クレリック

Cleric


 信仰と神授の奇跡の中に、より大きな目的を見いだす者達がいる。全ての僧侶は定命の者達の理解を超えた力に仕えるべく選ばれ、信仰の驚異を説き、信者達に精神的な支えを与える。だがクレリックは単なる僧侶にとどまらない。彼らは神の使者であり、神の武力と魔力をもって神の意志を遂行する者達なのだ。この自らの信じる神や哲学の教義に心を捧げた聖職者達は、彼らの信仰の知識と影響力を拡大させるために日々尽くしている。似たような能力を持ってはいるものの、クレリックは仕える神格によって大きく異なる。癒しと救いを与えるものもいれば、法の裁きと真実を与えるものもいる。そして一方で、諍いと腐敗を招く者達も存在するのだ。このようにクレリックの道には様々なものがあるが、この道を歩く者は誰であっても最強の味方を伴い、神々本人の武器を帯びながら歩いているのだ。

役割:戦いにおいて神々の誉れを唱えるだけでなく、クレリックは度々屈強で有能な闘士であることを証明する。彼らの真の強さは神格の力を地上へと引き出す能力にあり、それをもって自分や仲間達の戦いの力を引き上げたり、神の魔力で敵を撃ったり、傷ついた仲間に治癒を与えたりすることができる。

クレリックの力はその信仰によって左右されるため、全てのクレリックは単一の神格に信仰を注がなければならない。ほとんどのクレリックは特定の神をあがめるが、ごく少数のクレリックの中には信仰するに値するような概念、例えば「戦い」、「死」、「正義」、「知識」などを神という存在を介さずに信じる者達もいる(特定の神格を選ぶ代わりにこのような道を選択する場合には、GMの許可を得ること)

属性:クレリックの属性はその信じる神格と秩序―混沌方向か善―悪方向に1段階しかずれていない事。

ヒット・ダイスの種類:d8


クラス技能
クレリックのクラス技能は、以下の通り:〈鑑定〉【知】、〈言語学〉【知】、〈解読〉【知】、〈交渉〉【魅】、〈情報収集〉【魅】、〈呪文学〉【知】、〈職能〉【判】、〈真意看破〉【判】、〈製作〉【知】、〈精神集中〉【耐】、〈知識:王侯貴族〉【知】、〈知識:次元界〉【知】、〈知識:宗教〉【知】、〈知識:神秘学〉【知】、〈知識:歴史〉【知】、〈治療〉【判】

レベル毎の技能ランク:2+【知】修正値


表:クレリック

レベル 基本攻撃ボーナス 頑健セーヴ 反応セーヴ 意志セーヴ 特殊 1日の呪文数
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 +0 +2 +0 +2 オーラ、エネルギー放出1d6、領域、祈り 3 1+1
2 +1 +3 +0 +3 4 2+1
3 +2 +3 +1 +3 エネルギー放出2d6 4 2+1 1+1
4 +3 +4 +1 +4 4 3+1 2+1
5 +3 +4 +1 +4 エネルギー放出3d6 4 3+1 2+1 1+1
6 +4 +5 +2 +5 4 3+1 3+1 2+1
7 +5 +5 +2 +5 エネルギー放出4d6 4 4+1 3+1 2+1 1+1
8 +6/+1 +6 +2 +6 4 4+1 3+1 3+1 2+1
9 +6/+1 +6 +3 +6 エネルギー放出5d6 4 4+1 4+1 3+1 2+1 1+1
10 +7/+2 +7 +3 +7 4 4+1 4+1 3+1 3+1 2+1
11 +8/+3 +7 +3 +7 エネルギー放出6d6 4 4+1 4+1 4+1 3+1 2+1 1+1
12 +9/+4 +8 +4 +8 4 4+1 4+1 4+1 3+1 3+1 2+1
13 +9/+4 +8 +4 +8 エネルギー放出7d6 4 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 2+1 1+1
14 +10/+5 +9 +4 +9 4 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 3+1 2+1
15 +11/+6/+1 +9 +5 +9 エネルギー放出8d6 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 2+1 1+1
16 +12/+7/+2 +10 +5 +10 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 3+1 2+1
17 +12/+7/+2 +10 +5 +10 エネルギー放出9d6 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 2+1 1+1
18 +13/+8/+3 +11 +6 +11 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 3+1 2+1
19 +14/+9/+4 +11 +6 +11 エネルギー放出10d6 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 3+1 3+1
20 +15/+10/+5 +12 +6 +12 4 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1 4+1
注: “+1” と記されているのは領域呪文を示す

