777 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 00:26:52.86 ID:BSUS0AWBO
「ああ、よかった…本当によかった…」
ぼくは涙を流し、仰向けで横たわっているジャスティスの胸に抱きつき、ひとしきり泣いた。
「坊主、泣いている場合ではないぞ」
タマが顔を強ばらせながら言う。彼の視線を追ったぼくは再び驚愕した。
公園の外に逃げていくこおろぎさとみの姿を見てしまったのである。
781 :582 ◆UptZXZ6tpY :2007/11/05(月) 00:36:44.44 ID:BSUS0AWBO
「彼がジャスティスを殺したんでしょうか?」
まさかとは思ったが、状況を考えるとそうとしか思えない。
ぼくがジャスティスの死体を見つけた時、確かに彼の体はまだ温かった。
そしてあの公園にはぼくと、砂場で遊ぶ子供しかいなかった。
つまりこおろぎは何らかの理由でジャスティスを殺害し、死体を発見したぼくを隠れて見ていたことになる。
そしてジャスティスが蘇ったのを見て、あわてて逃げた、と言うことだ。
「そうだろうな」
タマもそれを分かっているのだろう。いや、彼の場合は動物のカン、というやつかな?
817 : ◆fj8531kkRc :2007/11/05(月) 01:53:03.02 ID:Tv2+qLJ00
こおろぎさとみ、その名前は中島も以前から聞いていた。なんでも、ジャスティスの前の恋人だった男らしいということだ。
ただ、付き合いだして二ヶ月後くらいから急に束縛が強くなりだしたと、ジャスティスは言う。
もともと自由奔放を旨とするジャスティスには耐えられなかったそうだ。
すぐに別れを切り出したのだが、さとみはなかなか応じず、結局うやむやなまま自然消滅という形で不自然に別れたそうだ。
「ま、アイツがわざわざ大好きな俺を殺したりしねーか」
そういってジャスティスは笑った。
その様を、木陰から見ている者が一人。そう、こおろぎさとみである。
彼の、ジャスティスの耳は正しかったのだ。
「磯野くん…いや、私のジャスティスくん…私のものにならないなら、死んでしまえば良かったのに…」
邪魔者が居たのね…そういって木陰のさらに奥へ進む。
木の根本に座っている、無防備なタマの背中が見えた。
「おやおや、アナタですか、私の邪魔をしたのは…」
819 : ◆JcW8.zG.pU :2007/11/05(月) 01:59:41.30 ID:oCinG6Ng0
>>781の続きを書いてみた
「でも、まさか……そんな」
あのこおろぎが? ジャスティスを殺した?
――ありえない。どうして。どうしてこおろぎがジャスティスを? だって彼は――
「う、う……ぅ」
その時だった。ジャスティスの苦しそうな声に意識が引き戻される。いくらタマの魔法
が成功したからといって安堵するにはまだ早かった。
「そうだ……ジャスティス! ねぇジャスティス! 大丈夫なの!?」
ゆさゆさと彼の体を揺すっても反応はない。それどころか、さっきまで暖かかったのが
嘘のように、彼の体は冷たくなっている。
どうして。タマの魔法で生き返ったはずじゃないか。さっきまで寝息をたてていたじゃ
ないか。
ふ、と。脳裏を過ぎる一抹の不安。血が逆流したかと思うほどに大きく、心臓が跳ねた。
まさか。
かたかたと体が震えだす。あまり考えたくはない。が、彼が冷たくなってしまった理由は
それしか考えられない。
僕は自分の考えを否定するために、彼の手首に親指を当てた。
あるべきはずの脈動が、そこにはなかった。
ぐらぐらと世界が揺れる。そんな。まさか。
タマの、魔法が、失敗した……?
それは僕の脳裏に過ぎった一抹の不安の正体そのものだった。
測り間違いだ、と首を振り、もう一度彼の手首に指を当てる。が、どんなに待っても彼の
手首は沈黙を守ったままだった。
820 : ◆JcW8.zG.pU :2007/11/05(月) 02:00:38.75 ID:oCinG6Ng0
>>819のつづき
足元から世界が崩壊していく。目の前が真っ暗になり、止めようのない涙が頬を伝う。
さっきまで寝息を立てていた彼は幻だったとでもいうのか?
「ねぇ……! 嘘だろ! ジャスティス! 返事をしてよ!」
彼の肩をつかみ、強く揺らす。痛い、でもいい。苦しい、でもいい。どんな形でも良かった。
とにかく返事をしてほしかった。
「ジャスティス! ジャスティス!」
しかし、僕がどんなに彼の名前を呼ぼうとも、彼の体は氷のように冷たいまま、屍のように
動かないままだ。
「……そうだ! ねぇタマ! タマ!」
さっきまで彼が立っていたはずの場所に目を向ける。が、そこには何も無かった。いつの間
にかタマは姿を消していた。
「そんな……」
僕のザオラルは効かない。タマの魔法も失敗した。だらん、と力なく垂れるジャスティスの体。
突きつけられた現実を理解する。
全身を満たす空虚な感情。彼の体を抱きしめずにはいられなかった。
「ジャスティス……」
ジャスティス、いつものように僕の頭を撫でてくれよ。
ジャスティス、いつものように抱きしめ返してくれよ。
ジャスティス、いつものように笑ってくれよ。
彼の名前を呟くたびに、そうであってくれと祈る。頭のどこかで不毛だとわかっていても、
僕は祈り続ける。
だが、どんなにそう願ったところで、彼が蘇ることは無い。
「……ジャスティス……」
もう何度呟いたかわからない。声は枯れ、涙も枯れた。
821 : ◆JcW8.zG.pU :2007/11/05(月) 02:01:23.61 ID:oCinG6Ng0
>>820のつづき
「これからどうしろって言うんだよ……。君なしの世界なんて、意味ないじゃないか……」
「だよな」
耳を疑う。体の震えもぴたりと止まる。今、何か聞こえたような?
「いや、すまん。ちょっと悪ふざけがすぎた」
腕の中の物体がもぞもぞと窮屈そうに身をよじる。
「お前知ってるか? 脇の下に物体挟むと、脈、止まるんだぜ。ま、古典的なトリックだな」
そう言って、彼は白い歯を見せて笑いながら。
ストラップをつまんで携帯を高く掲げる。
「体が冷たかったのは氷雪系魔法な。まぁ、タマから教わったんだが」
そこには、磯野ジャスティスの死体ではなく。
磯野ジャスティスその人が、溌剌と。
「よ、心配かけたな」
僕に向かって笑いかけていたのだった。
833 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 02:46:31.30 ID:BSUS0AWBO
>>821続き
こおろぎさとみ、ぼくは彼を許さない!ぼくの愛するジャスティスを殺した彼をッ!
それに彼は人を殺してしまったのだ。どんな理由があろうと、だ。
こおろぎをこのまま放っておくことはできない。
必ず彼を捜し出し、一生牢獄に閉じこめてやる!ぼくはそう決意した。
次の日、ぼくは町にくりだした。こおろぎの住所を特定するためだ。
ジャスティスは、まだ体調が安定しないので、自宅で安静にしているそうだ。
「あのっ、すいませんが…」
町の人々に聞き込みをするが、みんな首を横に振る。でもぼくは…絶対に諦めない…。
そんな中島の様子を物陰から何者かが覗いていた。[[@wikiへ>http://kam.jp"><META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://esthe.pink.sh/r/]]
最終更新:2007年12月09日 22:09