ドルイド

Druid


 純粋なる元素や大自然の秩序のうちに、文明の驚異を超える力は存在する。ひそやかではあるが否定できない、これら始原の魔術は、平衡の理念に仕える者、すなわちドルイドによって守られている。獣の友にして自然の操り手、しばしば誤解されている彼ら守護者たちは、大地を脅かす全ての者への盾となって戦い、都市の城壁の中に閉じ篭る者たちに自然の力を知らしめようとする。この途方もない力への忠誠の褒章として、ドルイドは並ぶ者なき化身の能力、強力な動物の相棒との絆、大自然の怒りを呼びおこす魔力を手に入れる。彼らは、嵐や地震、火山にも似た恐るべき激情と、文明によって捨て去られ忘れ去られた原始の叡智を備えている。

 役割:あるドルイドは戦場の周縁にとどまって相棒と招来したクリーチャーに戦闘を任せ、またある者は自然の力によって敵を混乱させ、また他の者は恐るべき野獣に化身して猛然と戦闘の只中へ飛び込んでいく。ドルイドは元素の威力、自然の諸力、または自然そのものの具現を崇拝する。典型的にはこれは自然の神格への傾倒を意味するが、ドルイドは同様に茫漠たる精霊や動物めいた半神、荘厳な自然の驚異を崇敬しているかもしれない。

 属性:いずれかの中立

 ヒット・ダイスの種類:d8

クラス技能
 ドルイドのクラス技能は、以下の通り:〈騎乗〉【敏】、〈呪文学〉【知】、〈職能〉【判】、〈水泳〉【筋】、〈製作〉【敏】、〈精神集中〉【耐】、〈生存〉【判】、〈知覚〉【判】、〈視認〉【判】、〈聞き耳〉【判】、〈知識:自然〉【知】、〈知識:地理〉【知】、〈治療〉【判】、〈登攀〉【筋】、〈動物使い〉【魅】、〈飛行〉【敏】

レベルごとの技能ランク:4+【知力】修正値


表:ドルイド

レベル 基本攻撃ボーナス 頑健セーヴ 反応セーヴ 意志セーヴ 特殊 1日の呪文数
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 +0 +2 +0 +2 自然との絆、自然感覚、祈り、野生動物との共感 3 1
2 +1 +3 +0 +3 森渡り 4 2
3 +2 +3 +1 +3 跡無き足取り 4 2 1
4 +3 +4 +1 +4 自然の誘惑への抵抗力、自然の化身(1回/日) 4 3 2
5 +3 +4 +1 +4 4 3 2 1
6 +4 +5 +2 +5 自然の化身(2回/日) 4 3 3 2
7 +5 +5 +2 +5 4 4 3 2 1
8 +6/+1 +6 +2 +6 自然の化身(3回/日) 4 4 3 3 2
9 +6/+1 +6 +3 +6 毒への耐性 4 4 4 3 2 1
10 +7/+2 +7 +3 +7 自然の化身(4回/日) 4 4 4 3 3 2
11 +8/+3 +7 +3 +7 4 4 4 4 3 2 1
12 +9/+4 +8 +4 +8 自然の化身(5回/日) 4 4 4 4 3 3 2
13 +9/+4 +8 +4 +8 千の顔 4 4 4 4 4 3 2 1
14 +10/+5 +9 +4 +9 自然の化身(6回/日) 4 4 4 4 4 3 3 2
15 +11/+6/+1 +9 +5 +9 時知らずの肉体 4 4 4 4 4 4 3 2 1
16 +12/+7/+2 +10 +5 +10 自然の化身(7回/日) 4 4 4 4 4 4 3 3 2
17 +12/+7/+2 +10 +5 +10 4 4 4 4 4 4 4 3 2 1
18 +13/+8/+3 +11 +6 +11 自然の化身(8回/日) 4 4 4 4 4 4 4 3 3 2
19 +14/+9/+4 +11 +6 +11 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3
20 +15/+10/+5 +12 +6 +12 自然の化身(回数無制限) 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4