クラスの特徴
クレリックのクラスの特徴は以下の通り。

武器と防具の習熟:クレリックは全ての単純武器、軽装鎧、中装鎧、そして盾(タワー・シールドを除く)に習熟している。さらに、クレリックは信仰する神格の好む武器に習熟している。

オーラ(変則)/Aura:秩序、混沌、善、悪の神格を信仰するクレリックは、神格の属性に対応した特別に強力なオーラを発している。(詳細はディテクト・イーヴルの呪文を参照)


呪文/Spells:クレリックはクレリック呪文リストにある呪文を信仰呪文として発動することができる。しかし、クレリックの属性によってはその信仰の道徳的または規律的信条に反するという理由から、ある種の呪文を発動することができない。詳しくは後述の秩序、混沌、善と悪の呪文の項を参照。クレリックは事前に呪文を選択し、準備しなければならない(後述)

 呪文を準備または発動するにはクレリックは最低でも10+その呪文レベルに等しい【判断力】能力値を有していなければならない。クレリックの呪文に対するセーヴィング・スローのDCは、10+呪文レベル+クレリックの【判断力】修正値である。

 他の呪文の使い手と同様、クレリックは各呪文レベル呪文を、1日に一定の回数ずつしか発動できない。1日に発動できる呪文の数の基本値は、表『クレリック』に記されている。さらに、高い【判断力】能力値を持つならば、クレリックはボーナス呪文数を得ることができる(表:『能力修正値とボーナス呪文』を参照)

 クレリックは瞑想や祈りによって呪文を準備する。クレリックが1日の呪文を準備するためには、毎日自分で決めた時間に1時間、瞑想、あるいは祈願を行わなければならない。クレリックは自分の発動できる呪文レベルの呪文ならば、クレリック呪文リストの中の任意の呪文を準備し、発動することができる。ただし、準備する呪文の選択は、毎日の瞑想中に決めなければならない。


エネルギー放出(超常)/Channel Energy:属性に関わらず、クレリックはその信仰の力を聖印(あるいは邪印)から導くことで、オーラ・エネルギーの波を放出することができる。このエネルギーは、導かれたエネルギーのタイプ、そして対象クリーチャーによってダメージを与えるか治癒することに使える。

 善のクレリック(あるいは善の神格を信仰するクレリック)は正のエネルギーを導き、アンデッドにダメージを与える、あるいは生きているクリーチャーを治癒することができる。悪のクレリック(あるいは悪の神格を信仰するクレリック)は負のエネルギーを導き、生きているクリーチャーにダメージを与える、あるいはアンデッドを治癒することができる。中立の神格を信仰する中立のクレリック(あるいは特定の神格を信仰しないクレリック)は、正のエネルギーと負のエネルギーのどちらを導くかを選ばなければならない。一度選択がなされたらそれを変更することはできない。この決定はまたクレリックが任意発動できるのがキュア系呪文であるかインフリクト系呪文であるかをも決める(任意発動を参照)。

 エネルギー放出はアンデッドか生きているクリーチャーのどちらか一方を対象とする、クレリックを中心とした30フィート半径の爆発を生じさせる。与えられる、あるいは治癒されるダメージの量は、1d6ポイント+レベル1を越えるクレリック2レベル毎に1d6(レベル3で2d6、レベル5で3d6、以下同様)である。導かれたエネルギーからダメージを受けたクリーチャーは意志セーヴによってダメージを半分にすることができる。このセーヴのDCは10+クレリック・レベルの1/2+クレリックの【魅力】修正値である。治癒されたクリーチャーは、その最大ヒット・ポイントを超えて治癒されることはなく、余分な回復分は無視される。クレリックは1日に3+【魅力】修正値に等しい回数だけエネルギー放出を使用できる。エネルギー放出は機会攻撃を誘発しない標準アクションである。クレリックは自分を効果に含めるかどうかを選択できる。この能力を使うためには、クレリックは聖印(または邪印)を示すことができなければならない。


