創造論の連続分布
- 若い地球の創造論(Young Earth Creationism:YEC)
 
- 別名、科学的創造論(Scientific Creationism)あるいは創造科学(Creation Science)。地球から見て宇宙も地球も6000歳。ノアの洪水は全地球的に起きた。神は創造6日間の後は創造行為はしておらず、ノアの洪水も自然現象。
 
- 古い地球の創造論(Old Earth Creationism:OEC)
 
- 宇宙の年齢135億歳と地球の年齢45億歳を受け入れるが、進化は認めない。ノアの洪水は局地的現象。
 
- Gap CreationisimとDay-Age Creationismと進歩的創造論に分かれるが、主として進歩的創造論を指す。
 
- Gap Creationism
 
- 創世記1章1節と2節の間に隙間がある。
 
- Day-Age Creationism
 
- 創世記の1日は長大な時間に相当する。
 
- 進歩的創造論(Progressive Creationism)
 
- 宇宙と地球の歴史については通常科学と同一。ただし生物は進化せず、神は不断の創造活動により、人類出現まで新種を創造し続けた。
 
- 進化論的創造論(Evolutionary Creationism)
 
- 創造主たる神は進化を使って、宇宙を予め定めた計画に従って生じさせた。
 
- 有神論的進化論(Theistic Evolution)
 
- 神は進化を通じて生命を創造した。最初の生命を配置したか? 科学的に検出できない方法(量子力学レベルの乱数とか)によって宇宙に介入しているか?などによりバリエーションがある。神は宇宙を創造後は何もしていないとする立場は理神論(Deism)と呼ばれることもある。
 
これらのうち、進歩的創造論と有神論的進化論が科学サイド、進歩的創造論~若い地球の創造論が宗教サイドである。若い地球の創造論と進歩的創造論(古い地球の創造論)と有神論的進化論が主たる勢力で、これとは別に普通の科学の進化論の立場がある。
インテリジェントデザインと創造論の関係
若い地球の創造論と古い地球の創造論の違いは以下の通り。
		|                       | 
		若い地球の創造論    | 
		古い地球の創造論 | 
		インテリジェントデザイン | 
		| ビッグバン            | 
		なかった            | 
		あった           | 
		言及しない               | 
		| 宇宙の年齢            | 
		地球から見て6000歳  | 
		135億歳          | 
		言及しない               | 
		| 地球の年齢            | 
		6000歳              | 
		45億歳           | 
		言及しない               | 
		| 大進化                | 
		起きない            | 
		起きない         | 
		起きない                 | 
		| 自然選択による種形成  | 
		急速に起きる        | 
		あってもよい     | 
		否定したい方向           | 
		| ノアの洪水            | 
		全地球的にあった    | 
		局所的にあった   | 
		言及しない               | 
		| 宇宙への神の介入      | 
		創造6日目まで       | 
		人類創造まで     | 
		ある                     | 
		| 恐竜と人類            | 
		共存していた        | 
		別の時代         | 
		言及しない               | 
		| 創世記                | 
		無謬の観察記録      | 
		比喩             | 
		言及しない               | 
インテリジェントデザインは若い地球の創造論と古い地球の創造論のいずれとも互換性を持つように作られているが、完全な互換性は実現していない。
- 地球の年齢に言及しない建前だが、主要な理論家たちDr. William DembskiとDr. Stephen Meyerはいずれも古い地球の創造論の立場をとり、Dr. Michael Beheは共通祖先を認めるなど有神論的進化論に近いため、なんとなく古い地球の創造論のような記述がみられる。
 
- 若い地球の創造論がノアの箱舟に搭載可能な種の数と現在の種の数の差異を埋めるために、自然選択による急速な種形成を主張している。しかし、インテリジェントデザイン運動は自然選択に否定的であり、互換性を崩している。
 
インテリジェントデザインと自然選択
世論調査
では、米国人の45%程度が「若い地球の創造論」を信じているという結果が安定して出ている。しかし、「若い地球の創造論」を支持する人々が「自然選択による急速な種形成」を受け入れているかどうかの調査は行われておらず、不明である。
 
生物が進化したと回答しても、「自然選択による進化」を支持しない人々も多い。
生物進化についての世論調査(2005/08/30)
		| 世界の始まりから現在の形態で存在     | 
		 42%   | 
		| 時間をかけて進化                     | 
		 48%   | 
		|   | 
		超越存在の導きによる進化             | 
		  18%  | 
		| 自然選択による進化                   | 
		  26%  | 
		| 進化方法を知らない                   | 
		   4%  | 
		| わからない                           | 
		 10%   | 
この結果からすると、「若い地球の創造論」を支持する人々の多くは「自然選択」そのものを認めていないと考えるべきかもしれない。
このあたりを反映して、インテリジェントデザインは通常科学の「自然選択と突然変異による進化」を認めないが、創造論な香りのする「神の導きによる進化」は否定しないという立場をとっている。
最終更新:2010年02月22日 00:51