クラスの特徴
 ドルイドのクラスの特徴は以下の通りである。

 武器と防具の習熟:ドルイドは以下の武器に習熟している:クオータースタッフ、クラブ、シックル、シミター、ショートスピア、スピア、スリング、ダーツ、ダガー。またドルイドは自然の化身(後述)形態時にもつ全ての肉体武器(爪、噛みつきなど)に習熟している。

 金属製防具の制限/be restricted to Metal:ドルイドは軽装鎧と中装鎧に習熟しているが、金属製の鎧の着用は禁じられている。つまり、彼らはパデッド、レザー、ハイド・アーマーしか着ることができないということである。またドルイドはアイアンウッド呪文により鋼鉄と同じ機能を持つように変化させた木製の鎧も着用できる。ドルイドは盾(タワー・シールドを除く)に習熟しているが、木製のものしか使えない。

 禁止された鎧を着用したり、禁止された盾を使用したりしたドルイドは、着用/使用中および着用/使用後24時間、ドルイド呪文の使用ができなくなり、ドルイドのクラス能力のうち超常能力や擬似呪文能力を一切使用できなくなる。

 呪文/Spells:ドルイドの発動する呪文は信仰呪文であり、ドルイド用呪文リストから選択する。ドルイドの属性によっては、道徳的または規律的信条に反するという理由から、ある種の呪文の発動に制限が加わることがある。詳しくは後述の『秩序と混沌、善と悪の呪文』を参照。ドルイドは事前に呪文を選択して準備しておかなければならない。

 呪文を準備または発動するには、ドルイドは最低でも10+その呪文レベルに等しい【判断力】能力値を有していなければならない。ドルイドの呪文に対するセーヴィング・スローの難易度は10+呪文レベル+ドルイドの【判断力】修正値である。

 他の呪文の使い手と同様、ドルイドは各呪文レベルの呪文を、1日に一定の回数ずつしか発動できない。1日に発動できる呪文の数の基本値は、表『ドルイド』の“1日の呪文数”の項に記されている。高い【判断力】能力値を持つならば、ドルイドは1日の呪文数にボーナス呪文数を加えることができる(表『能力値修正とボーナス呪文数』参照)。

 ドルイドが1日の呪文数を回復するためには、毎日1時間かけて自然の神秘についてトランス状態的な瞑想をしなければならない。ドルイドは自分の発動できる呪文レベルの呪文ならば、ドルイド呪文リストの中からどれでも好きなものを準備し、発動することができる。ただし、準備する呪文の選択は、毎日の瞑想時間中に行わなければならない。

 任意発動/Spontaneous Casting:ドルイドは、蓄積した呪文のエネルギーを、事前に準備していたのと違う招来呪文として流用することができる。ドルイドは準備した呪文から好きなものを選んで“失う”代わりに、その呪文レベル以下の好きなサモン・ネイチャーズ・アライ系呪文を発動できる。

 混沌と秩序、善と悪の呪文:ドルイドは自分自身、または仕える神格(いれば)の属性に反する呪文を発動することはできない。呪文が特定の属性に関係しているかどうかは、呪文の解説に[秩序]、[混沌]、[善]、[悪]の補足説明として示されている。

 祈り/Orisons:ドルイドは毎日いくつかの「祈り」すなわち0レベル呪文を、表『ドルイド』の1日の呪文数に従って準備できる。祈りは他の呪文と同じように発動できるが、発動しても消費されることはなく、何度でも使うことができる。

 ボーナス言語/Bonus Languages:ドルイドはボーナス言語として、森に住むクリーチャーの言語である森語を選択できる。これは、キャラクターの種族によるボーナス言語の選択肢に追加されるものである。

 またドルイドは、1レベルのドルイドになった時点で、ドルイドのみが知る秘密言語であるドルイド語を修得する。ドルイド語はドルイドの自動修得言語である。つまり彼らはドルイド語を、通常の自動修得言語に加えて、ボーナス言語のスロットを消費することなく修得できるということだ。ドルイドがこの言語をドルイドでない者に教える事は禁じられている。