領域/Domains:クレリックの信仰はその属性、どのような魔法が使えるか、価値観、そして他者をどのように見るかに影響する。クレリックは信仰する神格に属する2つの領域を選ぶ。属性の領域(秩序、混沌、善、悪の領域)を選ぶ際には、自分の属性に一致したものしか選ぶことができない。もしクレリックが特定の神格を信仰していない場合も、その宗教上の傾向や能力を表す2つの領域を選択する。特に神格を持たないクレリックは任意の2つの領域を選び、この場合も、属性の領域に関する制限は適用される。(選択にはGMの許可が必要)

呪文事典 → 領域 を参照

 それぞれの領域は、クレリックのレベルに応じていくつかの領域能力と、領域呪文を与える。クレリックは自分が発動することのできる各1レベル以上の呪文レベルにつき、1つの領域呪文を準備することができる(訳注:1日の呪文数の"+1"は領域呪文を意味している)。クレリックは自分の2つ領域呪文のうちどちらかを準備できる。領域呪文がクレリック呪文リストに無い呪文の場合、その呪文は領域呪文としてのみ準備できる。領域呪文は任意発動に利用することができない。

 さらに、クレリックが十分なレベルに達した時、それぞれの領域に記されている能力を得る。特に書いていない限り、領域能力の使用は標準アクションである。


祈り/Orisons:クレリックは毎日いくつかの「祈り」、すなわち0レベル呪文を表『クレリック』の1日の呪文数に従って準備できる。祈りは他の呪文と同じように発動できるが、発動しても消費されることはなく、何度でも使うことができる。但し一部の0レベル呪文は通常通りに呪文スロットを消費する。


任意発動/Spontaneous Casting:善のクレリック(あるいは善の神格を信仰する中立のクレリック)は準備した呪文のエネルギーを事前に準備していない治癒の呪文へと変換することができる。クレリックは準備していた好きな祈りでも領域呪文でもない呪文を“失う”代わりに、その呪文のレベル以下のキュア系呪文(名前に“キュア”を含む呪文)を発動することができる。

悪のクレリック(あるいは悪の神格を信仰する中立のクレリック)はキュア系呪文に変換することはできず、インフリクト系呪文(名前に“インフリクト”を含む呪文)へと変換することができる。

善でも悪でもないクレリックで、その神格もまた善でも悪でもない場合、プレイヤーの選択によってキュア系呪文に変換することも、インフリクト系呪文に変換することもできる。一度この選択がなされたなら、変更することはできない。この選択はまたクレリックが正のエネルギーと負のエネルギーのどちらを導くかにも影響する。(エネルギー放出を参照)


秩序、混沌、善と悪の呪文:クレリックは自分自身、または仕える神格(いれば)の属性と逆の呪文を発動することはできない。呪文が特定の属性に関係しているかどうかは、呪文の解説に[秩序]、[混沌]、[善]、[悪]の補足説明として示されている。


ボーナス言語/Bonus Languages:クレリックはボーナス言語として天上語(セレスチャル)、奈落語(アビサル)、地獄語(インファーナル)を選択できる(それぞれ善、混沌にして悪、秩序にして悪の来訪者達の言語である)。これらはキャラクターの種族によるボーナス言語の選択肢に追加される。

元クレリック
 仕える神格が命ずる行動規範に著しく違反したクレリックは、呪文およびクラスの特徴をすべて失う。ただし、鎧と盾、単純武器への習熟は失わない。以後、クレリックが贖罪を行うまで、その神のクレリックとしてのクラス・レベルを得ることができなくなる。(アトーンメントの呪文を参照)


















最終更新:2021年05月08日 18:33