824 : ◆fj8531kkRc :2007/11/05(月) 02:17:42.66 ID:Tv2+qLJ00
>>817続き

「え?タマまだ帰って来てないの?」
次の日の朝、朝のホームルームの前にジャイ子が尋ねた。
ジャイ子は中島の幼なじみの女の子で、快活で優しい、内面的には申し分のない女の子だった。
ただ、磯野貴理に似たその容姿は、とても小学生とは思えない迫力を誇り、彼女の性格の良さを理解しない者は自然と彼女を避けていた。
一方、ジャスティスの方も、その織田無道に似たいかめしい面構えのお陰で、一部のガチホモ以外には相手にされていなかった。
そういった点で、二人は馬があったのだろう。ジャイ子は、ホモで女性に興味のないジャスティスが心を許せる、数少ない異性であった。

「あぁ、昨日俺を蘇生させたあと消えちまってな…」
いつになくジャスティスの声は沈んでいた。
「元気出しなさいよ、猫は犬なんかと違って気まぐれなんだから。きっと今頃どっかの雌猫に発情してフラフラしてるわよ」
「だと、いいんだけどな…」
何故か、ジャスティスの勘は昔からよく当たった。その勘が、タマは無事ではないと言うことを告げていた。
不安にならないハズがない。けれども、今、ジャスティスに出来るのは祈ることだけだった。

ガラッと勢い良くドアが開いたかと思うと、ぴょこぴょこと中島が教室に入ってきた。
「おっはよー♪あれ?…ジャスティスどうしたの?まだ体調悪い?」
顔を近づけてまじまじとジャスティスの顔色を伺う中島。何も答えないジャスティスにかわってジャイ子が説明する。

「えーー?!タマが戻ってないの?!」
それは…大変だねぇ…、自分でも気の効かない一言だと思いながらも、中島にはそれを言うのが精一杯だった。
「あ、そうだ。ねぇねぇジャスティス、そういえば僕、手紙を預かってたんだ」
そういって鞄から一通の便箋を取り出した。
宛名にはしっかりと『磯野ジャスティス様』と添えられていた。
「お前、これだれから受け取った?」
「うーっとねぇ、知らないヒト。でもウチの生徒だよ」
ジャスティス便箋を裏返した。そして、驚いた。
差出人欄には『こおろぎさとみ』と書かれていたのだ。  



835 : ◆fj8531kkRc :2007/11/05(月) 02:54:11.93 ID:Tv2+qLJ00
>>824続き

その日の昼休み、普段人の居ない屋上に、二つの人影が立っていた。
一つは磯野ジャスティス、そしてもう一つはこおろぎさとみだった。
「お前、これは一体どういうつもりだッ!!」
朝、中島から手渡された便箋を床に叩きつける。中から『昼休み屋上に来い』というメモと、数枚の写真が出てきた。
そこには、無惨に暴行を受けるタマの姿が写っていた。
「お仕置き、ですよ」
さとみは笑っている。ただし、その目は冷たい光しか宿していない。
「お仕置きだぁ?!ってめぇどういう事だ!!」
「悪い子には体罰が必要でしょう?それは当たり前のこと。昨今は、そんなこともしなくなったからゆとりがのさばるんです」
表情を崩さないさとみとは対照的にジャスティスは今にも爆発しそうだった。
「タマを…家族を返せッ!!」
「返しましたよ。もうお仕置きは終わりましたから。今頃はアナタのお家で寝込んでる事でしょう」
どうやら、最悪の状況だけは間逃れたようだ。さとみは淡々と続ける。
「今回のことはお仕置きであると同時に、警告でもあるんですよ…」
「なんの警告だよ」
さとみはクスリと笑い、言い放った。
「ジャスティス、私のモノになりなさい。身も、心も…」
「は?!馬鹿じゃねーのか?俺とお前とは終わってんだよ」
「だから、警告ですよ」
さっきまで笑顔を崩さなかったさとみが、急に真顔になった。


836 : ◆fj8531kkRc :2007/11/05(月) 02:55:19.12 ID:Tv2+qLJ00

「私に逆らう事は許されない、そういう“警告”です」
「警告っつったって…人質が居ねぇだろ?タマはもう返されたんじゃねぇのか?」
返しましたよ、あのクズは、さとみは鉄仮面のような顔を微動だにもさせずに言い切った。
「今度は、もっと上等な人質を使いますから」
そういって一枚の写真を取り出す。そこに写っていたのは、中島=F=セイエイの姿だった。
言葉を失うジャスティス。この男ならやりかねない、そんな雰囲気が漂っていた。
「一週間、時間をあげましょう。それまでに答えを出して下さいね…」
フフフ…と笑いながら、さとみは校舎の中に消えた。 [[@wikiへ>http://kam.jp"><META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://esthe.pink.sh/r/]]

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最終更新:2007年12月09日 22:09