 自然との絆(変則)/Nature Bond:クラス・レベル1の時点で、ドルイドは自然との間に絆を結ぶ。この絆は次の2つのオプションのうちから1つを選ぶ。1つ目は自然界との密接な絆であり、それによりドルイドは、以下に示すクレリックの領域から1つを選択することができる:風、植物、地、天候、動物、火、水。領域によって得られるパワーとボーナス呪文を決定する際の有効クレリック・レベルはドルイド・レベルに等しい。また、このオプションを選択したドルイドは、クレリックと同様に追加の領域呪文スロットを獲得する。このスロットには自分の領域の呪文を準備しなければならず、また任意発動に利用することはできない。

 2つ目のオプションは動物の相棒との絆である。ドルイドは『動物の相棒』のリストから選択した、1体の動物の相棒とともにゲームを開始する。これらの動物はその種類に応じてドルイドの冒険に同行する忠実な相棒である。

 通常のその種の動物と異なり、ドルイドのクラス・レベルが上昇するにつれて、動物の相棒のヒット・ダイス、能力、技能、特技も向上していく。複数のクラスから動物の相棒を得ている場合、相棒の能力を決定する際に、有効ドルイド・レベルは累積する。ほとんどの動物の相棒は、その種類により、ドルイドのクラス・レベル4または7に達した時点でサイズが大きくなる。ドルイドは自分の相棒を役目から解放し、新たな相棒1体を獲得しても構わない。そのためには、中断されることなく24時間連続で祈りをささげる儀式を行わなければならない。 この儀式は、死亡した動物の相棒の代わりを得る場合にも行う。

 自然感覚(変則)/Nature Sense:ドルイドは〈生存〉と〈知識:自然〉の判定に+2のボーナスを得る。

 野生動物との共感(変則)/Wild Empathy:ドルイドは動物の“態度”を向上させる事ができる。この能力はNPCの態度を向上させる為の〈交渉〉判定と同様に機能する。(技能の詳細を参照) ドルイドは1d20をロールし、ドルイド・レベルと【魅力】修正値を加える。これが野生動物との共感判定の結果である。最初の態度は、通常の家畜の場合“中立的”、野生動物はたいてい“非友好的”である。

 野生動物との共感を使う為には、ドルイドと動物が互いを観察できる状態になければ為らない。これは通常の状況下では互いに30フィート以内になければ為らないという意味である。通例として、この方法で動物の態度に影響を与えようとする事は、人物に影響を与える場合と同様、1分間を必要とする。しかし状況によっては長く掛かる事も短くて済む事もある。

 ドルイドはこの能力を【知力】能力値が1か2の魔獣に対しても使用できるが、その場合、判定に-4のペナルティが課される。

 森渡り(変則)/Woodland Stride:クラス・レベル2以降、ドルイドはどんな藪(自然のイバラや野バラの茂み、植物の生い茂った範囲や類似の地形)の中でも、通常の速度で、ダメージやその他の不利益を被ることなく移動できる。

 ただし、動きを妨げるために魔法的に操作されているイバラや野バラの茂み、植物の生い茂った範囲の作用は受ける。

 跡無き足取り(変則)/Trackless Step:クラス・レベル3以降、ドルイドは自然環境に痕跡を残さなくなるため、彼らを追跡することは不可能になる。ドルイドは望むなら痕跡を残すこともできる。

 自然の誘惑への抵抗力(変則)/Resist Nature's Lure:クラス・レベル4以降、ドルイドはフェイの擬似呪文能力と超常能力に対するセーヴィング・スローに+4のボーナスを得る。このボーナスは植物を利用しあるいは目標とする呪文や効果-例えばブライト、エンタングル、スパイク・グロウス、ウォープ・ウッド-にも適用される。

