フフフ…我はこの時を待っていた!
この場なら、我の復活はすぐ出来る!
この忌々しい「広也」という器を打ち破ることが出来る!
フフフ…我はまた己の快楽の狩りをすることが出来る!
復活を成し遂げ、復讐と野望を遂げる!
まずはあの時の神翼一族の生き残りの女二人を犯し、真の鬼の力を得る!
フフフ…あと少し…あと少しだ…フフフ…
「ねぇ…止めようよ、木葉」
「何言ってんのよ、お姉ちゃん。ようやく初恋の男が来たってのに」
「で、でも、こういうのはよくないよ…」
ん…なんだ?外がうるさいな
「え~?なんでそういうこと言うかなぁ~?」
「だ、だって、今のヒロ君、私たちの事覚えていないみたいだし…」
…眠い
「まぁ、あの後、それまでの記憶吹っ飛んでいたからね…」
「そうだよ、だから、ね?止めよう?」
「しょうがないなぁ…」
…ぐー
神翼一族の女、なんと運のいい事にすぐ近くにいるではないか!
フフフ…復活が待ち遠しいではないか
無駄な動きをしなくともその場で犯せる
そして、真の力を手に入れる!
「朝ですよ~!ヒロ君起きてくださ~い!」
「…眠い」
「おきろぉ~!」
ドゲシッ
「ぬがぁっ!」
鳩尾蹴られた…
「お~きたぁ~?」
「いきなり蹴る馬鹿いるかっ!」
「あなたを起こすにはこれが丁度いいじゃない?」
「なんでだよ…ったく…」
今日からこの雪町の生活が始まる…何も無くのんびりと進めばいいのだが…
最終更新:2006年03月24日 05:40