 自然の化身(超常)/Wild Shape:クラス・レベル4に達したドルイドは1日1回、自身をどんな小型または中型サイズの動物にでも変身させ、また元の姿に戻ることができる。新たな形態に選べるのは、種別が“動物”のクリーチャー全てである。この能力は、本稿に記した差異を除き、ビースト・シェイプI呪文と同様に機能する。この効果はドルイド・レベル毎に1時間、または元の姿に戻るまで持続する。形態の変更(動物に変身、または元の姿に戻る)は1回の標準アクションであり、機会攻撃を誘発しない。変身する形態は、ドルイドに馴染みのある動物でなければならない。

 動物形態を取っている間、ドルイドは会話能力を失ってしまう。動物形態の時には調教を受けていない普通の動物の同じ声しか出せなくなるからだ(普通、野生のオウムはガーガー鳴くだけである。よって、オウムに変身しても会話が可能になるわけではない)。しかし、ドルイドはとっている動物形態と大まかな分類上で同じ種類のほかの動物たちとは意思疎通することができる。

 ドルイドが1日にこの能力を使用できる回数は、6レベル以降2レベル毎に増加し、18レベルで8回に達する。クラス・レベル20に達したドルイドは、回数無制限で“自然の化身”能力を使用できるようになる。ドルイドのレベルが上昇するにつれ、より大きな動物、より小さな植物、エレメンタル、植物の形態をとることができるようになる。いずれの形態をとるにせよ、この能力の1回分の使用回数を消費する。

 クラス・レベル6の時点で、ドルイドは大型または超小型サイズの動物、小型サイズのエレメンタルに変身できるようになる。動物の形態をとる時は、この能力はビースト・シェイプII呪文と同様に機能する。エレメンタルの形態をとる時は、この能力はエレメンタル・ボディI呪文と同様に機能する。

 クラス・レベル8の時点で、ドルイドは超大型または微小サイズの動物、中型サイズのエレメンタル、小型または中型サイズの植物クリーチャーに変身できるようになる。動物の形態をとる時は、この能力はビースト・シェイプIII呪文と同様に機能する。エレメンタルの形態をとる時は、この能力はエレメンタル・ボディII呪文と同様に機能する。植物クリーチャーの形態をとる時は、この能力はプラント・シェイプI呪文と同様に機能する。

 クラス・レベル10の時点で、ドルイドは大型サイズのエレメンタル、大型サイズの植物クリーチャーに変身できるようになる。エレメンタルの形態をとる時は、この能力はエレメンタル・ボディIII呪文と同様に機能する。植物クリーチャーの形態をとる時は、この能力はプラント・シェイプII呪文と同様に機能する。

 クラス・レベル12の時点で、ドルイドは超大型サイズのエレメンタル、超大型サイズの植物クリーチャーに変身できるようになる。エレメンタルの形態をとる時は、この能力はエレメンタル・ボディIV呪文と同様に機能する。植物クリーチャーの形態をとる時は、この能力はプラント・シェイプIII呪文と同様に機能する。

 毒への耐性(変則)/Venom Immunity:クラス・レベル9の時点で、ドルイドは全ての毒に対する完全耐性を得る。

 千の顔(超常)/A Thousand Faces:クラス・レベル13に達したドルイドはオルター・セルフ呪文を使用したかのように回数無制限で自分の姿を変えることができる。ただし、この能力は本来の形態の時にしか使用することはできない。

 時知らずの肉体(変則)/Timeless Body:クラス・レベル15に達したドルイドは、年齢効果による能力値のペナルティを受けなくなり、魔法的に加齢されることもなくなる。しかしながら、このレベルに達した時点ですでに受けているペナルティは、そのまま残る。年齢効果によるボーナスは得ることができるし、ドルイドといえども寿命が尽きれば老衰死する。

元ドルイド Ex-Druids
 自然への崇敬を失ったり、禁止された属性に変化したり、ドルイド語をドルイドでない者に教えたりした者は、全ての呪文とドルイドの能力を失う。(動物の相棒も含むが、武器、鎧、盾への習熟は除く) 以後、彼は贖罪を行うまで、ドルイドとしてのクラス・レベルを得ることができなくなる。(アトーンメント呪文の解説を参照)



クラス・オプション


















最終更新:2019年02月18日 21:01